令和4年度第2回箕面市総合教育会議議事概要
日時:令和5年(2023年)3月16日(木曜日)午後1時から午後3時
場所:市役所本館3階委員会室
出席者:
【箕面市】上島市長
【教育委員会】藤迫教育長、山元代表教育委員、髙野委員、稲田委員、高橋委員
【事務局】藤村副教育長
(子ども未来創造局)岡局長、浅井担当部長、藪本副部長、金城学校教育監、濵口担当副部長、今中担当副部長、山田担当副部長、小西担当副部長、乾室長、柴田室長、髙取室長、今峰室長、多々室長、岡田室長、鉾之原室長、福田室長、松澤室長、坪田室長、片山センター長、小林室長、谷尾室長、遠近室長、大迫館長
【傍聴者】5名
1.議事内容
1.箕面市教育大綱別紙<2022>の結果報告について
学校教育
(上島市長)
- 英語教育についてですが、小中学校合わせて約800人の教員のうちALTが76人います。現在小学校で実施しているイングリッシュタウンを中学校にも拡大していったらよいのではないかと思います。箕面市は以前、ニュージーランドのハット市に留学生を送っていた時期もあり、復活を希望する声も聞いていますが、箕面市ではALTを充実させることにより、多くの子どもたちは小学1年生から英語と接する機会が多く、大阪府域ではトップクラスの英語能力を持っていると思います。英語のみならず学力、体力、生活習慣の面でもバランスのとれた子どもたちを育むことが、我がまちの魅力にもなります。引き続きしっかりと進めていっていただきたいと思います。
(藤迫教育長)
- 英語教育における箕面市の特徴としては、英語指導助手をつけていただいていることと、英語指導助手とそれ以外の教員が箕面市オリジナルの指導案をもとに一定の授業の質を担保できていることだと思っています。また、幼児教育と小学校教育の架け橋、小中一貫教育を推進する中で、英語は非常にその理念、筋が通っておりよい例となっています。例えば、就学前にはまず触れる、小学校低学年では慣れ親しむ、小学校中学年では伝える、小学校高学年では伝え合う、中学校になったら発信する、つながるという一定の目標のテーマを設けています。それに基づいて、授業の15分モジュールと外国語活動をどう組み合わせるか、中学校であれば、さらにコミュニケーションを入れるなどの目標を実現するためにALTをどう配置するか、といったことを考えています。教員は自分の受け持ちの学年のことのみを考えるのではなく、子どもたちの経験、発見、成長過程を踏まえて将来像を見据えた教育をするという、筋の通った取り組みをしています。このことによって一定の結果が出ていると思います。
(上島市長)
- イングリッシュエクスプレッションコンテストを大阪大学箕面キャンパスで開催したことは非常に良かったと思います。会場が素晴らしいということもありますが、公立のみではなく私立学校の子どもも参加することによって相乗効果が発揮されます。大学には教授、留学生もおられます。今後、そういったかたとの交流、学ぶ機会を増やしていってほしいと思います。
(藤迫教育長)
- 審査委員には大阪大学の教授にも入っていただいていますが、せっかくコラボするので、今後は大阪大学とさらに深く連携していきたいと思っています。
(山元代表教育委員)
- テーマがかわり、不登校の取り組みについてです。居所不明になってしまった子どもの卒業証書をどうすべきかということは議論されていないように思います。箕面市では居所不明の子どもの卒業証書の取扱いをどうされているのか、教えてください。
(事務局)
- 様々な事情で卒業式に参加できない子どもたちも確かにおります。その場合、ケースによりますが、例えば卒業式終了後に校長室などの別室で、その子だけの卒業式として個別にお渡しするケースもあります。また、担任が自宅に持って行ってお渡しする、本人へのお渡しが難しい場合は保護者にお渡しするケースもあります。先ほどお話にありました居所不明の場合ですが、いわゆる不登校調査の中では必ず安否確認することが義務づけられています。本市でも、調査の際には、全く登校できていない子どもも含めて全員の確認を行っていますので、居所が完全に不明というケースは本市においてはありません。それぞれの事情に応じて何らかの形で卒業証書を授与しています。
(山元代表教育委員)
- 箕面市立第三中学校の3年生がバレエの国際コンクールで入賞したことが大きなニュースになりました。この子は最後に現地に残るというようなことを聞きましたが、入試や学校の手続きはどうするのか等が気になりました。
(事務局)
