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平成13年(2001年)3月
箕面市教育委員会
はじめに
箕面市では、市民一人ひとりがそれぞれの体力や健康状態に応じて、スポーツ・レクリエーションに親しみ、健康の保持増進が図られるよう、生涯スポーツの振興に努めています。
21世紀には、スポーツを文化としてとらえ地域のコミュニケーションづくりのひとつとして定着させることが、重要な課題となると考えております。
また、スポーツの振興は、市民の健康増進や体力の向上に寄与するのはもちろんのことでありますが、他人とのかかわりが苦手と言われる子どもが増加している現代にあって、子どもたちの健全な成長にスポーツの果たす役割は非常に大きなものがあることから、子どもたちの人間形成に大きく役立ち、真の強さと優しさを育てるという教育的な面においても、大きな役割を果たしうるものであります。
かつての地域社会においては、運動会やこども会のスポーツ大会などを通じて地域住民がふれあい、心温かなコミュニティが形成されていました。しかし、核家族化の進展、少子・高齢社会の到来にともない、市民のニーズは多様化しており、地域社会とスポーツのかかわりについて改めて再考する時期にあります。
国においては、生涯スポーツや競技スポーツなど、多面的に展開されているスポーツへの国民の関心・ニーズが一層高まる中で、21世紀の我が国のスポーツ振興の理念や具体的施策を示したスポーツ振興基本計画が策定されました。
こうしたことを背景に、本市におきましても21世紀における豊かなスポーツ環境づくりを目指した「箕面市スポーツ振興指針」を策定しました。今後この指針に基づき、スポーツ振興に積極的に取り組み、地域とスポーツの新しい関係を築いてまいりたいと存じます。
最後に、本指針の策定にご協力をいただきました箕面市体育指導委員をはじめ、関係者の方々に心からお礼を申し上げます。
平成13年3月
箕面市教育委員会教育長中垣芳隆
目次
第1章スポーツ振興指針の趣旨・・・・・・・・・・1
第4章総合型地域スポーツクラブ~生涯スポーツ振興に向けた目標として~
1.スポーツ施設の整備・充実・・・・・・・・・・22
2.スポーツ事業の推進・・・・・・・・・・24
3.スポーツ指導者・スポーツ団体の育成・・・・・・・・・・26
4.スポーツ情報の提供・収集・・・・・・・・・・27
21世紀を迎え、我が国においては、平均寿命の伸長とともに出生率の低下により、いち早く高齢社会を迎えた欧米諸国と比較して、約2倍のスピードで高齢化が進行しています。本市の「高齢者保健福祉計画」においても、平成28年(2016年)には高齢化率約21.5%の超高齢社会が到来すると予測しています。
また、科学技術の高度化、情報化の進展などは、生活に利便性をもたらす反面、身体活動の減少、精神的なストレスの増大といった新たな問題を生じさせており、地域社会においては、都市化の進行などによる地域連帯感の希薄化や地域の教育力の低下を生み出しています。
これらの社会状況の変化は、大人のみならず、子どもたちの生活全般にも大きな影響を及ぼし、子どもたちの健やかな育ちをめぐって、学校と地域、家庭との連携の必要性が強調されるようになりました。
一方、完全学校週5日制や年間労働時間の短縮などにより、人々の自由時間が増大するとともに、市民の意識は仕事中心から生活重視へと変化してきており、健康で充実した人生をいかに過ごすか、新たなライフスタイルの構築が求められています。
このような社会環境の中で、市民が、体力やライフスタイルに応じて楽しめる、生涯スポーツの振興は、21世紀のまちづくりにおいて、活力ある健全な社会を築くための重要な要素のひとつであります。
本市では、21世紀初頭におけるまちづくりの基本方針を定めた「第四次箕面市総合計画基本構想・基本計画」においても生涯スポーツ機会の充実を掲げ、地域において継続してスポーツを楽しめる環境づくりに取り組むこととしています。
「スポーツ振興指針」は、誰もがいつでも気軽にスポーツに親しみ、楽しめることのできる生涯スポーツ社会の実現を目指し、中・長期的な視点から市民、地域、学校、行政がそれぞれの責任と役割において、今後10年間に取り組むべき方向性を示すものです。
1.スポーツの意義
スポーツには、人間の体を動かすという本質的な欲求に応えるとともに、爽快感、達成感、連帯感などの精神的な充足感を人々に与えることにより、スポーツ本来が持つ健康の保持増進、体力の向上に寄与する機能があります。とりわけ青少年にとっては、心身の健全な発達を促すものであり、自らが課題を発見し解決する創造力を、仲間と連帯しながら養えるなど、教育的価値の根幹である健全な人間形成に多大な影響を与えており、世代を越えた交流など、コミュニケーションの面からも極めて重要な役割を果たしています。
また、スポーツは、人間の可能性の極限を追求する面も有しており、オリンピックに見られるようなトップレベルのスポーツは、人々にスポーツへの関心や意欲を喚起し、夢や感動を与えるものです。
さらに、グローバル化する現代社会において、スポーツは世界共通の文化の一つとして、人々の相互理解を一層進めるなど、国際的な友好と親善のためにも有意義なものです。
2.まちづくりとの関わり
少子高齢化の急速な進行、国際化や情報化の進展、環境問題の深刻化など、社会環境の変化は本市においても例外ではなく、市民の価値観の多様化とともに、市民ニーズは複雑・高度化してきています。
また、社会の成熟化と人々の個性が重視される中で、まちにも個性や魅力が問われており、豊かな自然を大切にしながら、地域の特色・特性を生かした個性あるまちづくりを進めることが求められています。
スポーツによる世代・性を越えた豊かな交流の機会の提供は、地域の一体感や活力の醸成とともに地域のコミュニティ形成を促すなど、スポーツの振興を通して、活力ある豊かで快適な地域社会を創造することができます。
3.健康づくりとの関わり
我が国の平均寿命及び乳幼児死亡率数の低さは世界でもトップレベルとなっていますが、糖尿病などの生活習慣病は増加傾向にあります。本市においても市民一人あたりの医療費は増加してきており、健康への関心と健康づくりの重要性はますます高まっています。
自らの健康は自らが守り・つくるという予防医学の面からも、スポーツを通した健康づくりに取り組むことは極めて重要です。生涯にわたり心身の健康を保持増進するためには健康に関する正しい知識・理解を習得し、健康的な生活習慣やスポーツ習慣を身につけ、継続的にスポーツに親しむことが大切です。
