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更新日:2022年2月18日

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令和4年度(2022年度)施政及び予算編成方針

令和4年(2022年)2月

 箕面市長 上島 一彦

 本日ここに、令和4年度における予算案及び関連諸議案を提案し、ご審議いただくにあたり、新年度における市政の運営方針と予算の概要を申し上げ、市議会議員並びに市民の皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げます。

 私が一昨年8月に市民の皆さまの厳粛な信託を受け、本市の舵取りを任されてから、はや約1年半が過ぎました。この間、できる限り多くの現場に足を運び、より多くの市民と直接意見を交わす中で、様々な地域課題に直面し、その課題解決に最善を尽くして取り組んでまいりました。インターネットでいつでもどこでも欲しい情報にたどり着ける時代になりましたが、「現場を見ること、市民の生の声を聴くこと」が市政推進の原点です。今後も現場の声に謙虚に耳を傾け、すみやかな課題解決に取り組みます。

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 さて、昨年は近代五輪史上初の1年延期となった東京2020オリンピック・パラリンピックが、新型コロナの影響により多くの会場において異例の無観客で開催されました。我が国は、オリンピック史上最多となる58個のメダルを、パラリンピックでも史上2番目となる51個のメダルを獲得しました。アスリートたちの素晴らしいパフォーマンスは、日本に勇気と感動を与えてくれました。

 一方、新型コロナが変異を繰り返し、世界中で猛威を振るった一年になりました。我が国では、昨年春に新型コロナの第4波が、夏には第5波が驚異的な速さで差し迫り、全国各地では、連日、新規感染者数の最多記録を更新しました。

 そのような状況のなか、市内におけるワクチン接種では、箕面市医師会並びに薬剤師会のご協力により、市の集団接種や、個別医療機関での接種体制を確保して頂いたので、迅速かつ安全な接種が可能となりました。

 加えて、市立病院では、医療体制が逼迫する中で、職員が一丸となって、多数の感染患者を受け入れることができました。

 改めて、医療従事者の皆さまには心から敬意を表する次第です。オミクロン株による影響など、まだまだ先が見通せない状況が続いていますが、引き続き感染拡大防止へのご協力をお願い申し上げます。

 新年度の箕面市政も、市議会と十分な意思疎通を図り、良好な関係を保ちながら、「ゆるぎない信念と行動力で箕面の未来をひらく」を信条に、愛する箕面のさらなる飛躍発展に向け、公明正大な市政運営に全力を傾注する所存です。

予算編成概要

 一般会計の予算規模は、594億5千万円で、前年度から1億5千万円の減(対前年度比0.3%減)となりました。

 歳入の根幹である市税収入は、固定資産税にかかる税負担軽減措置の終了などにより、前年度から10億7千万円増(対前年度比4.7%増)の239億3千万円となる見込みです。

 市債につきましては、新駅周辺整備や新病院予定地整備などの一方で、北大阪急行線延伸整備にかかる市債の発行抑制に努めた結果、残高は5億円増(対前年度比0.9%増)の約616億円となる見込みです。新年度以降は、北大阪急行南北線延伸整備基金を活用することで、北大阪急行線延伸整備にかかる市債の発行抑制をしていきます。

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 基金につきましては、北大阪急行線の延伸整備や公園リニューアルなどの市の魅力アップにつながる施策に基金を活用するため、残高は6億円減(対前年度比3.3%減)の約176億円となる見込みです。令和3年度は、財政調整基金を約12年ぶりに取り崩しましたが、新年度は、税収の改善により財政調整基金の取り崩しはありません。

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 当初予算における経常収支比率は100.4%で、歳入の根幹である市税収入は増加したものの、公債費や社会保障関係費の増加などにより、令和3年度に比べて0.3ポイントの悪化となり、昨年に続き100%を超え厳しい状況が続いています。

 その一方で、これまでに取り組んできた改革の効果も確実に数字に表れています。新改革プランの策定前の時点では、令和4年度当初予算における経常収支比率を 101.4%と見込んでいましたが、現状ではこの見込みを1.0ポイント下回っています。これは、市税収入の堅調な推移に加え、ごみ収集をはじめとした新アウトソーシング計画の着実な実行や各種取り組みの推進など、新改革プランによる改革の効果の賜であると考えます。

 しかしながら、当初予算における経常収支比率は依然100%を超えており、引き続き厳しい状況であることは変わりありません。新年度も、着実に改革を進めながら、引き続き財政の安定化を図ります。