- 海外に在住されていて、日本の学校に籍が残っているケースもありますし、その場合でも、進学が可能な学校はございます。いわゆる特技を持った子どもがその分野で頑張るために学籍を置く場合は、本人がその場にいなくても手続きができるようになっているので、本人が海外に在住したままでも進学する方法をとることは可能です。
(藤迫教育長)
- 安否確認についてですが、本市では親だけではなく、必ず子ども本人の顔を見て確認しているため、居所不明の子どもはいません。不登校に関しては、色々な取り組みをしていますが数は減少しにくい現状はあります。我々もスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、あっとすくーるにつなぐ等していますが、やはりつなぐことが難しい子どもはいますのでそこは課題です。学校も努力しており教育委員会からサポートもしますが、ご家庭によっては閉じてしまっているケースもありますので、その点はもう少し知恵を絞っていく必要があると考えています。
(稲田委員)
- いじめの重大事態について、箕面市は件数が多いように感じますが、現状について説明をお願いします。
(事務局)
- 令和4年度のいじめ重大事態については、現時点で8件御報告しているところです。いじめ防止対策推進法が制定され、この法令に沿って判断をしております。確かに、全国の中で箕面市としては件数が多い印象を受けられると思いますが、いじめ重大事態の内容としては、1号事案として「心身に重大な被害を負う」、2号事案として「いじめをきっかけに不登校になる」といった基準に沿って、また、いじめガイドライン等も参考にして判断しています。このように、できるだけいじめを認知し、たくさん発見して重大事態になったとしても、しっかりと調査、早期解決し、次につなげていくことが大切だと思っております。従って、本市ではこのような形で進めております。
(稲田委員)
- 令和4年度の全国のいじめの重大事態件数が700~800件程だとすると箕面市が全体の1%を占めているということになります。やはり件数として多いですが、箕面市の場合、いじめについて非常に丁寧に対応している結果であると思います。ただし、重大事態の中には調査に非常に多くの時間と費用がかかるケースもあります。毅然とした態度で、重大事態に該当するから対応は必要であるとか、重大事態には該当しないといった判断を適正に行っていただきたいです。何でも重大事態ということではなく、一定の基準に基づいた対応を継続してほしいと思います。それから、国から生徒指導提要が改訂されましたので、十分に参考にして学校の生徒指導対応をきちんと進めていただきたいです。
(藤迫教育長)
- 重大事態については我々も苦慮していますが、様々な議論をしながら対応しています。稲田委員から指摘がありました本市の件数が多いことについては、法律あるいは国の基本方針、ガイドラインの記載内容を、正しく丁寧に読んで一定の対応をしていることの結果となっています。例えば先程の事務局からの説明内容を補足しますと、重大事態にあたるものは何かということについて、いじめ防止対策推進法によりますと一つ目は、「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき」、二つ目は、「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき」となっています。これは重大事態かそうではないかという判断より以前に、重大事態の疑いがある段階で重大事態として取り組んでいかなければいけないということです。基本方針に従い、児童生徒や保護者から、いじめによる重要事態が生じたという申立てがあった場合、その時点で学校がいじめあるいは重大事態ではないと考えたとしても、重大事態が発生したものとして報告調査にあたります。それがなぜかというと、児童生徒または保護者からの申立ては、学校が把握していない極めて重要な情報である可能性があることから、調査をしないまま重大事態ではないと断言できないことに留意しています。つまり、疑いがある段階で動き出して、調査したうえで重大事態ではないと判断することはよいのですが、調査をすることなく重大事態ではないという判断をしてはいけないということです。もう一点、いじめの重大事態の調査に関するガイドラインの「学校の設置者及び学校はいじめを受けた児童生徒やその保護者のいじめの事実関係を明らかにしたい、何があったのかを知りたいという切実な思いを理解し、対応に当たること」という基本的姿勢を丁寧に読み取って対応しています。他の自治体と話をすると、やはり少し温度差があり、もう何年も経って初めて重大事態が出たということを聞くと、箕面市との違いを感じます。取りこぼし、抜け落ちによって残念な結果にならないように記載されていますので、今後もまた皆さんに相談し、意見をいただきながら丁寧に進めていきたいと思います。