また、社会の複雑化に伴う心の健康問題は、ストレスや不安感の高まりなどが大きな要因と考えられています。これらに対処するためにも、スポーツを通じてストレスを解消し、心や体を開放することが重要です。
今後、生活のゆとりや自由時間を主体的に活用した豊かなスポーツライフを実現し、心身の健康を維持するための方策を講ずることが求められています。
4.子どもの「生きる力」との関わり
「子どもの体験活動等に関するアンケート調査」(平成10年度文部省)によると、地域での生活体験・自然体験が豊富な子どもほど、道徳観、正義感が身についていることが示されています。さらに、このアンケートでは、子どもたちの「生きる力」をはぐくむ環境充実のためには、学校・家庭・地域社会全体での融合的な教育支援体制を整備することが重要であると、指摘しています。
子どもたちが、地域社会の中で大人とともに、スポーツ活動、ボランティア活動、地域行事などに参画することは、大人たちと夢や希望を共有し、豊かな人間性をはぐくみ、主体的な姿勢を身につけるなど有意義な活動であると考えられます。
世の中の進歩と発展が、一方で子どもたちをとりまく環境を激変させました。とりわけ快適な住環境の改善は、スポーツ・野外活動・自然体験などから子どもたちを遠ざける結果となりつつあります。多くの子どもたちが、気軽に、楽しく、スポーツに親しめる環境を整備する必要があります。子ども時代の経験が、生涯にわたってスポーツに親しむ資質や能力を身につけていくことにつながるからです。
自然体験やアウトドアスポーツ活動などは、子どもたちにとって、自然と調和して生きることの大切さを理解するとともに、きまりや規則を守ること、仲間と協力することなどを自らが実践し、学べる機会として有意義であり、子どもたちも参加する地域スポーツの振興が重要視される理由がそこにあります。
本市におけるスポーツ振興は、主として公共スポーツ施設を利用した競技スポーツの愛好者を対象とした施策として取り組まれてきました。従って、日頃スポーツになじみのうすい市民層に、スポーツに親しむきっかけを提供することや、健康増進の視点での生涯スポーツ振興については、ほとんど取り組みがなされていないのが実態です。
この章では、今後の本市におけるスポーツ施策のあり方を検討するにあたって、特に課題となる項目について、その概要と課題を示します。
1.スポーツ施設の概要
(1)総合運動場の現状
スポーツ施設は、市街地が東西に広がる本市の地域特性に応じて、西部地域に第一総合運動場を、東部地域に第二総合運動場をそれぞれ配置しています。
第一総合運動場は、昭和39年11月に市民体育館と市民野球場を開設して以降、市民プール、テニスコートそして武道館を順次整備してきました。
また、人口急増に伴う都市施設などの計画的な整備の一つとして、特に開発の著しかった東部地域において、昭和51年度から5年の歳月をかけてテニスコート、多目的グラウンド、市民プール、市民体育館を備えた第二総合運動場を整備し現在に至っています。
《1》第一総合運動場
民間施設を買い上げて開設した市民体育館と市民野球場は、本市で初めてのスポーツ施設として市民の体力向上、健康づくりに寄与してきました。
両翼92メートル、約17,000平方メートルの敷地を有する市民野球場は、ネットフェンスや観覧席などの様々な改修を経て、現在は年間約13,000人の方に利用されています。市民野球場に隣接していた第一市民体育館は、スポーツのみならず各種文化活動にも利用されていましたが、施設の老朽化と増加する利用者に対応するため、移転新築を行い、現在の市民体育館(スカイアリーナ)となっています。
平成8年6月に開設したスカイアリーナは、約1,800平方メートルのメインアリーナ、約650平方メートルのサブアリーナの二つの体育室と、最新のトレーニング機器を備えたトレーニングルームからなり、年間約35,000人の利用者がトレーニングに汗を流されています。また、第52回国民体育大会(なみはや国体)の柔道競技会場として活用するなど、本市のスポーツ振興に欠かすことのできない施設のひとつとなっています。
昭和40年7月に開設した市民プールは、昭和63年に改修を行い6コースの50メートルプールのほかに、幼児用と子ども用として二つのプールを新たに設置し、夏季の2カ月間に、幼児から大人までの幅広い年齢層に利用されています。
昭和48年5月には、クレーコート3面の市民テニスコートを開設、天候によって利用が制限される施設でありながら、毎年多くの利用者を見ています。
市制施行25周年を迎えた昭和56年12月に開設した武道館は、256畳の第一武道場と522平方メートルの第二武道場からなり、多くの市民が利用され諸武道の活動の拠点となっています。
《2》第二総合運動場
市民の文化、スポーツに対する意欲が年々高まる中で、昭和51年度を初年度とする新箕面市総合計画に基づき、第二総合運動場の整備が本格的に始まりました。昭和54年4月に開設した敷地面積14,000平方メートルの多目的グラウンドは、300メートルトラックの確保を可能にするとともに、サッカーやソフトボールなど多種目に利用されています。加えて、市民スポーツカーニバルの会場としての活用は、多くの市民のコミュニケーションの場となっています。
同時に開設した市民テニスコートは、大規模な大会にも十分対応できるテニスコートとしてクレーコート7面を有し、各種大会や教室を開催してきました。なお、このテニスコートは、平成4年度及び平成6年度に人工芝へ変更するとともに夜間照明を設置し、利用の拡大と利便性を図っています。
昭和55年6月には、8コースの50メートルプール、25メートルの子ども用プールと幼児用変形プールを開設、翌昭和56年4月には、1,300平方メートルと425平方メートルの大、小体育室及びトレーニングルームを配置した市民体育館を開設したことによって総合運動場として完成し、現在に至っています。
第一総合運動場利用状況(単位:人、%)
|
平成7年度 |
平成8年度 |
平成9年度 |
平成10年度 |
平成11年度 |
---|---|---|---|---|---|
体育館 |
17,889 |
44,459 |
72,038 |
51,709 |
41,096 |
- |
249.0 |
161.7 |
71.8 |
79.5 |
|
テニスコート |