 ボートレース住之江では、昨年12月に開催したSG第36回グランプリで240億円を売り上げ、ボートレース平和島で開催されたSG第35回グランプリの207億円を上回る売上となるなど、ナイターレースの通年実施、専用場外発売場や外向発売所での発売などにより、売上向上と収益確保で着実な成果を上げています。

 新年度は、SG競走を開催しない年となりますが、ボートレース住之江での開催日数を12日(本市開催分は6日)増やすことに加え、好調な業績を背景に、令和3年度から5億円積み増し、当初予算で一般会計に20億円を繰り入れます。また、当初予算の見通しを上回る収益が生じた場合には、可能な範囲で繰入額を補正予算に計上することとしており、本議会においては、令和3年度補正予算として、さらに追加して繰り入れます。競艇事業から一般会計への繰入額は累計1,600億円を越えることとなり、古くは下水道の整備から、近年の鉄道延伸事業まで、その時々に増大する財政需要に即応するため、これまでも、これからも、競艇事業は市民生活を支える重要な柱です。

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 病院事業会計については、昨年8月に策定した「第四次箕面市立病院改革プラン策定に向けた経営改善策の検討報告書」に対する第三者委員からの評価や意見を踏まえ、経営改善の内容を精査し、取り組みを開始したところです。新年度については、救急からの入院受入れの増加や内視鏡検査枠の増設などの取り組み項目を着実に進め、収支改善目標の達成をめざします。また、病院事業会計に対して一般会計が負担する経費の考え方を見直し、政策医療として、救急医療や小児医療などの経費に対して一般会計から3億3千万円の繰り出しを行います。

 水道事業会計及び公共下水道事業会計については、水道事業会計で約2億4千万円、公共下水道事業会計で約1億1千万円の黒字を見込んでいます。市民の皆さまに安全安心な水を届け、良好な生活環境を維持するため、箕面市上下水道施設整備基本・実施計画に基づき、計画的に管路の更新などを進めます。

 以上、新年度の一般会計に特別会計・企業会計を加えた全会計の予算総額は1,691億円で、前年度から89億円の減(対前年度比5.0%減)となっています。

 新年度も引き続き、新改革プランを着実に実行しながら、未来への投資と財政規律の堅持を両立し、堅実な行財政運営を行っていきます。

 市政の重点運営方針

 ここで、令和4年度の市政運営にあたっての基本方針について申し上げます。

 1点目は、「身を切る改革を始めとした市役所改革・運営形態の見直しの実行」です。

 まずは、自らの在任期間中の給料2割削減、退職金ゼロを実行し、トップである市長自ら身を切る改革を断行しましたが、現在は、その覚悟を胸に市役所改革と運営形態の見直しを進めています。

 昨年8月には、新型コロナ感染拡大の影響による市税の減収や少子高齢化社会による社会保障関連経費の増加などを背景として、限られた財源の中で、「民間でできるものは民間で担う」発想のもと、「新箕面市アウトソーシング計画」を策定しました。計画期間10年で、累積効果額が15億円にも及ぶこの計画により、持続可能でさらに質の高い住民サービスを提供し、箕面のさらなる飛躍発展に向けて、改革を進めています。

 新年度は、本計画に基づき、デジタル・トランスフォーメーション、いわゆるDXの推進、ごみ収集業務や学校事務センター業務の委託化、公立幼稚園・保育所8園所の再編に伴う公立保育所民営化の拡大や、認定こども園の設置の準備などを行います。そして、愛すべきまち「箕面」の次世代への継承や、持続可能な魅力あるまち「箕面」の実現をめざし、着実に改革を進めます。

 私たちの社会は、スマートフォンの普及などにより様々なモノやサービスのデジタル化が浸透し、新たなサービスや価値感が生まれています。加えて、コロナ禍における新しい生活様式「ニューノーマル」の広がりが、社会全体のデジタル化の移行を早め、本市もこの社会変化に柔軟かつ迅速に対応する必要があります。また、少子高齢社会による社会保障関連経費の増加、市民ニーズの多様化・複雑化といった様々な課題に的確に対応するためには、限られた財源と人材をより効果的に活用するべきです。

 DXの推進により、市民ニーズに合ったサービスが選択できるので、さらに利便性が向上するとともに、本市の業務効率化が進むことで、人的資源を行政サービスの向上にあてることができます。新年度は、24時間いつでも・どこでも、待ち時間・移動時間なしで手続きができる「行政手続きのオンライン化」を導入し、市民の皆さまに利便性を実感いただけるよう取り組みます。また、AI音声認識技術を活用し、各種会議の議事録の作成を行う「AI議事録作成」や、文書管理や決裁を電子で行う「文書管理・電子決裁システム」を導入し、業務の効率化及び業務改善を図ります。

