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平成14年(2002年)4月箕面市教育委員会
目次
21世紀を迎え平均寿命の伸長や出生率の低下により、箕面市においても平成28年(2016年)には、高齢化率約21.5%の超高齢社会が到来すると予測されています。
科学技術の高度化、情報化の進展は生活に利便性をもたらす反面、身体活動の減少、精神的なストレスの増大など新たな課題が発生するとともに、都市化の進行などによる地域的連帯感の希薄化や地域の教育力の低下等を生み出しています。
このような社会状況が進行するなか、21世紀のまちづくりにおいて、誰もが健康であり続け、健やかで心豊かに生活できる活力ある健全な地域社会を築くことは市民の願いであるとともに、重要な行政課題となっています。
また、スポーツは、青少年期における心身の健全な発達を促し、達成感、連帯感を養うとともに、世代・性を越えた交流の機会が提供され地域の一体感を醸成します。
さらに、健康への関心が高まっている今日において、誰もがその体力やライフスタイルに応じて、スポーツ習慣を身につけ、継続的にスポーツに親しむことが大切になってきています。
21世紀初頭における本市のまちづくりの基本方策を定めた「第四次箕面市総合計画」においては「生涯スポーツ機会の充実」の中で「地域において継続してスポーツを楽しめる環境づくりに取り組むこと」としています。
平成13年(2001年)3月に策定した「箕面市スポーツ振興指針」は、誰もがいつでも気軽にスポーツに親しみ、楽しむことのできる生涯スポーツ社会の実現をめざし、中・長期的な視点から市民、地域、学校、行政がそれぞれの責任と役割において、今後10年間に取り組むべき方向性を示しています。
本「スポーツ振興計画」は、「第四次箕面市総合計画」並びに「スポーツ振興指針」を受け、市民の一人ひとりが幼少年期から高齢期にいたるまで、年齢や体力・能力に応じ、身近な地域で気軽にスポーツを楽しむことができる「生涯スポーツ社会の実現」をめざし、具体的な取り組みを示すために策定するものです。
国の「スポーツ振興基本計画」(2000年9月策定)においては、地域住民が主体的に運営する「総合型地域スポーツクラブ」(詳細は後述)を、2010年までに各市町村に少なくとも1つは育成することを明記していますが、本市においては、長期的な目標をもって考えていきます。
地域住民が主体的に運営するスポーツクラブの形態である「総合型地域スポーツクラブ」の育成を目指し、以下の2点を基本方針として、本「スポーツ振興計画」を策定するものです。
また、次の3点を重点施策とします。
本計画は、「第四次箕面市総合計画」との整合性を持たせ、平成13年度(2001年度)を初年度として、前期5年間・後期5年間で実現すべき具体的方策をあげますが、スポーツを取り巻く環境の変化や市民ニーズを反映させた具体的な計画として実効性を持たせるために中間検討時期を設けます。
よって前期5年終了時には、その進捗状況を関係部局とともに検証し、後期5年間(平成18年度(2006年度)から平成22年度(2010年度))においては、前期の成果・課題を踏まえ、「総合型地域スポーツクラブ」の設立をめざして振興計画を策定することとします。
生涯スポーツ(バリアフリースポーツ)とは、幼少年期から高齢者や障害者にいたるまで、一人ひとりの体力や年齢に応じて楽しめるスポーツのことです。
これまで高齢者や障害者スポーツについてはほとんど実施できておらず、平成13年度(2001年度)に、試行的にバリアフリー子ども水泳教室・体操教室を実施いたすとともに、障害者市民のスポーツニーズについて、平成13年度(2001年度)に、豊能地区の「障害者スポーツニーズ調査」「箕面市独自アンケート」を実施したところ、約半数の障害者市民が「スポーツをしたい」という要望をもっていることが判明しました。
しかし、そのような要望に十分応えきれず、適切なプログラムの開発・提供ができていませんでした。
また、障害者市民がスポーツを行うには、介助・ボランティアが必要な場合がありますが、介助者などが確保できず、教室を開催しても参加できない障害者市民がいます。スポーツボランティアのあり方や育成が課題になっています。
ニュースポーツについては、過去において、ペタンク、グラウンドゴルフ、ゲートボール、ダーツ、健康体操、ソフトエアロビクス等の教室を実施し、普及に努めてまいった結果、ペタンク等数種類のニュースポーツのグループができ自主的な活動が行われています。
高齢社会の現在、自らの健康は自らが守り・つくるという予防医学の面からも、スポーツを通した健康づくりに取り組むことは極めて重要です。生涯にわたり心身の健康を保持増進するためには健康に関する正しい知識・理解を習得し、健康的な生活習慣やスポーツ習慣を身につけ、継続的にスポーツに親しむことが大切です。