11,389 |
11,824 |
11,669 |
11,738 |
11,200 |
- |
103.8 |
98.7 |
100.6 |
95.4 |
|
野球場 |
13,105 |
13,627 |
12,904 |
13,932 |
13,214 |
- |
104.0 |
94.7 |
108.0 |
94.8 |
|
武道館 |
39,893 |
38,920 |
35,348 |
36,118 |
37,163 |
- |
97.6 |
90.8 |
102.2 |
102.9 |
|
プール |
45,816 |
13,444 |
26,161 |
24,661 |
23,605 |
- |
29.3 |
194.6 |
94.3 |
95.7 |
|
トレーニング |
- |
20,792 |
26,015 |
34,606 |
34,761 |
- |
皆増 |
125.1 |
133.0 |
100.4 |
|
合計 |
128.092 |
143,156 |
184,135 |
172,764 |
161,039 |
- |
111.8 |
128.6 |
93.8 |
93.2 |
注1)各施設の上段の数値は利用者数、下段の数値は対前年度比
注2)平成8年度スカイアリーナ建設による増加
第二総合運動場利用状況(単位:人、%)
|
平成7年度 |
平成8年度 |
平成9年度 |
平成10年度 |
平成11年度 |
---|---|---|---|---|---|
体育館 |
56,059 |
51,247 |
51,994 |
47,944 |
47,626 |
- |
91.4 |
101.5 |
92.2 |
99.3 |
|
テニスコート |
45,322 |
47,937 |
38,570 |
34,092 |
38,785 |
- |
105.8 |
80.5 |
88.4 |
113.8 |
|
グラウンド |
26,768 |
27,929 |
22,437 |
23,835 |
23,807 |
- |
104.3 |
80.3 |
106.2 |
99.9 |
|
プール |
25,426 |
7,851 |
15,012 |
14,278 |
14,294 |
- |
30.9 |
191.2 |
95.1 |
100.1 |
|
トレーニング |
9,707 |
5,032 |
4,651 |
4,284 |
3,711 |
- |
51.8 |
92.4 |
92.1 |
86.6 |
|
合計 |
163,282 |
139,996 |
132,664 |
124,433 |
128,223 |
- |
85.7 |
94.8 |
93.8 |
103.0 |
注1)各施設の上段の数値は利用者数、下段の数値は対前年度比
(2)総合運動場の課題
《1》市民プールの利用者は、年々減少傾向にあります。近年、近隣市に公共の多目的なレジャープールの開設が相次ぐなど、利用者減少の要因がいくつか想定されますが、原因究明と、対応策の検討を早急に取り組む必要があります。また、プール開設期間以外(10ヵ月)の有効利用が課題となっています。
《2》市民野球場は、春・秋の市民大会が開催される時期は、日曜日の一般利用がほとんど不可能となっており、学校開放施設の活用や、民間施設の借り上げなどによる利用可能施設の拡大が求められています。また、軟式野球専用となっており、硬式野球の利用のための整備が求められています。《3》第一テ
ニスコートは、クレーコートのため、梅雨時・冬季はコンディション不良により利用を制限せざるを得ない状況にあり、利用者の意向を把握しながら、人工芝への変更も視野に入れ、利用の拡大方策の検討を行う必要があります。
《4》第二市民体育館トレーニングルームは、スカイアリーナと比較すると、利用は非常に少なくなっており、トレーニング機器の更新やコンピュータを活用した健康管理システムの導入、トレーナーの配置などに向けた方策を講じることが求められています。
2.学校体育施設の概要
(1)学校体育施設の現状
学校体育施設の社会体育活動への開放は、「市立学校屋内運動場等設備の使用に関する条例」や「箕面市立学校体育施設の開放に関する規則」に基づき、実施されてきました。
平成12年度からは、学校体育施設を含む学校施設の開放について、7つのモデル校を定め、各小学校ごとに学校施設開放委員会準備会を設け、施設利用グループの登録や利用のルールの確立などを行っています。
現在のところ、利用を希望するグループ間の調整により、円滑に施設利用が行われています。
学校施設開放モデル校による利用団体(体育系)の状況
小学校名 |
団体数 |
種目 |
---|---|---|
箕面 |
15 |
ソフトボール、バレーボール、バドミントン、バスケットボール、剣道、空手 |
止々呂美 |
4 |
バレーボール、サッカー、剣道、軽スポーツ |
北 |
9 |
ソフトボール、バレーボール、バドミントン、卓球、剣道、空手 |
萱野 |
6 |
ソフトボール、バレーボール、サッカー |
西南 |
17 |
ソフトボール、バレーボール、バドミントン、サッカー、卓球、剣道、空手、ソフトバレーボール |
中 |
9 |
ソフトボール、バレーボール、バドミントン、サッカー、卓球、空手、体操 |
東 |
8 |
サッカー、ラグビー、野球、剣道、少林寺拳法、ペタンク |
平成13年2月現在。なお、上記モデル校以外の小学校の利用状況については記載を省略しています。
また、府立高等学校体育施設の開放は、大阪府の事業として取り組まれ、本市総合運動場において施設の貸し出し業務を行っており、箕面高校、箕面東高校ともに各種競技に活用されています。
府立高等学校施設開放による利用状況
学校名 |
種目 |
---|---|
箕面高等学校 |
ソフトボール、サッカー |
箕面東高等学校 |
ソフトボール、少年野球(軟式)、ラグビー |
(2)学校体育施設の課題
《1》市民のスポーツ機会の拡大を図るため、学校施設の開放を全小学校で行い、活動の場の提供をさらに進める必要があります。
《2》小学校のみならず、中学校の体育館・グラウンドや、プールなど開放対象施設の拡大についても、学校と調整を行いながら、検討する必要があります。
3.スポーツ事業の概要
(1)スポーツ事業の現状
《1》スポーツ教室開催事業
