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更新日:2023年10月20日

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「街路樹のあり方」について研修を実施しました

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令和5年8月23日
「環境共生時代での街路樹のあり方について」をテーマに、LAまちづくり研究所所長・大阪府立大学名誉教授の増田昇氏を講師に迎え、研修を実施しました。

街路樹のあり方~美しい街路樹が都市景観を支える~

街路樹の持つ機能や効果
  • 街路景観の構成と街路樹
  • 街路における植栽効果の分類、街路樹の役割
街路樹の抱える主要な課題
  • 植栽基盤に関する課題

      *街路樹の育成空間に関わる制限(植栽基盤と剪定問題)

      *植栽基盤の課題(根上がり)、倒木の危険性等、植栽基盤の考え方

      *海外の事例

      *土壌条件

      *道路緑化の可能性

      *道路構造令の改正の必要性

  • 剪定に関する課題

      *強剪定の弊害等、剪定の基本的考え方

  • 樹種の選定に関する課題

      *樹種の選定条件(合目的性・環境適性・環境耐性・育成性・施工性・管理性・供給性)

      *診断更新の重要性

御堂筋のイチョウ並木
  • 御堂筋の歴史、イチョウ並木の歴史と現状と評価
  • 今後のイチョウ並木並びに御堂筋の景観形成を探る
  • 植栽基盤の改善(根鉢の状況、モデル整備区間、将来目標像)
代表的な街路景観
  • 国内(定禅寺通り<仙台>、絵画館通り<東京>、泉北ニュータウン)
  • 海外(シャンゼリゼ通り<パリ>、ニコレットモール<ミネアポリス>、シアトル郊外、シンガポール中心市街地、青島市街・大連市郊外<中国>、スタンフォード大学・ビバリーヒルズの特殊木)
グリーンインフラ
  • EUの定義、アメリカ連邦環境保護庁の定義
  • グリーンインフラの取組推進による魅力ある地域の創出(平成26年)
  • 次期生物多様性国家戦力に向けて~2030年ネイチャーポジティブに向けた5つの基本戦略
  • アーバンフォレスト計画(アメリカ農務省森林局)~樹冠被覆率目標の確立
  • みどり・ランドスケープに求められる役割

     *集約型・低炭素型都市構造の実現

     *自然との共生を図った安全な都市や生活環境の実現

     *都市や生活環境の魅力化

     *新たなライフスタイルの実現

質疑応答

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質問1

   道路法によって、街路樹が道路の付属物となり、所管が公園緑地室から道路管理室になったため、本市のみどり行政も変わってきたのかと思うが、いかがか。

   一時期、街路緑化がかなり導入されたが、景観論争が終焉を迎えると反対に維持管理費用の負担増という財政問題に転換されて、歩道の植栽帯を設けなくなるなど、みどり行政は後退したと言える。さらに、温暖化で風水害が甚大となり、倒木問題の顕在化もあって、輪をかけて街路緑化は後退している。

   しかし、日本がヒートアイランド対策として温度上昇を抑制するため屋上緑化を導入したときには、海外ではすでに水の貯留空間を少しでも確保するという意味での屋上緑化の重要性がうたわれており、20年とか30年くらい遅れている状態だと言える。道路構造令などの見直し時期に来ており、街路樹の“植栽ます”は最低でも10立米ぐらいにして根っこの環境を確保せよというような形に改善されていくべき。少々費用がかかっても、50年後、100年後のため、今それをやることが財政的にもプラスと考え、自治体はしっかりやらないといけない。

   高度成長期は道路渋滞問題が発生したが、今は車線数を制限してもいいという時代に向かっているのではないか。欧米やシンガポールなどでは道路走行環境を改善する考え方が当たり前だが、日本ではなかなかそこまで踏み切れない。日暮里では一般車両の通行規制により反対に都市再生できている。神戸市でも、30年前くらいに、1車線減らして植栽帯を充実させたり、構造的剪定に転換してきたが、10年ほど前にはそれが達成できたので、現在は私から小木や枝葉を抜くだけの管理を提言している。

質問2

   高木の街路樹は景観であったり、日陰になるなど必要と感じるが、低木に関してはゴミを突っ込まれたり、伸びて通行人が見えず、交差点付近の見通しが悪くなるといった苦情が多く出ている。低木の街路樹への考え方はいかがか。

回答

   日本は基本的に低木・中木・高木の考え方で植栽してきたが、都市の環境を考えると、路面への貯熱をカットする効果から見ても高木が非常に重要。低木は、画一的にツツジやサツキを植えるのではなく、「雨庭」的なつくりとするなど排水路と一体となった透水性のある“植栽ます”への移行を考える時代に来ている。