現在、多くの市民が自主的に「山歩き」や「フォークダンス」「社交ダンス」等を自らの健康保持のために行っていますが、今後とも、多種多様な心身の健康を維持するためのソフト展開が望まれています。
本市では、第一総合運動場(スカイアリーナ)と第二総合運動場にトレーニングルームを併設しています。第一総合運動場のトレーニングルームは、定期的な利用者も多く有効に稼動していますが、第二総合運動場の方は、利用者も少なく有効に活用されているとはいえません。
平成13年度(2001年度)に、健康福祉部が第一総合運動場のトレーニングルームを利用したセミナーをしました。セミナー修了者から高齢者市民が健康増進のため継続して実施できるスポーツ教室等のシステムがないという指摘を受けました。
また、リハビリセンターから、治療後に自主的にリハビリをするプログラムがないという指摘がされています。本市では、2つの民間温水プールの一部を自由遊泳枠として借り上げていますが、温水プールを介護予防、生活習慣病予防等で利用している市民が多数いることから、リハビリに適したプログラムの開発・提供も検討します。
<今後の具体的方策>
地域で子どもから高齢者市民までがスポーツに親しむことは、地域の活性化にとって非常に有意義なことです。
乳幼児期は、運動能力に関しては、遊びの中で身につけていくことから、親と子どもが一緒になって楽しめる遊びの要素を含めたプログラムの開発や提供が必要です。
青少年期は、生涯にわたってスポーツに親しむ習慣を形成する重要な時期であることから、多様なスポーツ体験をすることが大切です。同年齢や異年齢の交流を図るとともに、青年のニーズに適応したプログラムを提供するとともに、自主的にスポーツ大会等を実施できるように支援していく必要があります。
また、青少年期のスポーツ活動は、学校を中心に発展してきましたが、少子化、指導者不足に加えて、完全学校週5日制で、中学校のスポーツクラブの方向性が問われています。現在、中学校のスポーツクラブに地域のスポーツ指導者が派遣されていますが、一部の学校で限られた種目になっています。
小中学校のクラブ活動に代わるものとして、地域のスポーツクラブが重要な役割を担っています。本市においても、少年野球やサッカークラブなど学校施設を利用して活動を行うクラブが多くありますが、活動場所の確保が困難な状況にあります。
また、青少年スポーツを振興することをもって青少年の心身の健全な育成に資することを目的としたスポーツ少年団があります。これは、学校区にはこだわらず、青少年に様々な種目のスポーツ活動をする機会を提供するもので、本市には空手道・剣道・器械体操の団があります。また、定期的な練習や大会参加だけでなく、年に一度、豊能地区の様々な種目の団員が集う交流大会が催され、年齢・学校・地域を越えた交流を図っています。
<今後の具体的方策>
本市では、スポーツを始めたいと思っている市民のために「スポーツ教室」を実施するとともに、継続して行うために「スポーツのつどい」を実施しています。
また、競技スポーツの成果を発表する場として、市民スポーツ大会を春・秋と実施しています。今後とも「スポーツ教室」(出発点)「スポーツ大会」(成果の発表)を実施していくとともに、市民ニーズにあったスポーツ大会やそれぞれの体力や競技レベル、年齢、あるいは地域交流を図る大会を企画・開催していきます。
スポーツイベントとしては、「市民スポーツカーニバルふれあいフェスティバル」「世代間交流軽スポーツ大会」を開催してきました。
「市民スポーツカーニバル」は、昨年度で34回を数えましたが、参加者の減少とマンネリ化が課題となっていました。そのため、平成13年度(2001年度)に、箕面市体育指導委員協議会の「市民スポーツカーニバルあり方検討委員会」で検討いただき、今後の方向性として、(1)中央集中から地域分散方式へ、(2)行政主導から市民主導へ、(3)動員型から市民の主体的な参加へ、(4)「する」スポーツから「みる」「きく」も含めたスポーツイベントへという提案を受けました。また、豊能地域生涯スポーツ推進事業の一環として、「世代間交流軽スポーツ大会」を実施してきました。開始当初から種目はペタンクで180人規模で実施してきましたが、参加者の多くが高齢者市民で、子どもの参加が少ないのが現状です。
<今後の具体的方策>
本市における施設としては、スポーツ活動の拠点として第一総合運動場(スカイアリーナ、武道館、市民野球場、市民プール、市民テニスコート)並びに、第二総合運動場(市民多目的グラウンド、市民体育館、市民プール、市民テニスコート)があり、多くの市民が日常的に活用しています。
第一総合運動場市民野球場においては、周辺住民への安全対策、球場の砂塵飛散対策、施設老朽化に伴う施設改修が必要になっています。
生涯スポーツの振興という視点をもって、個々の施設の単発的な改修にとどめることなく、第一総合運動場における他施設(テニスコート・武道館)の整備と周辺施設(旧市民体育館跡地、西小前用地、公園等)を含めた地域の総合的なスポーツ環境の整備が求められています。