スポーツ教室は、初心者を対象にして、概ね5~10回の講習で基礎的な技術習得ができるよう企画し、第一総合運動場及び第二総合運動場において各種教室を市内在住・在職・在学者を対象に有料で実施しています。
なお、平成12年度からは、箕面市体育連盟加盟協会の協力を得て、教室運営を箕面市体育連盟に委託しています。
教室参加者数(単位:人)
実施種目 |
平成10年度 |
平成11年度 |
---|---|---|
健康体操 |
619 |
562 |
硬式テニス |
148 |
175 |
勤労者硬式テニス |
111 |
74 |
卓球 |
- |
36 |
シェイプアップ体操 |
- |
182 |
高齢者健康体操 |
267 |
227 |
市民スケート |
249 |
313 |
合計 |
1,394 |
1,569 |
《2》スポーツのつどい開催事業
スポーツのつどいは、体育館やテニスコートを、曜日や時間帯を区切って種目ごとに個人に開放するもので、第一総合運動場及び第二総合運動場において市内在住・在職・在学者を対象に実施し、年間23,000人以上の利用があります。また、スポーツ教室と同様、平成12年度からは、箕面市体育連盟に管理指導者の派遣を委託しています。
平成12年度つどい実施種目
バレーボール |
バドミントン |
卓球 |
ソフトバレーボール |
ソフトテニス |
テニス |
《3》市民スポーツ大会開催事業
春季に市民総合体育大会、秋季に種目別市民大会を、軟式野球をはじめ各種目ごとに開催しています。
なお、春季市民総合体育大会については、箕面市体育連盟に運営を委託しています。
平成12年度市民スポーツ大会参加状況
種目 |
市民総合体育大会 |
秋季種目別市民大会 |
---|---|---|
軟式野球 |
57チーム |
54チーム |
ソフトボール |
35チーム |
37チーム |
テニス |
840人 |
763人 |
ソフトテニス |
70人 |
122人 |
サッカー |
24チーム |
31チーム |
ゲートボール |
25チーム |
18チーム |
バレーボール |
59チーム |
82チーム |
卓球 |
273人 |
329人 |
バドミントン |
194人 |
261人 |
柔道 |
250人 |
|
剣道 |
150人 |
|
水泳 |
20人 |
|
マラソン |
343人 |
《4》スポーツイベント開催事業
世代間交流軽スポーツ大会及び市民スポーツカーニバルを実施しています。
平成12年度スポーツイベント参加者状況(単位:人)
イベント名 |
参加者数 |
---|---|
世代間交流軽スポーツ大会(ペタンク) |
180 |
市民スポーツカーニバル |
1,700 |
《5》市内民間温水プール借上げ事業
市民から要望の強い温水プール建設の代替策として、平成9年度から市内2ヵ所の民間温水プールの一部を借り上げ、市民の自由遊泳コースとして提供しています。
民間温水プール利用者状況(単位:人、%)
区分 |
平成10年度 |
平成11年度 |
前年度比 |
---|---|---|---|
大人(高校生以上) |
1,875 |
2,743 |
146.3 |
小人(中学生以下) |
503 |
701 |
139.4 |
高齢者(65歳以上) |
725 |
1,045 |
144.1 |
障害者(大人) |
251 |
270 |
107.6 |
障害者(小人) |
5 |
1 |
20.0 |
介助者 |
66 |
89 |
134.9 |
合計 |
3,425 |
4,849 |
141.6 |
(2)スポーツ事業の課題
《1》スポーツ教室・つどい開催事業
スポーツ教室・つどいにおいては、さまざまなスポーツに参加できる機会を提供するため、市民ニーズにあわせて種目を変更したり増やすなどその充実を図っています。また、一部勤労者向け、高齢者向け、若年層向けなど、対象者を限定した事業も展開していますが、子どもを対象としたプログラムや、障害者向けのプログラムについては実施できていないのが現状です。
ニーズ把握に努め、プログラムの開発からの取り組みが必要です。
《2》スポーツイベント開催事業
市民スポーツカーニバルをはじめ各種スポーツイベントは、スポーツを楽しむきっかけづくりとして重要な役割を果たしています。体育の日制定を記念して開催している市民スポーツカーニバルは年々参加者が減少傾向にあり、事業内容の見直しが求められています。
《3》市内民間温水プール借り上げ事業
利用者は年々増加する傾向にありますが、借り上げのコース数や時間帯の制限がある中で、利用者のニーズに合う契約方法を検討する必要があります。
4.スポーツ指導者・スポーツ団体の育成
(1)スポーツ指導者・スポーツ団体育成の現状
《1》各種スポーツ教室の指導や、スポーツのつどいの管理指導は、各種目について専門的な知識や技能を有する箕面市体育連盟に委託しています。また、スポーツイベントにおける企画・運営・実技指導は、箕面市体育指導委員が中心となって行っています。
あらゆる年代層の健康づくりを視野に入れた生涯スポーツの展開に向け、特に軽スポーツの分野で新しいスポーツが次々と開発されていますが、これらニュースポーツの指導技術を有する人材の確保に困難な状況があり、また、指導者の資質向上についても十分に取り組めていません。
《2》本市のスポーツ事業の推進に大きな役割を果たしている箕面市体育連盟については、社会教育関係団体補助金を交付し、その活動を支援しています。
平成12年度より、各種スポーツ教室やスポーツのつどいの管理・運営業務を委託するにあたり、スポーツに親しむきっかけづくりにおいては、行政が各種教室・講習会を開催してその役割を担い、スポーツの普及においては、市民の組織である箕面市体育連盟をはじめスポーツ団体の役割とすることとしました。具体的には、初心者を対象とした各種スポーツ教室や気軽にスポーツを楽しむことができるスポーツのつどいは、教育委員会主催事業として位置づけ、その運営は、箕面市体育連盟に委託すること、初級・中級以上の市民に対する講習会は、箕面市体育連盟加盟の各協会の自主事業とすることとなりましたが、市民と市との協働によるスポーツ振興を推進するため、さらに連携を強めていく必要があります。
(2)スポーツ指導者・スポーツ団体育成についての課題
《1》各種スポーツ教室やスポーツのつどいの管理指導員に対して、系統的な研修会・講習会を実施できておらず、資質向上に向けたプログラム開発・企画実施が求められています。