(上島市長)
- いじめの認知件数が本市では1年間に4000件程あります。一方、箕面市の2倍の人口の市がいじめ件数が2000件位でも多いと言っています。では、それだけ箕面市でいじめが発生しているのかというとそうではなく、やはりしっかりと早期発見、早期対応に努め丁寧に対応している結果の件数です。特にtomoLinksを使った「こころの日記」では、子どもたちが自分のその日の気持ちを「とても嬉しい」「嬉しい」「普通」「悲しい」から選択して記録します。さらに個別相談についても、言葉では言いづらい「自分がいじめられている」といったことをオンラインで送信する「そうだんアプリ」もあります。他市と比較しますと、そこまでしている市はなかなかありません。いじめ重大事態について調査委員会を開催する場合、多大な経費の負担が生じます。国のいじめ防止対策法が一つの裏づけになっていると思いますが、開催するごとに市町村が負担している経費について国からのサポートが必要だと思います。教育委員会としてはこの辺りを整理していただき、我々はこの内容について要望していきたいと思います。
(藤迫教育長)
- いじめの問題は箕面市のみではなく全国的に大きな問題です。先程稲田委員からもお話がありましたが、生徒指導提要の改訂が12年ぶりに行われました。改訂の背景には、いじめの法律の制定や全国的にいじめの対応に苦慮している状況もあります。また、犯罪に該当するような悪質ないじめについては、すぐに警察に通報するようにという指導が改めてありました。本市では悪質ないじめについては既に警察に通報していますが、改めて指導されるということは、全国的には警察への通報がなかなか徹底されていないということだと思います。小さな段階で対応すれば解決できる事案が、大きくなってしまった事例があったため、通報について指導があったのだと思います。また、大阪府から通知が届いてから整理して通知しようと思いますが、4月以降は重大事態が発生した場合、文科省にも報告しなければいけないという運用になるようです。となりますと、市長がおっしゃっているように、全国で苦慮しているいじめの対応について、やはり国から何らかのサポートをしようということだと思います。文科省からの通知、意向も確認しながら、我々は国に支援を依頼し、国が考えている以外に市が苦慮している事柄についてはぜひ国に伝えていきたいと思います。国の動きからは、全国的にいじめに起因して学校に来ていない子ども、それから心や身体も含めて病んでいる子どもがたくさんいるという背景があると考えられます。ぜひ我々も、箕面市の中でしっかりと取り組んでいきたいと思っています。
(上島市長)
- その辺りの実態も含め、文科省に対して訴えるべきものを整理していただきたいと思います。
(山元代表教育委員)
- テレビで文科省大臣がいじめについて警察にも届けるようにと話していましたが、警察は被害届をそんなに簡単に受けないだろうと考えていました。しかし、いじめかどうかわからないような事案であっても、警察に被害届を提出したら受理するそうです。国が動くと物事が大きく変わることを実感しました。やはりニュースを見て、こういった動きを把握しておかなければいけないと改めて思いました。
(髙野委員)
- 保護者の視点から意見を述べさせていただきます。まず1点目の英語教育についてですが、うちの子どもが小学1年生の10月に試行が始まった時から箕面市で英語を学ばせてもらって、現在中学3年生になりました。我が家では英語教育に特化したことを家庭では特にしておらず、箕面市の英語教育のみで9年間学んだのですが、本当に英語が好きなんですね。学校の英語教育だけで英語が好きになったというのは、やはり箕面市の英語教育の賜物だと思います。休み時間に子どもがALTの先生と話をしに行くというのはなかなかないことですよね。それが既にできていて、実際に他愛のない会話をする中で、「ちょっとうまく伝えられなかった、もう少しコミュニケーション力を高めていかなければいけない」といったことを、本人が言っています。このような環境はとてもありがたいことで、今の箕面市の子どもたちの英語力につながっていると実感しているところです。さらに充実させていただくことをお願いしたいと思っています。2点目のいじめの対応ですが、私が子どもを通じて感じたのが、いじめになる前、生徒間トラブルの時点の対応が、中学校に関してはチームで連携していることを感じました。かなり早い段階で生徒間のトラブルに気づいていただいて、何が原因でこうなってるのかという整理も的確で早く、いじめの深い問題になる前に対応していただいた経験がありました。