質問3

   花やみどりはまちづくりの非常に大事な手段だと考えるが、街路樹の維持管理については費用がかかるので、視察先の先進地各市でも高木は控えているという話を聞いた。ネイチャーポジティブ(生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せること)の考え方とは逆になると思うが、いかがか。

回答

   海外ではよく、胸高直径1メートル以上の樹木がどれくらい植栽されているかで都市の品格を評価すると言われている。要するに、無味乾燥な環境では経済活動が活性化しないということ。最近、世界企業であるダイキン工業が摂津市に建設した研究所で「TICの森」として広大な里山を再生しているが、それだけ環境に対して投資しないと、海外の一流企業とおつきあいしていただけないと明言されている。そういった活動をしないと、都市も評価されず一流のつきあいができなくなるのが本当の意味でのネイチャーポジティブと言えるかもしれない。

質問4

   本市において街路樹を更新していくとき、高木から低木にすると樹冠被覆率が下がっていくが、逆行していることになるのか。

回答

   まさに逆行している。日本の都市行政は近視眼的にものを見ており、結果的に痛手を被っている。例えば、1970年代に大阪市内では交通渋滞問題から路面電車が全て廃止されたが、ヨーロッパでは反対にニュートラムとして復活させていた。今が我慢の時期で、政策投資のしどころである。

質問5

   本市が大阪府下で最高のみどりに恵まれた都市であり続けるのに、どういう施策をやっていくべきか示唆を請う。

   回答

   箕面や千里中央が高級住宅地と言われるのは、背後に北摂山系があり、内部に都市農地を保有し、いわゆるミニ開発を抑制しながら一定規模の開発を遂げた住宅都市という位置づけが確立されているためで、それを堅持すべきだろうと思う。

   都市緑化への考え方としては、大阪北ヤード10ヘクタールの開発中、4.5ヘクタールが都市公園で、民地部分を含めて8ヘクタールをみどりで覆うという開発をしているが、そうでないと世界水準の都心になっていかないということ。また、三宮でもしきりに再開発が計画されているが、従来のように商業床をどれくらいたくさん供給するかではなく、オープンスペースや緑化スペースを保有しながら、どう都市活動を向上させるかというプランづくりがされている状況である。

質問6

   府中市への視察では、大ケヤキの並木がたいへん立派だったが、土壌の違いで、関東は平植えができるが、関西は高植え(盛り土)する必要があるとのこと。土壌を変えることは無理なのか。

   回答

   根っこの入る“植栽ます”に対する標準仕様を現行の5立米から10立米にするだけでも大きく違う。もう一つは、伸長・成長の比較的緩やかな樹種を選択すること。

質問7

   近年、ハナミズキが植栽されることが多いが、萱野では大きくならないうちに枯れて、先日の台風で倒れてしまったようだが。

   回答

   ハナミズキは、基本的に高温障害のため大都市圏の平地部では無理で、秋に紅葉する前に夏枯れしてしまう。花ぶりはやや小さいが、同じミズキ科の日本在来種であるヤマボウシなら比較的耐性がある。派手さはないが、穏やかな風景になるのではないか。ただし、供給の問題がある。在来種で街路緑化に適した樹種が少しずつ植木屋で育成されつつあるが、まだまだ追いついていない。

質問8

   緑被率と樹冠被覆率は違うものか。

   回答

   アメリカ合衆国の農務省が言っているのは、単純に上空からの投影面積で、下がコンクリートであれ何であれ、投影面積を4割にしようという目標を掲げている。緑被率は、芝生地や農地なども緑地とするので、必ずしも樹冠の投影面積には限定されていない。

   各自治体の『みどりの基本計画』で掲げている緑被率の目標値については、都市農地は生産緑地でいずれ市街地に転換される恐れがあるため、数値に入れていないと思う。ただし、これからの状況を考えると農地の被覆率も非常に重要なので、それは加味した方がいいと考える。

質問9

   日本では「3軒隣のみどりはよい」と言われるが、市民との意見交換会で、街路樹は誰のものかという議論があって、地域の人のものでもあるし、市のものでもあるが、それをどのように考えていけばよいか。

   回答

   例えば、シャンゼリゼ通りでは、秋に落葉を掃除するのが都市の文化だとされる。日本の緑化行政は、そういう文化の域まで定着していないのが大きな課題。

   シンガポールはまちを緑化するガーデンシティ構想で世界都市になった。その次の展開として、国土全体を庭と見立てて、その中で都市活動をしていく考え方(シティ・イン・ザ・ガーデン)にバージョンアップした。それによって都市間競争を生き抜こうとしているが、緑化行政とはそういうことだと思う。

 

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