《2》多様化する市民のスポーツ活動の形態に対応できる新たな指導者育成のため、箕面市体育連盟との協力により、指導者養成システムを整備する必要があります。
《3》箕面市体育指導委員には、本来の業務であるスポーツコーディネーターやシンクタンクとしての役割が期待されていますが、その機能が十分発揮できていない状況にあり、今後は本来の役割が発揮できるよう、体制の整備を図る必要があります。
《4》箕面市体育連盟をはじめ各種スポーツ団体が専門的知識、技術集団として、生涯スポーツの振興に今まで以上の役割を担えるよう、NPO団体登録に向け、支援を行う必要があります。
5.子ども・青少年のスポーツ振興
(1)小・中学校クラブ活動の現状
《1》小学校の体育的クラブ
市内13小学校においては、授業の一環として4年生から6年生までの児童を対象に体育的及び文化的クラブの活動が行われています。児童の希望は圧倒的に体育的クラブが多いにもかかわらず、体育館、グラウンドなどのスペースの関係で、希望にそえない状況にあり、前期・後期制を採用し調整している学校もあります。
指導者については、基本的に教員がその指導にあたっており、経験のない競技を指導する教員は、小学校体育連盟主催の講習会に参加し自己研鑽をしています。また、「箕面市立学校文化部、運動部活動技術者派遣要項」に基づき市民の指導者も招いています。その際独自に指導者の登録を行っている学校もあります。
《2》中学校の部活動
市内7中学校すべてに運動クラブがあり、クラブ加入率は次表のように男子76%、女子61%と半数以上の生徒が参加しています。しかし、生徒数の減少、教員の高齢化などの要因もありクラブ数は減少傾向にあります。また、指導者については小学校と同様に市民の指導者も招いています。
中学校運動部実態:平成12年7月現在(単位:人、%)
|
男子 |
女子 |
クラブ数 |
指導者数 |
||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
総数 |
在籍数 |
加入率 |
総数 |
在籍数 |
加入率 |
教諭 |
外部 |
計 |
||
一中 |
327 |
319 |
85.8 |
344 |
239 |
69.5 |
12 |
27 |
2 |
29 |
止々呂美中 |
7 |
6 |
85.7 |
5 |
1 |
20.0 |
1 |
3 |
2 |
5 |
二中 |
268 |
205 |
76.5 |
248 |
127 |
51.2 |
11 |
25 |
2 |
27 |
三中 |
370 |
267 |
72.2 |
349 |
197 |
56.4 |
8 |
27 |
2 |
29 |
四中 |
374 |
278 |
74.3 |
299 |
188 |
62.9 |
10 |
28 |
1 |
29 |
五中 |
198 |
153 |
77.3 |
166 |
96 |
57.8 |
7 |
16 |
4 |
20 |
六中 |
322 |
224 |
69.6 |
331 |
221 |
66.8 |
11 |
25 |
2 |
27 |
計 |
1,911 |
1,452 |
76.0 |
1,742 |
1,069 |
61.4 |
60 |
151 |
15 |
166 |
(2)小・中学校クラブ活動の課題
《1》小学校の体育的クラブ
平成14年4月より完全学校週5日制が実施されることによる授業日数の削減にともない、体育的クラブ(文化的クラブも含む)の授業がなくなる可能性があり、小学生が学校教育の中でスポーツに親しむ機会の減少が懸念されます。
学校でのクラブ活動に代わる、地域活動としてのスポーツ活動の振興が課題となっています。
《2》中学校の部活動
平常の部活動においては市民の指導者が指導している場合もありますが、顧問には教員がなることとされており、大会への参加については顧問の引率が義務づけられていること、また大会は原則として休業日に開催されていることから、教員の負担は重く、部活動にかかわることのできる教員が少なくなっています。
生徒の部活動離れや生徒数の減少による部員不足、教員数の減少や高齢化などによる顧問不足などの理由で、種目によっては廃部となることが懸念されています。
複数校による合同部活動の実施や、顧問の負担軽減、社会教育部門との連携などの方策を模索する必要があります。
(3)地域における子ども・青少年スポーツ活動の現状
《1》乳幼児におけるスポーツ・レクリエーション
平成12年9月に実施した「子どもの生活実態調査」によると、乳幼児時期におけるスポーツ・レクリエーションは家族を中心に行われています。主な遊びの内容としては、室内で家族とおもちゃや絵本を読んだり、テレビを見たりして過ごすことが多く、次いで公園など野外での遊びが多くなっています。スポーツ・レクリエーションとしての活動はあまり見受けられません。
また、5歳児になると、スイミング、サッカーなどの習いごとをしている子どもが37.9%となり、乳幼児期のスポーツ活動が、民間のスポーツ教室に依拠している状況がうかがえます。
箕面市子どもの生活実態アンケートより(単位:%)
習いごとの内容 |
2歳児 |
5歳児 |
---|---|---|
幼児教室 |
5.1 |
- |
英語などの語学教室 |
- |
12.7 |
ピアノなどの音楽関係 |
- |
18.6 |
スイミング、サッカーなどのスポーツ関係 |
6.1 |
37.9 |
絵画教室などの美術関係 |
- |
6.5 |
ダンス、演劇など |
- |
4.0 |
お茶、お花など |
- |
7.6 |
その他 |
5.2 |
1.8 |
何もしていない |
82.2 |
39.6 |
無回答 |
3.4 |
1.8 |
《2》こども会などにおけるスポーツ活動
現在、こども会のスポーツ活動は、市と共催による駅伝競走大会、ソフトボール大会、ドッジボール大会があります。特にソフトボールについては、地域のボランティアの指導者に支えられ、活発な練習が日常的に行われています。しかし、こども会の組織率が年々低下していることと併行して、各種スポーツ活動への参加もドッジボールを除き、横ばいまたは減少の傾向が続いています。
これらの原因としては、こども会への加入者が減少していることや、子どもの興味・関心の多様化にこども会のスポーツ活動が対応できていないことなどが考えられます。
また、青少年を守る会を中心とするスポーツ・レクリエーション活動として、地域運動会などが各小学校区において展開され、子どものみならず、地域住民の交流の場として定着しています。