先日は卒業式がありましたがその時にお世話になった先生には、娘も息子も大変感謝していました。ただ、小学校においてはこの対応があまり浸透していないように感じています。それは、子どものトラブルなどが全て低年齢化しているからだと思います。これまで中学校で起きていたことが、今は小学校高学年でどんどん起きてきています。その対応を小中学校で連携して、中学校の生徒間トラブルの早期対応についても小学校の先生がたに共有され、小学校のトラブル対応に役立てていただきたいと思っています。3点目の不登校については、多くなっているのを感じております。私が知り合いのお母さんがたから相談を受けるのは、行き渋りの時点、朝なかなか学校に行けずに悩んでいるという相談をよく受けます。どの段階で相談をしたらよいのか、学校以外に相談する場所があるかなど悩んでおられることが多いので、不登校になりかけている時点の相談窓口を充実させてほしいと思います。保護者のかたがいっぱいいっぱいになっている状況があり、私もそういう場面に直面していますので、保護者へのサポートも必要だと思っています。最後に1点、プログラミング大会が今年実施されました。高校では「情報」が教科化されて数年経過しますが、さらに重きを置かれて「情報」が共通テストの科目となるということで、この教科の重要度が増しているところです。プログラミングイコール情報ではないんですが、やはりこのプログラミング大会でプログラミング的思考を審査しており、「情報」に興味を持つきっかけになると思います。箕面市が小学1年生という早期から英語教育をしていたように、このプログラミング大会によって子どもたちが将来学ぶ「情報」という教科への興味に少しつながればよいと思い、期待しております。
(高橋委員)
- いじめの対応についてですが、重大事態にあたらないようないじめにもっと注目するべきなのではないかと思ってます。最近、大人の目が届かないような場所が増えていますよね。具体的には、子どもだけがインターネット上に作っているグループチャットなどです。中学生になって初めてスマートフォンを手に入れ、インターネットを使えるようになって、気軽に友達にいろいろな言葉を投げかける中で、もしかしたら、面と向かっては口にしないような人を傷つけるような言葉を、スマートフォンでぱっと送ってしまう可能性があると思います。そういうことをすると本人も不幸ですし、もちろん受け取った人も嫌な気持ちになります。気軽に人を傷つける言葉を送信しないよう、未然防止の取り組みを強化するほうがよいのではないかと思っています。今年度、重大事態の中にインターネット上のいじめに関する案件はなかったと思いますが、今後は起こる可能性も考えられます。そうならない内に先んじて、インターネット上で軽率に人を傷つける言葉を送らないような教育を子どもたちにすることが必要です。もちろん子どもたちだけではなく保護者にとっても、子どもたちにスマートフォンを持たせるあるいはパソコンを使わせるにあたって必要だと思います。現在も、毎年そういったセミナーをされていると思いますが、希望者が参加する形になっているものを、押しつける訳ではないのですがみなさんに行き届くような形で教えていくことができたら、いじめ防止につながるのではないかと思っています。英語教育については、中学校区のALTのかたを集めて授業をされたケースがあり、本当にすごいなと思いました。簡単にできることではないと理解はしていますが、ああいったことが各学校で定期的に開催されるようになれば、今以上に英語を話せる子どもたちが増えるのではないかと思っています。我々の世代はTOEICで700点程度で、英語ができると言われますが、今の子どもたちの世代であればそれが当たり前で、その先に必要なスキルとしてこのイングリッシュエクスプレッションコンテストのように、英語を使ってどうものを伝えるか等、一歩先の技能を求める世代になってきていると思います。どこまでできるのかわかりませんが、このような機会の充実を検討いただけたらと思います。よろしくお願いします。
(藤迫教育長)