 ごみ収集業務については、これまで燃えるごみ、かん・びんの収集の9割を民間事業者に委託していましたが、新年度からは、これら収集を完全委託化するため、受託事業者に対し定期的な研修や訓練の実施を義務付けるなど、適正な業務履行による市民サービスの維持・向上を図ります。

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 教育委員会では、昨年10月から就学・学童保育関連業務の委託化を先行実施しましたが、新年度は、学校事務センターが担う学校徴収金及び学校財務業務についても委託化し、職員が政策課題や専門的な相談業務などのコア業務に、より注力できる体制を構築します。

 平成22年に民営化を決定した稲保育所は、令和5年4月の民営化に向け、箕面市立保育所民営化選定委員会の答申にもとづいて決定した運営法人が、円滑な移行のため新年度から保育などの引継を開始します。

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 昨年12月には改革の柱の一つである公立幼稚園・保育所を再編・整備し、市立認定こども園を設置する関連条例が可決成立いたしました。市議会議員並びに市民の皆さまのご理解・ご協力を賜り、改めて感謝申し上げます。

 これにより、令和6年度のかやの幼稚園、なか幼稚園、萱野保育所の再編による「(仮称)ちゅうぶ認定こども園」の設置に向けて、かやの幼稚園及び萱野保育所の施設改修に係る設計委託を実施します。

 

 2点目は、「住民目線に寄り添って直ぐ動き、日本一親切な市役所」の実現です。

 令和3年度に実施した新型コロナワクチンの1回目・2回目接種については、他市に先駆けて16才から64才の全市民に接種券を送付したことが功を奏し、結果的には、接種された約4分の1の市民に国や大阪府の大規模接種や、大学や企業での職域接種を迅速にご利用いただくことができました。

 全体では、概ね4分の3の市民が2回目接種を完了されていますが、感染予防効果は時間の経過に伴い、徐々に低下していくことが様々な研究結果から明らかになっています。感染拡大防止及び重症化予防の観点からワクチンの3回目接種については、迅速かつ確実な接種を開始しています。市の集団接種会場は、前回同様、総合保健福祉センター、東生涯学習センター、西南生涯学習センターの3カ所ですが、病院及び個別医療機関の数は、前回よりも増えています。また、3月には5歳から11歳までの小児接種が始まります。国の動きに合わせて速やかに接種開始できるよう、市内で協力いただける医療機関の確保などの準備を進めています。市民の皆さまには、家族や仲間を守るという視点から是非ともすみやかな接種にご協力いただきますよう、お願い申し上げます。

 令和3年度に2回実施したプレミアム付商品券「小さなお店応援チケット」は、おかげさまで、好評により完売となりました。新年度も、箕面商工会議所との連携を図りながら、市内の中小・小規模事業者や、市民の家計を応援するため、切れ目のない支援策の1つとしてプレミアム付商品券事業を継続実施します。

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 新型コロナはあらゆる社会経済活動に大きな爪痕を残しています。適切な感染拡大防止策や経済支援策について、引き続き国の動向を注視しつつ、必要に応じて予算措置を講じるなど、市民生活を支えるため、全力で取り組みます。

 本市は、箕面市福祉のまち総合条例において、「福祉社会は、障害のある市民、高齢の市民を始めとするすべての市民が、一人の人間として尊重され、地域で学び、働き、豊かに生き生きと暮らしていける障壁のない社会でなければならない。」と宣言しており、平成24年3月に策定した箕面市地域福祉計画については、新年度から第2期がスタートします。誰もが安心して暮らせる地域社会を持続させていくために、いかに地域のセーフティネットの充実を図っていくのかなど、これまで箕面市社会福祉協議会など関係団体と連携しながら、取り組んでまいりました。第1期計画の振り返りを踏まえ、第2期計画においては、「(仮称)地域福祉推進会議」を設置し、着実に点検・評価を行います。

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 また、住民が主体の地域の支え合い体制の構築を目的に、平成30年10月から「顔の見える総合相談・支援モデル事業」を実施し、地域づくりの拠点として令和元年度に6小学校区で「ささえあいステーション」を設置しました。その役割は、総合相談機能と地域福祉推進機能です。総合相談を通じて、住民のお困りごとの背景となる要因を探り、個別課題や地域の課題をキャッチし、その解決をめざして地域住民との会話を重ねることによって、地域福祉の推進を担っています。令和3年4月に6小学校区から8小学校区に拡大しましたが、新年度には全14の小学校区に拡大し、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域を共に創っていく「地域共生社会」の実現に向けてしっかりと取り組みます。