こども会組織率及び各大会参加状況(単位:%、チーム)
|
平成8年度 |
平成9年度 |
平成10年度 |
平成11年度 |
平成12年度 |
---|---|---|---|---|---|
こども会組織率 |
39.1 |
34.5 |
31.5 |
29.8 |
29.4 |
駅伝競走 |
58 |
62 |
64 |
61 |
56 |
ソフトボール |
34 |
31 |
26 |
21 |
22 |
ドッジボール |
31 |
39 |
40 |
67 |
74 |
《3》地域のスポーツクラブ活動
箕面市体育連盟加盟の協会員や、地域の有志が指導者となり、学校体育施設を活用して野球・サッカーなどの指導、育成を行っています。
(4)地域における子ども・青少年スポーツ活動の課題
《1》乳幼児におけるスポーツ・レクリエーション
遊びの中で身体を動かす楽しみを身につける機会を提供するなど、親子で参加できるプログラムの開発や提供が必要です。
《2》こども会などにおけるスポーツ活動
組織率の低下など、こども会のあり方そのものが問われていますが、ドッジボール大会への参加チーム数が増加していることから、単位こども会の枠を越えて、ソフトボール以外の種目への取り組みを検討するなど、抜本的な見直しが必要です。
《3》地域のスポーツクラブ活動
学校施設を利用して活動を行うクラブが多く、種目によっては利用できない場合があるなど、活動場所の確保が困難な状況があります。
完全学校週5日制の実施により、地域スポーツクラブの役割はますます大きくなることから、活動場所の開拓が望まれます。
6.高齢者のスポーツ振興
(1)高齢者スポーツの現状
市主催の高齢者軽スポーツ教室の開催及び箕面市老人クラブ連合会主催によるゲートボール・ペタンク・ターゲットバードゴルフなどの各種大会が実施されています。
また、生涯学習施設では、フォークダンスやダンスなどのサークルが活発に活動していますが、その構成員の多くは高齢者であり、元気高齢者の活動の受け皿となっています。
しかし、軽スポーツの普及やスポーツになじみのうすい高齢者にスポーツを楽しむきっかけとなるような、地域におけるスポーツ・レクリエーション活動はあまり実施されていません。
(2)高齢者スポーツの課題
高齢者が地域や家庭において、健康で生きがいのある生活をおくる長寿社会の実現を目指すには、高齢者向けの軽スポーツに対するニーズの把握とともに、プログラムの開発及び指導者の育成が必要です。
また、学校施設などの活用により、誰もが気軽に身近な場所でスポーツを楽しむことのできる条件整備が求められています。
7.障害者のスポーツ振興
(1)障害者スポーツの現状
各障害者団体における日常のスポーツ活動は、環境が整っていないこともあり、活発に行われていないのが現状です。
トレーニングルームなどの体育施設や民間温水プールの利用にあたっては、障害のあるかた減免制度がありますが、利用は少なく、また、スポーツ担当として障害者を対象とした教室・講習会に取り組んだ実績もないのが実態です。
(2)障害者スポーツの課題
障害者市民の自立と社会参加を促進し、生活を豊かにするうえで、誰もがスポーツやレクリエーションを楽しむことのできる機会を提供する必要があります。
また、障害の種類・程度により運動能力にも差があり、それにともない適応種目も多岐にわたることから、障害者スポーツ・レクリエーションに対するニーズの把握に努め、プログラムの開発及び指導者の育成やボランティアの確保を行うなど、積極的な取り組みが求められています。
平成11年7月に実施した「スポーツに関するアンケート調査」によると、アンケートに答えた市民の多くは、健康づくりや生活を楽しむため、身近な場所で友人や家族と一緒に、気軽にスポーツに親しみたいと願っています。
本市における今後のスポーツ施策の推進にあたっては、このような市民のニーズを踏まえ、市民の健康の保持増進を視野に入れた、生涯スポーツの振興方策の早急な確立を図る必要があります。
あらゆる年代層の市民が、自らの関心や体力に応じて、気軽にスポーツを楽しむことのできるまちづくりを進めるには、生涯スポーツ施策として将来的に目指すべき目標を掲げ、それに向かって具体的な事業を積み重ねていくことが必要です。
本市においては、総合型地域スポーツクラブの設立を長期的目標にすえ、今後のスポーツ施策の推進に努めることとします。
1.スポーツ振興基本計画での位置付け
平成12年9月13日、当時の文部省は保健体育審議会の「スポーツ振興基本計画の在り方について」の答申を受けて、「スポーツ振興基本計画」を策定しました。この計画には、今後10年間の我が国のスポーツ振興の計画が数値目標とともに設定されており、一つひとつの施策の展開について、国・地方・学校をはじめ民間の団体も含めた関係機関の果たすべき役割が具体的に盛り込まれています。
なかでも計画全体の根幹に位置付けられているのが、総合型地域スポーツクラブの全国展開です。最終的には、全国の中学校区程度の地域に、くまなく展開することを目標としていますが、今後10年間に全国の市町村区に少なくとも一つは設立することが明記されています。
2.総合型地域スポーツクラブの必要性
我が国のスポーツは、主として学校や企業のクラブが担ってきた歴史があり、一般的に市民は、学校を卒業するとスポーツに親しむ機会が減少する傾向にあります。そのため、あらゆる年代層の市民が、健康な身体づくりのために自らの関心や体力に応じて、スポーツを楽しむには、地域でのスポーツの振興が必要になります。
国が示す総合型地域スポーツクラブは、地域住民が主体的に運営するスポーツクラブの形態です。
スポーツに親しむ機会の少ない市民にスポーツの機会を提供するには、身近な生活圏である中学校区程度の地域において、学校体育施設や公共スポーツ施設を拠点としながら、地域の実情に応じて民間スポーツ施設も活用した、地域住民の誰もが参加できる総合型地域スポーツクラブを設置することが最適です。特に、学校体育施設は地域の最も身近なスポーツ施設であり、住民のスポーツ活動における期待は大きいものがあります。
なお、総合型地域スポーツクラブを育成することは、完全学校週5日制時代における子どものスポーツ活動の受け皿として、さらには地域の連帯意識の高揚、世代間交流などの地域社会の活性化や生成にも寄与するものです。
3.総合型地域スポーツクラブ事業の推進に向けて
