五種混合予防接種
五種混合予防接種について
- 五種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)は、四種混合ワクチン(ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオ)にヒブワクチンを加えた不活化ワクチンで、令和6年(2024年)4月1日から定期接種になりました。
ジフテリアについて
- ジフテリアはジフテリア菌の飛沫感染により発症する疾患です。
- 予防接種の導入により、現在では国内の患者発生数は0が続いています。
- 症状は高熱、のどの痛み、犬吠様のせき、嘔吐などで、偽膜と呼ばれる膜ができて窒息死することもあります。
- 発病2~3週間後には菌の出す毒素によって心筋障害や神経麻痺を起こすことがあるため注意が必要です。
百日せきについて
- 百日せきは百日せき菌の飛沫感染によって発症する疾患です。
- 予防接種の導入により、患者数は減少してきていますが、最近は長引くせきを特徴とする思春期、成人の百日せきがみられ、乳幼児への感染源となることがあります。
- 名前のとおり激しいせきをともなう病気で、乳幼児ではせきで呼吸ができず、くちびるが青くなったり(チアノーゼ)、けいれいんが起きるあるいは突然呼吸が止まってしまうことなどがあります。
- 肺炎や脳症などの重い合併症を起こしやすく、新生児や乳児では命を落とすこともあります。
破傷風について
- 破傷風菌は、ヒトからヒトへ感染するのではなく、土の中にいる菌が、傷口からヒトの体内に入ることによって感染します。土中に菌がいるため、世界中どの土地であっても感染の可能性があります。
- 現在も国内でワクチン未接種世代(50代以上)を中心に年間100人以上の患者発生があります。
- 破傷風菌が体内で増えると、菌の出す毒素のため、筋肉の強直性けいれんを起こします。最初は口が開かなくなるなどの症状があり、やがて全身の強直性けいれんを起こし、呼吸筋麻痺による呼吸困難に陥る死亡率が高い病気です。
ポリオ(急性灰白髄炎)について
- ポリオ(急性灰白髄炎)は「小児まひ」と呼ばれ、感染したヒトの便中にあるポリオウイルスが、他のヒトの口から入り咽頭や腸管で増殖することでヒトからヒトへ感染します。
- 国内では昭和55年(1980年)を最後に野生株ポリオウイルスによるポリオ麻痺患者の発生は0となっています。
- ポリオウイルスに感染すると、ほとんどの場合は症状は出ませんが、100人中5~10人に風邪様の症状、頭痛、嘔吐がみられます。また約1000~2000人に1人に手足のまひを起こし、一部の人はその麻痺が永久に残り、麻痺症状が進行すると呼吸困難により死亡することもあります。
ヒブ(インフルエンザ菌b型)について
- ヒブ感染症は、インフルエンザ菌b型という細菌によって発生する感染症です(冬に流行する流行性感冒のインフルエンザとは別物です)。
- ヒブは珍しい菌ではなく、乳幼児の20人に1人の鼻の中などにいることが分かっています。菌を持っている全ての人が発症するわけではなく、何らかの原因で菌が体内に侵入し、増殖すると発症し、細菌性髄膜炎や急性咽頭蓋炎、菌血症などを引き起こします。
- 細菌性髄膜炎にかかると小児の約5%は死亡し、てんかん、難聴、発達障害などの後遺症が約30%にみられます。細菌性髄膜炎の原因菌の60%をヒブが占めています。
- ほとんどが5歳未満で発生するため、乳幼児期において特に注意が必要です。
接種対象年齢及び回数
生後2か月から7歳6か月になるまで
接種回数・間隔
接種 |
回数 |
接種間隔 |
接種年齢 |
初回 |
3回 |
1回目
↓ 20日以上の間隔をあける
(標準的には20日から56日までの間隔をあける)
2回目
↓ 20日以上の間隔をあける
(標準的には20日から56日までの間隔をあける)
3回目
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生後2月から生後7月に至るまでに接種開始
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追加 |
1回 |
初回・3回目を終了後、6か月以上の間隔をあける(6か月から1年6か月の間隔をあけることが望ましい) |
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- 四種混合ワクチンまたはヒブワクチンを1回でも接種済みの場合は、五種混合ワクチンは接種せず、四種混合ワクチンまたはヒブワクチンで接種を完了します。
接種方法
- 接種の際は母子健康手帳を忘れずに持参してください。
- 予防接種予診票は、出生届出時にお渡ししている「予防接種手帳」内にあります。
- この予防接種は個別接種となりますので、下記の定期予防接種医療機関でご予約のうえ接種してください。
(定期予防接種医療機関一覧表)
接種費用
無 料
※ただし、対象年齢(2か月~7歳6か月未満)に当てはまらない場合、接種間隔が異なる場合(初回1回目→2回目を20日あけずに接種した、追加を6か月あけずに接種したなど)は任意接種となり、有料となります。
※任意接種の場合、健康被害が生じた場合に予防接種法に基づく補償が受けることができないため、ご注意ください。
ワクチンの種類
不活化ワクチン
留意事項
- 接種当日は、朝からお子さんの状態をよく観察し、普段と変わったところがないことを確認してください。
- 予防接種を受ける予定であっても、体調が悪いと思ったらかかりつけ医とよく相談して接種するかどうか判断してください。
※37.5度以上の明らかな発熱がある場合は接種できません。
- 接種後30分程度は、急な副反応が出た場合に備え、医師と連絡がとれるようにしておきましょう。
- 接種後1週間は副反応の出現に注意し、接種部位の異常な反応や体調の変化があった場合は、速やかに医師の診察を受けましょう。
- 接種部位は清潔に保ちましょう。入浴は差支えありませんが、接種部位をこすることはやめましょう。また、当日ははげしい運動は避けましょう。
- 母子健康手帳は、予防接種を受けた大切な記録となります。今後接種歴を確認する機会も多くありますので、大切に保管してください。
副反応について
- 接種後、注射部位の発赤・腫れ・しこりなどの局所反応がある場合があります。
- 発熱・下痢・鼻水・咳・発疹・喉の発赤・吐き気などがみられることがあります。
- 重い副反応がなくても、気になる症状や体調の変化がみられた場合は、接種した医師に相談してください。
- 予防接種によって健康被害(入院が必要な程度の障害など)が生じた場合は、その健康被害が予防接種によって引き起こされたものと認定されると、予防接種法に基づく補償を受けることができる健康被害救済制度があります。
- 予防接種の効果・副反応などを理解した上で接種してください。
厚生労働省リーフレット