 さて、本市における観光施策のなかでも、箕面大滝は重要な観光資源でありますが、明治の森 箕面国定公園の来場者数は、昭和50年の279万人をピークとして、近年は約150万人に半減しています。

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 今まで滝道観光といえば、「徒歩」が主流でしたが、観光バスを活用した「ワンウェイ箕面滝道観光」を、観光施策の新機軸として取り組みました。昨年11月20日から12月5日まで運行した「箕面紅葉狩りバスツアー」は、急ごしらえであったにもかかわらず、1,571名と多くの方に新しい箕面観光のスタイルを楽しんでいただくことができました。箕面大滝や勝尾寺、滝道の魅力は秋だけではありません。新緑の「青もみじ」や夏のライトアップの「夕涼み」、四季折々の風情を楽しむ行事など魅力が満載です。このバスツアーを契機に、1年を通じた「新たな観光戦略」を打ち出します。新たな観光戦略を成功に導くためには、行政だけで計画を立てるのではなく、民間事業者の力や関係者の協力が不可欠です。そこで、新年度は、「大いなる箕面観光の復活」をめざし、商業者や交通事業者、大学、行政などによる「(仮称)公民連携観光戦略会議」を立ち上げ、滝道を含む箕面の観光資源や新たな観光コンテンツの発掘、既存事業の磨き上げ、参加・体験型イベントの開催など、1年を通じた箕面の魅力を体感していただける観光戦略を箕面市観光協会とともに公民連携により策定します。

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 言うまでもなく、箕面の魅力は滝やもみじだけではありません。萱野三平記念館涓泉亭をはじめ、八天石蔵や、豊島河原合戦や瀬川合戦など、魅力ある文化資源も多くあり、見慣れた場所で歴史を再発見することができます。新年度は、経年あるいは自然災害などによる荒廃から、八天石蔵及び、町石などの遺跡を保護・復旧するとともに、多くの市民や観光客、ハイカー、歴史愛好家などが、遺跡を巡るイベントを関係団体や民間企業と連携しながら開催します。

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 観光戦略のみならず、複雑化・多様化する現代社会を支えていくためには、民間の技術や知識、ノウハウが欠かせません。本市では、公民連携の取り組みとして、企業や大学などと包括連携協定を結んでいます。令和3年度には、サントリーホールディングス株式会社バレーボールチームであるサントリーサンバーズ、株式会社ディー・エヌ・エー、株式会社モンベル、大塚製薬株式会社、明治安田生命保険相互会社と包括連携協定を締結しました。企業や大学などとコラボレーションした取り組みを実施し、より一層の地域の活性化、市民サービスの向上をめざします。

 また、本市の魅力発信の切り口として、ふるさと納税にも力を入れています。“箕面を応援したい”“箕面に貢献したい”との思いで、全国の寄附者から支えられているふるさと納税による寄附金は、本市の貴重な自主財源です。令和3年度、本市の魅力をより多くの方に発信するため、ポータルサイトを1社から4社に拡充したところ、拡充前と比べて寄附額が倍増しました。新年度は、さらに魅力ある返礼品を発掘するなど、他市の先進事例を研究して実績に繋げます。

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 企業版ふるさと納税については、寄附金を柔軟かつ最大限活用して地方創生プロジェクトに取り組むため、昨年6月には寄附金の受け皿として「箕面市まち・ひと・しごと創生基金」を創設しました。私が市外の企業を訪問する際には、企業版ふるさと納税のパンフレットと申出書を携えて、自ら積極的にトップセールスを行っています。今後も職員のやる気を促すとともに、地方創生プロジェクトを達成するために、営業活動に奮闘します。議員各位におかれましても、さらなる地方創生に向けて、ともに営業活動に取り組んでいただきますよう、お願い申し上げます。