総合型地域スポーツクラブの創設にあたっては、拠点となる施設の整備はもちろんのこと、創設についての市民の理解と協力が不可欠です。
総合型地域スポーツクラブは、地域住民の自主的な運営がその特色であり、地域住民自身がスポーツを通した健康づくりや住民同士の交流の大切さを実感し、協働によるスポーツクラブづくりの意義を認めることができるよう、気運づくりに取り組むことが必要です。そのためにも、学校におけるクラブ活動のあり方や、すでに学校施設を利用している地域のスポーツクラブとの関係の整理などの課題について、共通理解に立てるよう、市民との協働の場での検討作業を行う必要があります。
また、運営を行う団体についても、組織の継続性、透明性を高めるために、箕面市非営利公益市民活動促進条例に基づくNPO団体登録を行うよう、運営主体に働きかけたり、支援を行うことも必要です。
さらに、より多くの市民にスポーツに親しめる機会を提供するため、将来的には各中学校単位での総合型地域スポーツクラブを設立することが望ましいと考えられますが、当面の取り組みとして、第3章で掲げた課題を一つひとつ解決することにより、総合型地域スポーツクラブの創設に向けた取り組みにつなげるよう、努めることとします。
総合型地域スポーツクラブとは
主にヨーロッパ諸国などに見られる地域スポーツクラブの形態で、子どもから高齢者までの様々なスポーツを愛好する人々が参加できる総合的なスポーツクラブのこと。
(ア)単一種目だけでなく、複数の種目を行っている。
(イ)青少年から高齢者、初心者からトップアスリートまで様々な年齢、技術の保有者が活動している。
(ウ)活動の拠点となるスポーツ施設、クラブハウスを有しており、定期的、計画的にスポーツ活動の実施が可能となっている。
(エ)質の高いスポーツ指導者を配置し、個々のスポーツニーズに対応した適切な指導が行われる。
これまで見てきたように、少子・高齢社会の到来を踏まえ、健康づくり、基礎的体力の向上など、生涯スポーツの振興が今まで以上に強く求められています。
市民の健康の保持増進や活力ある健全な地域社会の創造を促すため、今後さらに、市民の誰もが幼少期から高齢期にいたるまで、年齢や体力・能力などに応じ、身近な施設で気軽にスポーツを楽しむことのできる生涯スポーツ振興策の確立を図る必要があります。
そのため、文部省が推奨している「スポーツ振興基本計画」に示されている「総合型地域スポーツクラブ」の設立の実現に向け具体的な検討を行うとともに、総合的・長期的な視点に立ったスポーツ振興策を展開することとします。
1.スポーツ施設の整備・充実
(1)スポーツ施設の整備
スポーツ施設の整備は、スポーツの振興を図る上で、基礎的な条件となるものです。市民アンケート調査においても、「スポーツ施設の建設」、「スポーツ施設を使いやすく」といったニーズは高く、誰もが気軽に利用できること、コミュニケーションの場であることなど、スポーツに親しめる場として、地域住民の視点にたった魅力的な施設整備が望まれています。
特に、スポーツ活動度の低い人たちにニーズが高い、温水プール、気軽に運動できる公園、ウォーキングコース、キャンプ施設などの整備を図ることにより、スポーツ潜在人口の掘り起こしが期待できます。また、グラウンドや野球場についても施設整備を検討するとともに、本市の自然を生かし、子どもから高齢者までが親しめる大きなスポーツ公園の整備を検討します。高齢者・障害者に対してのバリアフリー化を推進するとともに、附帯施設としては、クラブハウス、健康・体力チェックルーム、託児ルームなどの整備をしていきます。今後、公共スポーツ施設の整備においては、行政が整備すべきものとPFI()により、計画段階から民間資本と技術力を生かすとともに、運営面ではNPOや民間との役割を明確化することで、効率化を図っていきます。
PFI:公共部門が実施していた社会資本を民間の資金・経営ノウハウを導入し、民間事業者主導で実施する手法
(2)学校体育施設の整備
地域住民にとって身近なスポーツ施設である学校体育施設の開放についてはこれまでの単に地域住民への場の提供という開放型から、学校施設は学校と地域の共通財産であるという考え方に基づいた共同利用型への転換が望まれています。
既に小学校においては、学校体育施設の開放が進み、地域住民の自主的な組織である学校施設開放委員会準備会が順次各小学校で立ち上がってきていますが、より多くの団体・グループへの開放に向け、条件の整備に努めます。
将来的には、学校体育施設も生涯学習施設の役割を果たせるように、また総合型地域スポーツクラブの活動拠点として使用できるよう、中学校グラウンドをスポーツ施設として整備するとともに、クラブハウス、トレーニングルーム、武道場、スポーツ情報などの整備も併せて検討していきます。
(3)既存施設の有効活用
スポーツ活動を支援する上で、施設の整備・拡充は最も重要になりますが、多大な経費と年月がかかることもあり、既存スポーツ施設の有効活用を促進する必要があります。
施設面においては、夜間照明の整備、テニスコートの人工芝化により稼働率の向上を図り、グラウンド・野球場の芝生化、プールのリニューアルなど施設の魅力を高めるための方策を検討していきます。
民間のスポーツ施設については、市内の民間温水プールを一部借り上げて市民に提供していますが、さらに企業などが福利厚生施設として所有しているスポーツ施設についても、地域住民の身近なスポーツ施設として利用できるよう関係者間での協議、検討を進めていきます。
(4)スポーツ施設管理・運営の充実
スポーツ施設の管理・運営においては、利用者の立場を考慮し、親しみやすく、安全で、魅力のあるシステムづくりが求められています。健康志向の高まりの中で、適切なアドバイスのできるスポーツトレーナーを配置するとともに、将来的には、メディカルチェックをより充実させ、スポーツドクターと連携した相談体制を確立できるよう検討します。加えて、スポーツの実践は、自主的、自発的が基本であることから、市民一人ひとりがスポーツ活動に積極的に取り組めるよう支援策を検討します。
また、スポーツ施設の管理・運営については、従来の公共施設の管理・運営を見直し、開館日の増・開館時間の延長、予約方法の簡素化、適正な料金の設定などを検討するとともに、より効率的な運用を図るため、管理運営事務の一部について民間事業者への委託化を図ります。
2.スポーツ事業の推進
(1)スポーツ事業の充実