- SNSの問題は、我々も非常に頭を痛めています。保護者を対象にした定期的な研修会の実施や、学校の授業でもインターネットに潜む危険についての注意喚起をしているのですが、問題は幾つも出てきます。例えば写真を貼り付ける、改造して組み合わせる、ライングループから外すといったことが行われているのです。また、知らない間に課金され、千円や二千円ではなく我々が驚くほどの金額を使ってしまっていたということがあります。箕面市と箕面警察署とはこれまで良好な関係ができていますので、今のような例はすぐに警察に行っています。というのは、特定の小学校・中学校の範囲に収まらず、箕面市の中学校の子どもと、近隣市の中学生とがつながってるというケースもあり、こうなると、我々の範囲ではなかなか解決できません。このため、起きている事象について箕面署に相談しています。また、暴力行為が止まらない子どもに対して幾ら指導しても、再び暴力行為に及んでしまう場合も、警察にサポートセンターからの指導等をお願いしています。被害届に限らず、警察と共有したほうがよいような内容、学校の指導の範囲を超えているような内容は、警察と連携しています。髙野委員のお話にもありましたが、中学校は学年ごとにチームを組み、ある程度組織化されているところがあるため、いじめに対しても比較的早い動きがあると思います。何か起きてから指導するのではなく未然防止のために、子どもの成長を促す指導など積極的にしていかなければいけない、保護者も地域も含めたチーム学校としてやっていくことなどが、改訂後の生徒指導提要にありますので、そういったことも含めて取り組んでいきたいと思います。
(稲田委員)
- スマホがいじめの原因になっているとか、犯罪につながっていくという話がありましたが、我々が考える以上に子供の世界は進んでおり、大人が色々考えてもなかなか子どもには追いつきません。対策としては、専門家を招き研修を毎年続けていくしかないと思っています。以前専門家の篠原嘉一さんを招いて、全学校で子どもたち、保護者、教職員に対する研修がありました。この分野はどんどん変化していくので、研修も変化する実態に合わせて、一回のみではなく毎年実施していかなければいけないと感じてます。全校で研修をしなくても、例えば収録したものを全校に配信するなどの形でもよいので、情報をきちんと伝えてくれるかたに毎年研修で来ていただくことが大切です。
(藤迫教育長)
- ここまで、学校担当の案件については一通り意見交換ができましたので、教育大綱別紙2022の結果報告に記載はありませんが、今、ちょうど船場の新設校に関して検討を進めている最中であり、折角の機会ですので現在の状況とスケジュールについて共有してください。
(事務局)
- 船場の新設校の校種再検討の状況ですが、市長からの依頼を受けまして年明け早々より、船場の新設校を施設一体型小中一貫校としたときに生じる課題、具体的には中小学校の校区を第二中学校の校区とする場合、市内のほかの校区連携型の小中一貫教育の体制に比較して規模が大きくなる、いわゆる4小1中問題の解消策につきまして、学校管理職や学識経験者などへのヒアリングを行いながら検討を重ねております。今回の校種の再検討の取組状況につきましては、地域団体のかたがたにもご説明しながら進めているところです。現在は、できるだけ多くの案、例えば小中連携のための人員を配置する方策や、中小学校の中学校区を変更する方策など、様々な案について比較検討しております。新年度の早い段階で、教育委員会としての一定の判断を行うことができるよう検討を進めております。
(上島市長)
- (仮称)箕面市立船場小学校の校種に関する第三者評価専門委員である樋口委員は、大阪府域で初めての施設一体型小中一貫校であるとどろみの森学園、2校目に彩都の丘学園の校長を務められ、設立段階から関わられました。施設一体型小中一貫校の実情をよく理解されている樋口委員のご意見を紹介します。教職員の視点、児童生徒の視点、保護者の視点、まちづくりの視点、過去の経過を踏まえた視点、その他の視点からのご意見です。まず、教職員の視点での「施設一体型」と「校区連携型」の違いは次のとおりです。「施設一体型小中一貫校は、校長1名の組織体制であることから学校としての統制がとりやすく、必然的に情報共有が行いやすい。学校間の物理的な距離が存在しないため、乗り入れ授業も実施しやすい。生徒指導の面では、生徒指導主事が一体となって協力、対応できる。そして、9年間の子どもの育ちの中で子ども集団や家庭を継続してサポートし続けることができるため、チーム学校として対応しやすい。行事の開催や生徒会活動の実施においても、教員同士の情報共有が行いやすく、校区連携型と比べれば実施のハードルが下がる。小中一貫教育を推進するのであれば、教職員にとっては、施設一体型のほうがメリットは大きい。」と結論づけられています。次に、児童生徒の視点での違いは次のとおりです。「異学年交流によって、上の学年の子は自尊感情が育まれ、下の学年の子には上の学年の子に憧れる、自分の将来像をイメージすることができる。これは日常的に異学年交流が可能な施設一体型ならではのメリットである。