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 市立病院については、累積赤字が120億円を超え、これまでに引き続き厳しい経営状況にあり、経営改善が喫緊の課題であることは言うまでもありません。市立病院では、これまでに三次にわたって経営改革プランを策定してきましたが、第二次、第三次プランとも、計画開始からまもなく収支改善目標値を大きく下回る結果になるなど、その実効性に疑問符が付く状況でした。このような状況を打破するため、第三次プランで掲げた経営改革の取り組みの見直しが行われ、令和3年8月には、市立病院から新たな経営改革の取り組み案が提示されました。第二次、第三次プランと同じ轍を踏まぬよう、今回提示された経営改革の取り組み案について、市長直轄の第三者評価を行い、民間病院の経営者や弁護士などに客観的なご意見を伺いました。その結果、「この改革案は今までなぜやってこなかったのか」「今すぐできるはずなのになぜやらないのか」「8割程度達成できれば御の字である」との厳しい評価をいただきました。市立病院には、新病院の整備を見据え、経営改革を100%以上完遂する、強い意志を持って取り組むことを期待します。公営企業たる市立病院にこれらのことを期待するのは当然のことですが、一方で、本市は、地域医療を支える市立病院を財政面からバックアップすることを検討しなければなりません。独立採算を基本とする公営企業に対し、単なる赤字補填はもってのほかですが、先に申し述べましたとおり、救急医療や小児医療などの政策的医療に対して、一般会計から一定の負担をすることで、医療提供体制の確保に対する本市の責任を果たします。

 新病院の整備に向けて、これまで4回の審議会が開催されました。新病院が担うべき役割や機能、診療科構成や病床規模などについて、議論が佳境を迎えつつあります。審議会の議論を踏まえながら、住民目線に立ち、地域医療の中核として、質の高い医療を持続的かつ安定的に提供できる病院をめざします。立ち止まることなく、速やかに検討して、新年度に新病院の建設と運営に係る方針を決定します。

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 3点目は、「みどり豊かで住み続けたい、子育て・教育日本一のまちづくり」です。

 まず、「みどり豊かで住み続けたいまちづくり」についてですが、本市では、限られた財源の中で、いかに効果的に老朽化する公園施設の整備を進めていくかが課題であり、令和3年3月に、「箕面市公園施設長寿命化計画」を策定しました。

 新年度は、本計画に基づき、山麓公園、西脇公園、皿池公園、芦原公園の4公園について、遊具の更新を行うとともに、幼い子どもたちも安心して遊べる幼児エリアを物理的に区画するなど、小さな子どもから高齢者まで楽しめる公園をめざします。

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 また、芦原公園をはじめとした7公園で、トイレの美装化を実施し、洋式化やバリアフリー化などを進めることで、誰もが安心して利用できる公園のトイレを整備します。

 各公園のリニューアルにあたっては、遊具の更新やトイレの美装化のほか、それぞれの公園の用途、特性に合わせて、健康遊具の設置や、公園内のキッチンカーで軽飲食を提供できるように整備します。

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 防災面でもしっかりと市民の皆さまを支えます。

 近年の自然災害は、大規模化の傾向にあり、昨年7月に発生した静岡県熱海市の伊豆山土砂災害やトカラ列島近海をはじめ全国各地で地震が頻発したことは、記憶に新しいところです。

 こうした中、「事前の備え」の重要性を踏まえ、いかなる自然災害が発生しても人命の保護を最大限に図り、地域社会の被害を最小限に抑え、そして速やかに回復する「強さとしなやかさ」をもった「強靭な地域」を構築するため、「箕面市強靭化地域計画」を策定しました。

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 事前防災や減災その他迅速な復旧復興など、地域の強靭化を進めるため、ハード・ソフトの両面から、国や大阪府と連携協力しながら、全庁一丸となって取り組みます。水防・土砂災害対策の推進や避難所となる小中学校のWi-Fi環境の整備、防災教育の推進など、本計画に基づく地域の強靭化をめざして、安全で安心なまちづくりを進めます。

 また、大規模災害に備え、大阪府域26消防本部の一元化による大阪消防庁の創設と府域水道の一元化に注力します。東京都は、一元化により管理部門から現場部隊への増強を行い、東京消防庁消防救助機動部隊、いわゆるハイパーレスキューを配置していますが、大阪には同じ規模のものはありません。府域消防の一元化が実現すれば、ポンプ車の乗車人数を3人から4人に増員することが可能となり、2口放水による火災防御面積の拡大による消火力の増強などに繋がります。

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 加えて、30年以内に南海トラフ地震が発生する確率は70%から80%と言われていますが、府内では、南海トラフ地震の災害に耐えられるほど、水道施設や管路の耐震化は進んでいません。また、府内水道は、人口減少や節水機器の普及などにより供給過剰となっているほか、技術職員の高齢化など多くの課題を抱えています。課題解決のためには、水道料金の値上げは避けて通れませんが、府内市町村が一元化をすすめることで、府域全体のダウンサイジングや、送配水の最適化を図り、施設や管路の耐震化や水道料金の値上げを抑制することができます。