スポーツ事業は、スポーツイベント、スポーツ教室、スポーツ大会などのプログラムサービスのことであり、スポーツ実践のための動機づけになると同時に、スポーツを継続する上での目標や励みとなるものです。スポーツイベントの開催に際しては、参加者の年齢や体力・能力に応じた種目を設けるなど、幅広い年齢層が参加できるようなプログラムを企画します。
スポーツ教室については、スポーツを気軽に、安全に楽しむというニーズに応えるよう、より多くの軽スポーツや健康づくりなどの教室を実施していきます。
また、スポーツ大会については、市民の参加できるものが市民体育大会などに限られているため、それぞれのレベルや年令などに応じ、地域での大会、広域的な大会、世代間交流大会などを企画し開催していきます。
(2)子ども・青少年スポーツの振興
乳幼児期は、地域とのふれあいよりも家族とのふれあいの時間が多く、家族の影響により生活習慣や人格形成がはぐくまれます。また、運動能力に関しては、スポーツ・レクリエーションよりも遊びの中で身につけていくことから、今後は、親と子どもが一緒になって楽しめる遊びの要素を含めたプログラムを企画していきます。
青少年期は、生涯にわたって、スポーツに親しむ習慣を形成する重要な時期であることから、多様なスポーツを体験し、同年齢同士や異年齢間の交流を幅広く行うことが大切であり、スポーツの楽しさ、フェアプレーの精神、公平な参加などを重視したプログラムを充実していきます。
また、青少年期のスポーツ活動は、学校を中心に展開してきましたが、少子化、指導者不足、スポーツニーズの多様化などにより、クラブ活動の維持・発展が困難な状況にあります。学校が有するソフト・ハードの資源を地域に提供するとともに、地域のスポーツ指導者をクラブ活動の指導者として活用するなど、積極的に連携を図れるよう検討していきます。
さらに、将来は地域のスポーツクラブにおいても、青少年スポーツを振興することが期待されており、実施可能な部分から学校を含めた関係機関と連携・協力を図り、多様なスポーツ環境を提供していきます。
(3)高齢者スポーツの振興
高齢者の生活を豊かにする上においては、自ら健康づくりを心掛け、主体的に行動し、自立したライフスタイルとなることが望まれています。軽度の身体活動の機会を増やすため、地域におけるスポーツ・レクリエーションの場へ参加したり、ボランティア活動など、積極的な社会参加が求められています。
また、スポーツ種目としては、ライフスタイルによる個人差が見られますが、ウォーキング、水泳、体操など負荷の軽いものが望まれていることから、仲間との交流や世代間交流のきっかけづくりのため、学校施設などの身近なところで、気軽に参加しやすい軽スポーツ、ニュースポーツなどの講習会や教室を開催をしていきます。
(4)障害者スポーツの振興障害の有無にかかわらず、誰もが生涯にわたり、それぞれの興味・関心・年齢・体力に応じ、スポーツを親しめることが望まれています。これまでは、リハビリテーション的観点からのアプローチが主なものでしたが、近年は障害の種別、程度に応じ、日常生活の中でスポーツを楽しむとともに、競技スポーツへの関心も高まっています。
このため、各種スポーツ教室や大会などの企画・運営については、種目やレベルの設定、競技方法など、障害者のスポーツ・レクリエーションのニーズを把握した上で、適切なプログラムの開発・研究を進めます。
また、障害のある方にとって不可欠な施設の改修、整備に努めるとともに、障害者スポーツ大会の開催を検討していきます。なお、この大会の開催にあたっては、指導者・ボランティアの確保が不可欠であることから、指導者の養成のための講習会などを実施していきます。
3.スポーツ指導者・スポーツ団体の育成
(1)スポーツ指導者の育成
市民のスポーツ活動を推進していくためには、指導者の育成・確保は必要不可欠です。市民のスポーツ活動の形態が多様化・高度化し、指導者に対するニーズは質量ともに増大しており、指導者の資質向上のための研修会・講習会を開催することが必要です。
また、新たな指導者の育成のため、独自の指導者認定講習会を開催するなど、資格認定制度を確立し、現在活躍されている指導者や指導者として資格を有した人々を中心とした、スポーツリーダーバンクの設立を検討します。
さらに、総合型地域スポーツクラブの育成・運営においては、技術指導もさることながら、マネージメントやコーディネート能力を備えた人材の確保にも努めます。
(2)体育指導委員の役割
箕面市体育指導委員は、地域スポーツ振興の推進者として重要な役割を果たしていますが、社会体育事業としてのスポーツイベントにおける企画・運営・実技指導が主となり、本来のスポーツコーディネーターやシンクタンクとしての機能が十分発揮されていません。今後はますます、スポーツ振興の方針・計画に対する提言や市主催の事業の立案・企画・指導など、行政と市民との橋渡しの役割が期待されます。さらに、総合型地域スポーツクラブの育成に向けて、コーディネーターとしての役割が担えるよう体制の整備を促進します。
また、委員の構成については、学校施設開放や総合型地域スポーツクラブの活動を支えるため、小学校区単位から選出するなどの手だてを講じるとともに、学識経験者なども含めた構成とするなど、企画機能の強化を図っていきます。
(3)スポーツ団体の育成
箕面市体育連盟をはじめ各種スポーツ団体は、従来から本市のスポーツ事業の推進に関して大きな役割を担っています。今後においても行政のパートナーとして生涯スポーツ、競技スポーツ、学校スポーツなど広範な活動が期待されていることから、スポーツ教室・講習会などの各種事業展開、スポーツ大会の運営、指導者の養成・派遣などへの協力の依頼要請をしていきます。
また、総合型地域スポーツクラブの運営・管理・指導においてもスポーツ団体の役割は重要であり、事業運営が主体的に行えるようにNPO団体登録を視野に入れた中で、活動を支援していきます。
4.スポーツ情報の提供・収集
誰もがスポーツに親しむためには、スポーツに関する情報に接することができる環境づくりが重要です。平成11年7月に本市が実施した「市民スポーツアンケート調査」によると、スポーツに関する情報収集は、広報紙が主なものとなっています。今後は、さらにスポーツに関する情報提供・収集を充実するため、スポーツ施設予約の電算化、スポーツ情報コーナーの設置、インターネットの活用などの情報提供システムの整備を進めます。
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