武道館は階段が多く車椅子で入れない、第二総合運動場グラウンドは身障者用トイレがない等バリアフリー化ができていません。また、第二総合運動場は駐車場が利用者数に比較すると手狭なことから、駐車場の拡張も検討します。
一部民間スポーツ施設を利用してスポーツ教室を実施していますが、学校施設を利用した教室等は実施できていません。今後、地域でのスポーツ振興を推進していく上で、学校施設の利用や民間スポーツ施設の利用は重要な課題になってきます。スポーツ施設の充実は、市民がスポーツ活動を行う上で根幹となるものです。スポーツに関する市民アンケート調査(平成11年実施)においても「スポーツ施設の建設」「スポーツ施設を使いやすく」といったニーズは高く、誰もが気軽に利用でき、コミュニケーションの場であることなど、スポーツに親しめる場として、地域住民の視点にたった魅力的な整備計画が必要です。
<今後の具体的方策>
平成13年度(2001年度)からスポーツ施設の管理運営補助業務をスポーツ関係民間業者に委託するとともに、休館日を週1回から月1回とし、両運動場にそれぞれ専門職(スポーツトレーナー等)を配置し、利用者の利便性を図っています。
また、平成14年度(2002年度)から「大阪地域情報サービスネットワーク」(略称オーパス)を導入し、利用手続きが簡素化され、利用者の利便性が図られています。
今までのスポーツ情報の提供は、広報紙が主なものでしたが、今後はインターネット等の活用が望まれています。
<今後の具体的方策>
市民のスポーツ活動を推進していくためには、指導者の養成・確保は生涯スポーツの振興にとって必要不可欠です。今日、市民のスポーツ活動の形態が多様化・高度化し、指導者に対するニーズは質量ともに増大しています。
国や各種スポーツ関係団体が指導者養成講座を実施していますが、場所や時間が限られているため市民の参加が困難な状況です。本市においても、スポーツ指導者(スポーツ教室・つどいの管理指導者等)に対する系統的な研修会・講習会等の提供ができていません。
また、バリアフリースポーツを振興していくためにも、指導者と介護を必要とする人たちにはボランティアが必要となってきます。現在、ボランティアについては、バリアフリー親子体操教室等への参加はありますが、制度化はされていません。ボランティアが確保できないため、障害者市民が参加ができない場合も多くあります。
<今後の具体的方策>
箕面市体育指導委員は、現在まで地域スポーツ振興の推進者として重要な役割を果たしてきましたが、スポーツコーディネーターやシンクタンクとしての機能が充分発揮されていませんでした。また、体育指導委員は地域に根ざした選出ではありませんでした。今後、体育指導委員には、スポーツ振興に対する提言や市主催事業の企画・立案・指導など行政と市民との橋渡し役が望まれます。
<今後の具体的方策>
箕面市体育連盟をはじめとした各種スポーツ団体は、従来から本市のスポーツ事業の推進に大きな役割を担ってきました。また、市民大会、スポーツ教室・つどい等の運営などを委託しています。箕面市体育連盟は、本市が競技スポーツの振興を図るためのパートナーとして、広汎な活動が期待されています。
今後、総合型地域スポーツクラブの運営・管理・指導においては、箕面市体育連盟や地域のスポーツ団体が大きな役割を担うと期待されるので、積極的に活動の支援を行っていく必要があります。
<今後の具体的方策>
主にヨーロッパ諸国に見られる地域スポーツクラブの形態で、子どもから高齢者までの様々なスポーツを愛好する人々が参加できる総合的なスポーツクラブのことで、次のような特徴があります。
我が国のスポーツは、主として学校や企業のクラブが担ってきました。一般的に市民は、学校を卒業するとスポーツに親しむ機会が減少する傾向にあります。あらゆる年代層の市民が健康な身体づくりのために自らの関心や体力に応じてスポーツに親しむには地域でのスポーツの振興が必要です。
また、スポーツに親しむ機会の少ない市民にスポーツの機会を提供するには、身近な生活圏である中学校区程度の地域において、学校施設や公共スポーツ施設を拠点としながら、地域の実情に応じて民間スポーツ施設も活用した地域の誰もが参加できる総合型地域スポーツクラブを設置することが最適です。
「総合型地域スポーツクラブ」という言葉は、スポーツ関係者の一部が理解していますが、市民にとって認知度は大変低いものといえます。
「総合型地域スポーツクラブ」の創設にあたっては、関係者の間でも、拠点となる施設の整備はもちろんのこと、指導者が不可欠であるという認識はあるものの拠点施設やその付帯設備についての考え方が構築されていません。また、運営方法についても大きな課題となっています。
<今後の具体的方策>
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