 大阪市や堺市の政令指定都市が統合に加われば、これらのメリットが格段に大きくなりますが、様子見していても前に進みません。各市個別の事情はあるものの、消防や水道事業の府域一元化が進めば、本市はもちろんのこと大阪全体で安全で安心なまちづくりを進めることができます。今後も、将来を見据え課題の共有と解決に向けて、国や大阪府への要望はもちろんのこと、引き続き各市町への働きかけを進めます。

 いよいよ北大阪急行線の新駅開業まであと2年となり、昨年11月には、高架区間における橋脚の上に橋桁を架ける工事が完了し、全ての高架橋がつながりました。また、COM1号館跡地から顔を出す地下空間からの出口部分と高架橋も繋がり、昨年末の現地視察では、箕面船場阪大前駅の駅舎から箕面萱野駅まで実際に高架橋の上を歩いて渡ることができました。梅田から箕面の山をめざし風を切って走る電車の姿がまさに目に浮かぶようでした。

 今後、高架上ではレール敷設などの軌道工事に順次着手するとともに、駅部においても建築工事に着手するなど、令和5年度の開業に向けて着実に工事を進めます。

 また、令和3年度、本市は鉄道延伸事業費の増嵩を受けて、国土交通省出身のOBら外部有識者による「第三者による評価制度」を5月に独自創設しました。その結果、令和3年度では点検評価により約6千万円のコスト削減が実施できました。新年度においても、事業費の予算執行における設計積算の妥当性を、第三者委員に客観的な視点で評価していただき、開業に向けて、事業費の執行管理を厳正に進めます。

 北大阪急行線の延伸事業は、新大阪、梅田、なんばなどの都心部に乗り換えなしでアクセスできるとともに、みどり豊かな住宅都市・箕面の交通利便性が高まり、まちの魅力がさらにアップする本市のビックプロジェクトです。皆さまにおかれましては、本事業に対するさらなるご理解とご協力をお願い申し上げます。

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 一方で、北大阪急行線の新駅周辺まちづくりも着実に進んでいます。

 箕面萱野駅の周辺では、新年度、北側交通広場の整備工事に着手します。北側交通広場には、バスターミナルを整備するとともに、広場の上空を立体利用して、限られたスペースを最大限に活用するため、民間事業者が駅ビルを整備して、さらなるまちの魅力アップを図ります。

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 都市計画道路の整備も大詰めを迎えています。現在、一部区間を暫定供用している萱野東西線の東部地区については、令和3年度中に工事が完了する予定です。

 また、萱野東西線の西部地区や、芝如意谷線の国道171号までの施工区間については、舗装や街路灯などの道路築造工事を順次行い、令和5年度内のできるだけ早い段階での供用開始をめざします。

 箕面船場阪大前駅周辺では、北大阪急行線延伸に先駆けて、昨年4月には大阪大学箕面キャンパスが、5月には複合公共施設がオープンし、全国初となる大学図書館の機能も併せ持った箕面市立船場図書館のほか、生涯学習センターや駐車場が開館しました。8月には、文化芸能劇場もオープンし、文化芸能・国際交流の拠点となる新しいまちの姿が見えてきました。

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 ハード面としては、引き続き国道423号をまたぐ歩行者デッキ、エントランス、第二駐輪場の整備工事を実施します。また、新年度から、本市の「顔」としてふさわしい景観を備えた船場の駅前広場について着工に向けた契約手続きを進めます。

 エントランスとなる地下空間は、箕面船場阪大前駅の地下改札口から地上階や地上2階のデッキへと接続するエレベーター、地上2階のデッキを直接つなぐエスカレーター及び階段などを整備します。また、地上から採光を取り入れた吹き抜けのダイナミックな地下空間には、ギャラリー、パブリックスペースなどを整備し、駅利用者に対する賑わいを創出します。

 船場広場は、ファニチャーを設置し、市民の憩い・交流の場となるよう、季節感のある植栽を計画し、魅力あるオープンスペースを創出します。第二駐輪場は、駅舎の地下空間に自転車を収容する機械式駐輪場を整備します。文化芸能劇場前の大階段の中央スペースは座ってくつろげる交流の場であるとともに、階段下ステージでイベントが開催される時には観覧席となり、まちの賑わいや文化を創出する空間として活用できます。

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 ソフト面では、地元関係団体や関係者とともに、繊維卸売業を根幹としたうえで、「健康寿命の延伸・ヘルスケア拠点」と「文化芸能・国際交流拠点」をめざし、産官学民で連携して魅力あるまちづくりを進めます。

