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令和4年2月10日木曜日
「議会におけるハラスメント防止の取り組みについて」と題し、弁護士 太田雅幸氏から、実際の裁判例等の解説を交え、地方議会議員が理解しておくべき様々なハラスメントについて、次のような内容でお話を伺いました。
回答:議会の中のハラスメントは一つの要素でしかなく、人材をどう発掘して養成していくかという課題に加え、有権者からのハラスメントも大変強いと思う。
今、内閣府で研修教材を作っており、主なターゲットは議会の議員だが、教材の中では有権者によるハラスメントも取り上げていて、有権者も見ることができる。ただ、会社や市役所のようなピラミッド型の固い組織には「研修」がある程度有効だが、住民・有権者には動画を見てくださいと言っても見る人はいないので、そういった人たちの心に刺さっていくのは難しい。なかなか改善の手立てがなく、幼い頃から政治教育をやってみても、有権者の中にはいろいろな層の人がいるので、ハラスメントを起こす人は残ってしまうのかなと思う。
回答:私は、議員からの執行部に対する数多くの質問がパワハラになるとは考えていない。むしろ議会としては質問してしかるべき。ただ、業務妨害的な質問量になった場合がどうかということ。
よくある話として、ものすごい量の開示請求が出された場合、何のためにそこまでの請求が必要なのかわからないような著しく酷い請求は拒否できると法律で定められている。同じことが執行部への質問にも成り立つかというと、まず、地方議会議員が執行部に対して質問した場合、回答してもらうのが権利かといえば、そうではないと考える。100条委員会を立ち上げて尋問するのは議会としての権利だが、個々の議員が質問権を持っているわけではない。議員が執行部に対して問題点を指摘し、回答してもらうことが市政に有益なのであれば、執行部には説明責任があるというのが私の考えである。
そういう意味で、ものすごい量の質問が来たときにどこまで回答するかは執行部側で考えればよく、他の業務を全部止めてまで答えなくてはならないとは思わない。
回答:子どもの年齢により、親が不法行為責任を負うということはあり得る。一般的に、子どもの窃盗事件に関して、親の辞職は法的には関係ないというところだが、職業によっては、違う部分もあるかもしれない。例えば、県警の幹部が辞めずにいられるかというと、責任を取るということになるのかなと思う。
回答:労働施策総合推進法でパワハラが規定され、それに基づき厚生労働大臣が指針を作って公表したり、総務省が地方自治体向けに技術的助言という形で通知を出しているし、内閣府ではパワハラ防止研修用のビデオ教材も作っている。一通り見てきた中で、ご指摘部分について言及するものはない。現実に生じている深刻な問題ではあるが、政府の方では取り上げてきていない。
国レベルではある程度深刻な問題になっている。国会議員は「質問主意書」を出す権利が認められており、つまり一人ひとりに質問権がある。そのために必ず回答しなければならず、たくさんの質問書を出すと内閣法制局などまで困るという事態が生じている。
地方議会においては「質問主意書」の制度がなく、執行部がきちんと住民代表たる議員に不明な部分を説明する義務を果たすという意味で説明要求が行われている。どの範囲まで可能で、どこから範囲を超えるかは、知る限りにおいてパワハラとの関係で議論したものはないと思う。
回答:議会と執行部が問題意識を共有するといった事例についての知識は持ち合わせていない。ただ、関連で言えば、執行部の心理として、回答するとそれに縛られるという意味で、確定的なことを言わず、抽象的になりがちで、議員側は欲しい答えが出てこないから長時間のやりとりになるという実態がある。ある程度オープンになることで、それを未然に防ぎ、中身が改善されていくことにもなるので、ぜひ今後の参考にさせていただきたい。
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