また、施設一体型においては、発達段階に応じた乗り入れ授業、異学年の協働学習が実施されやすいことから、学習意欲や自己肯定感が高まり、学力面での向上が期待でき、生徒指導面においても多くの大人が関わることで、多様な視点で子どもの理解が進むなどのメリットがある。委員会活動を5年生から9年生まで合同で実施することで、異学年交流の機会を容易に増やすことができるということも、施設一体型ならではである。」とされています。次に、保護者の視点での違いは次のとおりです。「施設一体型では、学校だよりに1年生から9年生までの情報が掲載されている。中学籍の保護者と情報交換をする機会が多いことなどから、保護者にとって、子どもの将来の見通しがイメージしやすい。また、同じ校舎に1年生から9年生までの子どもがいるので、授業参観でも8、9年生の動きや生活実態を見ることができる点も、保護者にとってのメリットになり得る。」とされています。また、まちづくりの視点での評価は、「市全体のまちづくりの観点で言えば、教育はとても大きなまちづくりのツールである。特に子育て世代に対しては、教育・子育てに力を入れているということは、居住地選択の大きな訴求要因になり得る。教育の柱として、最新最適の教育環境で学力、体力の充実・豊かな心の育成に力を入れるために、小中一貫教育を進めるという大きな方針を掲げ、実行し、アピールしていけば、子育て世代にとって魅力のあるまちとして、箕面市の今後の成長につながる。また、箕面市が船場地域に新たに学校を新設し、その学校が先進的な施設一体型小中一貫校となれば、船場地域への非常に大きなまちづくり戦略のポイントとなる」。過去の経過を踏まえた視点での評価は、次のとおりです。「小中一貫教育のさらなる充実を考えた場合、より多くの教職員は、施設一体型を経験できるよう、新設校3校目を施設一体型小中一貫校とし、そこで得た子ども理解のあり方や教科研究の経験を計画的な人事異動を通じて校区連携型に広めるという手法についても検討を行うべきであった。加えて、3校目となる施設一体型校を新設することを契機に、教職員はもちろん、市民、地域も含めて、今一度市内全域に小中一貫教育の理念を広めていく機会ととらえていくことも意義がある。教育的視点、まちづくりの視点双方において施設一体型が望ましいことや、船場新設校の開校まで時間的猶予があることを鑑みれば、今後一定の時間をかけ、市全体を見通した検討を行い、その上で総合的に、箕面市民の利益となる校種はどちらなのかという検討を行うことは、十分理解ができる」。最後に、その他の視点として、「船場新設校が施設一体型であれば、施設一体型を経験できる教員の枠が増えるため、より早く、より計画的に、小中一貫教育を強力に進めることができる可能性が広がるだろう。その場合は、新設する施設一体型小中一貫校と、既存の施設一体型小中一貫校2校に小中一貫教育のカリキュラム研究や教職員研修等の機能を分担し、一貫教育拠点としての教育センター機能を持たせるという手法も、全市的に小中一貫教育を推進することに寄与するものと考える。」と、締めくくっておられます。さまざまな視点での評価から、施設一体型小中一貫校が望ましいとのことです。北急延伸はまさに千載一遇のチャンスであり、箕面市の子どもたちへの教育力を高めるという箕面市のまちづくりという視点についても、50年100年先を見据え、我々がしっかりと考えて結論を出すべきであると思います。ご検討よろしくお願いいたします。
(藤迫教育長)
- 今、我々は、市内の全ての学校について、施設一体型のみではなく校区連携型も含め小中一貫教育をどのように進めるべきか、検討会議を立ち上げて進めています。先日も、先進地である広島県呉市を検討会メンバーが視察し、教育委員会でも教育委員と協議しました。これまで思いが至らなかった点等、勉強させていただいています。一方事務局では、これまでの校種を決定した経過も含めそのときの課題が解決できるのかどうかという点も確認しており、副市長協議まで進めています。現段階では少しずつ進めており、教育委員さんともしっかりと議論を重ねていますので、いずれ市長に協議できると思います。
子育て施策
(藤迫教育長)
- 保育・幼児教育センターについて、私も研修会に一度出席しましたが、色々なかたが参加されていました。面白いと感じたのは公と民の違いのみでなく、同じ民同士であっても、会話の中でお互いが違うやりかたをしていることが分かり、「うちではこうですが、そちらでは違うんですね。それは大事ですよね。」という会話がありました。これはとてもよいことだと思いました。やはり物事は何でも「知る」というところから始めるのが大切だと思います。まず知った上で、仕入れた情報を自分なりに取捨選択し、最終的に判断する。このためにまずは「知る」ことから始めないと物事はなかなか進まないと思っています。その間、色々なテーマで研修していたのを見ていましたが、参加者も、よかったと思って帰ってくださったのではないかと思います。研修を通じて知った考えかたを「うちの園で共有します」とおっしゃっていました。保育・幼児教育センターができるまではこのような機会を持つことがなかなかできなかったと思います。今後、さらに進めていかなければいけないと思いました。
