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令和2年2月10日月曜日
「AI化で変わること、変わらないこと」と題し、AI研究の第一人者である国立情報学研修所・総合研究大学院大学教授の山田誠二氏から、次のような内容でお話を伺いました。
現在、“第3次AIブーム”と言われているが、それは計算機のパワー(性能)が桁違いに上がって、ビッグデータの利用が可能になり、機械学習(注1)が応用できるようになった影響が大きい。
AIは定型的な仕事が得意であり、特に医療分野で、症状の画像分類などについての導入が進んでいる。
一方で、“常識”と呼ばれる類いの、状況に応じて無数に判断が必要となるソーシャルスキル(社会生活上必要な能力。いわゆる、“人付き合いのうまさ”や“相手を思いやること”)については未だ扱えない。
(注1)機械学習とは、大量のデータを反復学習し、そこに潜むパターンを見つけ出して覚えさせることにより、未知のデータを判断(結果を予測)できるようになること。
AIはさまざまな職業分野に進出していくが、ひとりの人間の仕事を全てAIに置き換えることはできない。AIができないことが、本来人間がすべき仕事となっていく。
これからのAIは、人と協働して(役割分担し、相談しながら)作業していくようになる。したがって、AIは機械学習の結果、人間を理解するが、人間の側もAIというものを理解する必要がある。
AIで補完できないからこそ、ソーシャルスキル(相手の気持ちを思いやる)は初等教育から取り入れることが必要。
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この際、AIについて、山田先生にいろいろ質問してみました。 |
回答:将棋の局面は無限ではないが非常に多く、AIでも調べ尽くすのは無理。それぞれの場面で調べなくてよい「手」を人間と同レベルに削ることができるようになったので、AIが人間に勝ち始めたということ。AIが選択した「手」が、なぜ最良の「手」なのかを説明できるところまでは行っていないのが現状。ただし、それが説明できないと、AIの社会導入は頭打ちになると思っている。
回答:総合的にはそのとおり。もちろん、一部ではすでにAIが超えているところもあるが、AIは単にコンピュータプログラムであって、道具と一緒。ほかの道具より、人間のほうが使われてしまうことは多いと思うが、まだまだ大したことはない。
回答:電車は線路上しか走らないので比較的やりやすいと思う。ドローンも、空中のほうが障害物がないのでやりやすい。さまざまな状況判断が必要な自動車の運転が一番難しいと思われる。飛行機はすでに離着陸以外はほぼ自動になっている。今でも、自動運転と人間の判断が対立することが起こっており、迷っている間に事故になることを防ぐために、そういう場面では人間の判断を優先するというような、人間との役割分担に関する技術が必要になってくる。また、こうしたAIに関連する法律の整備が全然進んでいないのが課題。
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