 「健康寿命の延伸、ヘルスケア拠点」については、関西スポーツ科学・ヘルスケア総合センターの設立を進めるとともに、同センターを核としたスポーツと健康のまちづくりを進めます。また、新年度は、平成30年度にメイプルホールで開催した「健康長寿フォーラム」の会場を船場複合公共施設に移し、大阪大学のご協力を得ながら、包括連携協定を締結した企業や、関係団体などと連携して健康の大切さに気付いていただく体験型の啓発イベントを開催します。

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 また、昨年7月、大阪大学の箕面キャンパスにおいて「箕面船場における文化芸術国際交流のまちづくりシンポジウム」を開催し、今後のまちづくりについて熱く議論をかわしました。産官学民の連携のなかで、大阪大学の箕面キャンパスには、地域住民と 世界を結ぶ拠点としての役割に大きな期待を寄せているところですが、昨年10月に開催された「箕面国際フェスティバル」においては、約6,000名の方が訪れ、文化芸能・国際交流の拠点としての一歩を踏み出しました。また、昨年7月から、本市が文化芸能国際交流都市となることをめざすための具体的な方策を検討するワークショップを開催しており、学識経験者も交えた活発な議論が交わされているところです。新年度は、さらなる多文化共生の推進や、文化芸能・国際交流のまちづくりについて具体化をめざし、市民と思いを共有するためのシンポジウムを開催します。

 また、本市は、全国2番目の自治体として大阪・関西万博「TEAM EXPO 2025」プログラムの共創パートナーに登録されました。今後は、船場エリアの特色を最大限に活かして、文化芸能・国際交流の拠点、また、ヘルスケアの拠点として、2025大阪・関西万博の実証フィールドの提供に取り組みます。

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 北大阪急行線が延伸されると、地域公共交通も大きく様変わりします。新たな鉄道により、都心へのアクセスが強化され、ターミナル駅となる箕面萱野駅を中心にバス路線網を再編することで、東西方向をはじめとする市内移動が大幅に充実します。これまで地域公共交通活性化協議会において、北大阪急行線延伸後の路線バスのルート再編について検討してきました。新年度は、路線バスを補完するオレンジゆずるバスの運行計画を策定するため、地域公共交通利便増進実施計画に着手します。計画策定にあたっては、利用実態や意向調査などの各種調査を実施するとともに、ワークショップを開催し、運行ルートや運行頻度を検討・決定し、公共交通網の充実に取り組みます。

 

 次に、3点目のうち、「子育て・教育日本一のまちづくり」についてです。

 長期に及ぶ新型コロナの影響は、結果として、学校現場におけるICT活用を推し進めることとなりました。これまで、電子黒板の活用や、児童生徒に1人一台のタブレット端末の配置を行うなど、ICT教育を推進してきました。新型コロナに対して不安を感じて登校を見合わせる児童生徒に対して、対面指導と同様の指導ができる、学習支援ソフト「tomoLinks(トモリンクス)」を導入しました。教職員がオンライン上で児童生徒へのプリントの配付回収や添削を行うことができる一方で、児童生徒はプリントを画面上で解くことができるようになり、コロナ禍においても子どもの学びを止めることなく「学びの保障」が可能となりました。

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 いまやタブレット端末は学習効果を高め、児童生徒の学習を保障するために必要不可欠なツールです。しかし、その一方で、学校から配布されたタブレットや、SNSを使ったいじめ事案が報道されるなど、ICTの陰の側面への対応もICT教育推進の大きな課題です。本市では、令和3年度、全小中学校において、児童生徒を対象にSNS学習会をオンライン形式で実施し、いじめを含めたSNSのトラブル防止策や情報モラルについての理解を深めました。今後も、定期的に専門家を招聘したオンライン形式の学習会を実施することで、いじめ防止にも継続して取り組みます。

 昨年8月、いじめ重大事態第三者調査委員会において、箕面市の支援教育に関する提言がなされました。内容としては、外部専門機関との連携、研修の在り方、個に応じた支援体制の構築、教職員の専門性の向上、インクルーシブ教育のあり方に関するものです。この提言を重く受け止め、新年度は、「支援教育」と「いじめ問題」に正面から向き合います。

 まず、支援教育の充実に向けた検討を行うため、学識経験者も入った新たな組織である「(仮称)支援教育充実検討委員会」を立ち上げ、早期に支援教育のあるべき姿について、方針を策定します。

 いじめ問題は、1人一台のタブレット端末を活用した日々の子どもの気持ちをキャッチするシステムの導入により、いじめの未然防止や早期発見に繋げるとともに、「いじめ等調整委員会」のさらなる活用により個別の事案に対する検討も深めるなど、いじめ事案の対応強化を図ります。