(上島市長)
- 私も、保育・幼児教育センターの梅花女子大学伊丹教授の支援教育の研修に出席したのですが、興奮して涙が出てくるような心躍る経験でした。参加されているみなさんも同じような経験をされたと思います。教育センターができてから、研修の機会が5倍に増えています。公立のみではなく、私立保育所、幼稚園、認定こども園といった種別なしに全てのかたが受講できる体制を作っていかなくてはいけません。リアルだけでなくオンラインでも、それぞれの保育園に帰っても研修を受講できる環境が必要だと思いましたので、引き続き充実させていってほしいと思いました。
(山元代表教育委員)
- おじいちゃん、おばあちゃんのための家庭保育手帳を作ってほしいと切に願ってます。私も5歳の孫を保育所に迎えに行くのですが、お父さん、お母さんは忙しいので、迎えに行くのはおじいちゃん、おばあちゃんが多いです。みなさんのお話を聞いていたら家に帰ってもずっと孫の面倒を見ているという話を聞きます。我々の指針になるものが欲しいと思っていますので、保育・幼児教育センターで作ってほしいと思います。
(藤迫教育長)
- 保育士不足についてですが、保育・幼児教育センターを立ち上げたからすぐに保育士不足が解決する訳にはいかないのですが、不足解消に向けて取り組んでいます。森町は特に保育士確保が難しい状況にあります。やはり交通の便が悪く早朝からの勤務は移動も大変という点がネックになっています。現在は緊急対応として派遣等していますが、あくまでも緊急対応です。恒常的な森町の保育士不足を解消しようとすると、もう少し補助を手厚くし手当をつけ、なぜ保育士が確保できないのか要因を分析し、解決方法を考えないといけません。経費のかかる話なのでもう少し整理してからご相談します。
(事務局)
- 地域に応じた、柔軟な補助金をお認めいただけたらよいかと考えておりますので、改めてご報告させていただきます。
(上島市長)
- 交通の便がよくない場所にある保育所で勤務する保育士確保策は必要だと思います。園児の数も増えていますので、そこは分析をして柔軟に確保するべきだと思います。また、保育・幼児教育センターは緊急対応のために人材バンクを作って潜在保育士を登録しておき、もし急に保育士が不足するような事態が生じたときに対応できないかと思っています。
生涯学習・社会教育
(山元代表教育委員)
- 図書館で実施された箕面・世界子どもの本アカデミー賞の記事は、新聞に大きく掲載され、よかったなと思います。特に「かいけつゾロリ」の著者、原ゆたかさんは子どもたちにとって神様ですから。その原さんが箕面市に来られて子どもたちに話をしてくださるというのは非常に貴重な機会だと思います。こういう取り組みが復活したのは箕面市の子どもたちにとって非常に嬉しいことだと思いました。
(藤迫教育長)
- 箕面・世界子どもの本アカデミー賞の取り組みの素晴らしいところは、子どもたちが自分で選んで投票するところです。誰かから読みなさいと言われて本を読むのではなく、自発的にその本を読んでみたい、本を開いてみたいと思う気持ちを大事にしています。ステップアップ調査の検証をするときに、毎回課題となるのが国語の条件付作文で、これはきちんと質問を読み取れていないことが原因だと思います。国語に限らず全ての教科においても質問を正しく読み取ることが大事であり、読む力は全てに関わってくると思っています。読み取る力を養うのは国語の授業のみではなく、自ら本を手に取って読むという習慣づけが、箕面市の子どもたちの課題解決の手がかりの一つになると思います。授賞式が楽しいのはよいことですし、実際に受賞されたかたも大変喜ばれ、こんな賞をもらうのは初めてだとご自分のブログに書かれる、出版社の社屋にトロフィーを飾る等の話を聞くと、アカデミー賞をやってよかったなと思います。今後もこの授賞式も続けていきたいし、子どもたちの本を読む、文章を読み取る力をつけることにつなげていきたいと思います。
(山元代表教育委員)
- 先日、サントリーサンバーズと箕面市との連携が新聞に大きく出てました。ふるさと納税のサントリーサンバーズのサポート体験は人気があり一気に埋まってしまい、なかなか参加できないので数を増やしていただけたらありがたいと思っています。
(藤迫教育長)
- サントリーサンバーズは地域貢献したいという考え方が非常に強いです。私も後援会に入っているのですが、非常に協力的です。せっかく箕面市にあるチームなので、お互いWin-Winになるような関係でいたいと思っています。
その他
(山元代表教育委員)
- 部活動の地域移行について、率先して取り組んで風穴を開けてあけていこうという箕面市の取り組みは非常に大切だと思います。ただ、今まであったこの部活動が平日に1日休み、土日また1日休むといういうことで、マイナスイメージになっているのではないかと心配しています。地域移行する部活動も、一方では学校に残った部活動も頑張ってほしいです。部活動はやはり大切です。現実的には可能ではありませんが、本当は6時間目を部活動の授業にして授業時間数にカウントしてほしいところです。部活動が子どもたちの人間形成に与える影響は大きいので、きちんとやってほしいと思ってます。例えばバレーボール、バスケットボールのスコアラーは結構学習力が強くないとできません。サッカーのラインズマンも公式戦は中学生がします。プレーヤーのみ育てる訳ではなく、レフェリーも育てているので、その部分も考慮してほしいと思っています。ぜひ中学校の部活動も頑張ってほしいと思い、応援しています。
(藤迫教育長)
- 部活動の地域移行については最後にどこを目指すのか、どういう姿になるのか、模索しながらもある程度ゴールのイメージはあるのですが、それを学校、地域、保護者に共有できていません。「今は到達地点までのこの段階にいて、これをやっている」という丁寧な説明が必要になると思います。地域移行の部活にあたっている人は今後の展開についてある程度理解していますが、一方で地域移行していない種目では、今後どうなるのかと半信半疑のケースもあると思います。疑問を解消するためにもきちんと説明したいと考えています。
(上島市長)
- 箕面市で先進的に取り組んでる部活動の地域移行については、まずテニス、ソフトボールを地域移行していますが、学校現場の教員、管理職、地域の皆さんが意見交換することが必要だと強く感じました。今指導にあたっていただいているのは、体育連盟のかた、言い換えれば地域のかたでもあります。より多くのかたに地域移行の取り組みを手伝っていただくためにも、地域でのフラットな意見交換の場が非常に必要だと感じました。
(髙野委員)
- この3年間、コロナ禍で満足に部活動ができない中で、さらに平日に休みをとり土日のうち1日休みをとるといった時間的にかなり限られた中で部活動を満足にできずに過ごした期間だったと思います。ただ、その中で子どもたちの意識も大きく変わってきていて、部活ができる限られた時間に精いっぱいやろうという姿勢なんです。このため部活動の時間は短くなりましたが、学ぶべきことはしっかり学んでいるということを感じました。強いつながりを3年間で作っています。子どもたちが部活動にどういうことを望んでいるのかということも、大事にしていってほしいと思います。引き続き、地域移行等、色々な流れの中で部活動が充実した時間になりますよう願っております。
2.箕面市教育大綱別紙<2023>の策定について
(稲田委員)
- (4)「ICTを活用した情報活用能力の向上」については、言い回しが難しいので分かりやすく易しい表現に変更していただきたいです。(5)「体力向上を図る取り組み」については、文章構成を見直してください。(6)「教員の授業力・指導力のさらなる向上」については、「教員が授業に専念できる環境を整える」とありますが、教員は授業ができたらそれでよいということではないので、表現を改めたほうがよいと思います。(8)「持続可能な社会に向けた学習の充実」については、児童生徒が自ら考え、解決していく力を育むのは環境学習に限らないため、こちらも表現を変更したほうがよいと考えます。
(髙野委員)
- (2)「子育て支援と外出促進」について、「市内公園においては幼児ユニットを広げる」とあります。公園の中で小さな子どもたちが自由に遊び回れる場を市内に増やしてほしいと思いますので、よろしくお願いします。
(上島市長)
- 芦原公園の中の図書館の南側、現在は彫刻の池がある場所には子どもが転んでも危なくないようにゴムチップを敷き、ベンチ、屋根を設置します。じゃぶじゃぶ池跡地には人工芝を敷いて、0歳から3歳位までの幼児が利用できる遊具を置きます。蓮池跡地には、小学生が「こんな遊具がほしい」と投票して決めた遊具を置きます。ある程度年齢によって分けて遊べる場所を増やします。
(事務局)
- 以上をもちまして、令和4年度第2回箕面市総合教育会議を閉会いたします。皆さん、本日はありがとうございました。