 子どもの健やかな育ちや保護者に対する子育て支援の充実の観点から、保育・幼児教育の質をさらに高めるため、公立・私立や施設類型の垣根を越えた取組を実施する保育・幼児教育の拠点として、4月から半年かけて設置に向けた準備を行い、10月に「(仮称)幼児教育センター」を設置します。

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 当センターでは、主に保育・幼児教育の質の向上を図るための研修会・研究会の企画・運営や、市内施設への「幼児教育サポーター」の派遣による相談・情報発信、乳幼児期の保育・教育から小学校教育へ滑らかに繋ぐためのカリキュラムの策定、支援保育・教育に関する学習会・意見交換会の運営、円滑な情報共有などに向けた民間保育園連絡会の組織化など、順次実施します。

 なお、カリキュラムの策定にあたっては、国の幼保小の架け橋プログラムモデル事業を活用し、就学前の発達や学びなどに関する指導内容の手引きとなる「幼児教育カリキュラム」や、就学前施設と小学校の関係者が連携し、相互理解するための「保育所・幼稚園・認定こども園・小学校、いわゆる保幼こ小接続期カリキュラム」の策定をはじめ、私立も含めた生活・学習の基盤整備を進めます。

 また、当センターの設置にあたり、大阪青山大学、梅花女子大学、大阪総合保育大学と包括連携協定を結び、人的・知的資源の交流、活用を図ることで、保育・幼児教育の質の向上に向け、双方の活動の充実・発展を目指します。

 さらに、新年度には本市で2カ所目となる病児保育所が開設されます。今回新設される病児保育所は、小児科医師が常駐する医療機関併設型病児保育施設となっており、運営にかかる費用を補助しながら、保護者が安心して子育てできる環境の充実も図ります。

 池田市にある大阪府池田子ども家庭センターは、築50年以上が経過し、施設の老朽化が著しく、また、近年の児童虐待などの増加に伴う体制強化に伴い、狭隘化が進んでいると大阪府から伺っていました。一方、本市では、市立萱野南図書館及び教育センターの移転に伴い、空きスペースとなる建物の有効活用が喫緊の課題であったため、大阪府に対し池田子ども家庭センターの誘致を申し出ていました。その結果、大阪府において、令和6年の移転に向けて、内部改装工事の実施設計委託費の予算が計上されることとなりました。

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 市が日々行っている児童家庭相談と、箕面市内に移転する専門性のある子ども家庭センターがより連携を深めることにより、児童の安全安心を高める取り組みを進めていきます。

 青少年教学の森野外活動センターについては、新稲の森とあわせてリニューアルを行います。40年が経過し、施設の老朽化が著しく、稼働率が12%と大きく低迷していましたが、民間事業者の提案により、魅力あふれる施設に生まれ変わります。

 教学の森については、様々なスタイルのキャンプが体験できるサイトやロッジに加え、シアター、コワーキングエリアなど、幅広い世代や多様なニーズに対応できる施設として、今年の夏に一部が先行リニューアルオープンし、令和5年春にグランドオープンを予定しています。

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 なお、小学生サマーキャンプなどの市主催行事を、従来の低廉な料金で実施するとともに、青少年健全育成団体がこれまでと変わらず教学の森で活動できるよう支援するため、利用料の補助を実施します。また、新稲の森については、令和6年春までのオープンに向けて、本市がアクセス道路やトイレなどのインフラ整備を行い、事業者がキャンプ施設の整備を行います。

 大阪平野を一望する素晴らしい眺めと豊かな緑に囲まれ、ご家族でも、グループでも楽しめる、心に残るひとときを過ごしていただける施設をめざします。

 

 以上、令和4年度の施政及び予算編成について、その概要を申し上げました。主要施策の詳細は、議会提出資料の「予算概要」にてお示しさせていただきました。

 新型コロナは、あらゆる社会経済活動に大きな爪痕を残しました。今後、ポストコロナを見据え、市民が安全安心に暮らしていただける施策を、着実に実行します。私の座右の銘は「艱難辛苦、汝を玉にす」であります。「今、目の前にある苦労こそ最大のチャンス」と捉え、市政を預かる者として、多様な行政課題に真摯に向き合い、責任と矜持を持って、新年度も全力で取り組みます。

 ご提案申し上げました予算案及び、関係諸議案については、それぞれご上程のつど、関係職員からご説明申し上げますので、なにとぞよろしくご審議のうえ、ご議決賜りますようお願い申し上げます。

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