更新日:2021年10月22日

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令和3年第5回箕面市教育委員会臨時会会議録

日時:令和3年8月26日(木曜日)午前11時

場所:箕面市役所本館3階委員会室

出席委員

  • 教育長 藤迫稔君
  • 代表教育委員 教育長職務代理者 山元行博君
  • 委員 髙野敦子君
  • 委員 大橋亜由美君
  • 委員 中享子君
  • 委員 稲田滋君 

付議案件説明者

  • 子ども未来創造局長 岡裕美君
  • 子ども未来創造局学校教育監 金城忠君
  • 教育政策室長 乾敬一朗君
  • 児童生徒指導室長 高取貞光君

出席事務局職員

  • 教育政策室参事 門田美奈子君

議事日程

1.議事日程

日程第1:会議録署名委員の指定
日程第2:箕面市いじめ重大事態第三者調査委員会による答申受領の件

(午前11時開会)

◯教育長(藤迫稔君):ただ今から、令和3年第5回箕面市教育委員会臨時会を開催いたします。まず冒頭に私の方から一言申し上げたいと思います。今回の臨時会の案件は去る平成30年10月15日に発覚した市内中学校におけるいじめ事案に関して、いじめ防止対策推進法及び箕面市いじめ問題対策連絡協議会等条例第9条に基づき設置された、箕面市いじめ重大事態第三者調査委員会に令和2年3月12日付けにていじめの全容解明、及び再発防止について諮問しておりましたが、去る8月5日に当該調査委員会から答申調査報告書を受領しましたのでご報告するものであります。この後いじめ事案の内容や経過について事務局から説明がありますが、学校及び教育委員会事務局の対応の不適切さから被害生徒やご家族に辛い思いをさせてしまったこと、加えまして全容解明までに多くの時間を費やしたことから、被害者だけでなく関係する子どもたちや保護者など多くの人々にも多大な心労をおかけしてしまったことについて、大変申し訳なく思っております。調査報告書には今後の対策、取り組みについての提言もいただいていますので、今後この教育委員会会議でもしっかり議論し、対策を講じていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。議事に先立ちまして事務局に「諸般の報告」を求めます。
(事務局報告)
◯教育長(藤迫稔君):ただ今の報告どおり、本委員会は成立いたしました。
◯教育長(藤迫稔君):それでは、日程第1「会議録署名委員の指定」を行います。本日の会議録署名委員は、箕面市教育委員会会議規則第5条第2項の規定に基づき、大橋委員を指定いたします。
◯教育長(藤迫稔君):議事に入ります前に、本日の日程のうち、日程第2、報告第82号「箕面市いじめ重大事態第三者調査委員会による答申受領の件」は、いじめ重大事態の対応に関する案件であり、個人情報保護の観点からは、公開による議論になじまない内容を含みますが、事態の重大性に鑑みまして、当事者のプライバシーを侵害しないように十分に配慮することを前提に、公開の場で審議したいと思いますが、いかがでしょうか。
(“異議なし”の声あり)
◯教育長(藤迫稔君):異議なしと認めます。皆様の総意により、当該案件については、公開で審議することといたします。
◯教育長(藤迫稔君):それでは、日程第2、報告第82号「箕面市いじめ重大事態第三者調査委員会による答申受領の件」を議題といたします。議案の朗読を省略し、提案理由を子ども未来創造局児童生徒指導室長に求めます。
◯子ども未来創造局児童生徒指導室長:本件は令和2年3月12日付け諮問に対するいじめ重大事態第三者調査委員会からの答申の受領にあたり、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第25条第1項並びに箕面市教育委員会教育長に対する事務委任規則第3条第1項の規定により、教育長が臨時に代理しましたので、同規則第3条第2項の規定により報告するものです。その答申の内容について、ご説明いたします。平成30年10月15日に、当時、市内公立中学校支援学級在籍の1年生の生徒に対して、当時の学校の確認としては10名の男子生徒が、被害男子生徒をからかって「叩く、蹴る等の暴行」や「不適切な言葉を言わせた行為」といったいじめを行っていたことが発覚しました。学校が把握した10名の加害生徒は、反省文を被害生徒保護者に提出していますが、被害保護者は学校や教育委員会の対応や調査結果に納得されず、平成31年度より被害生徒は他校に転出しています。その後、令和元年10月24日に、被害生徒保護者が第三者による調査委員会による調査を求める要望書を教育委員会に提出されました。次に調査の経過についてですが、令和2年3月12日に教育委員会から第三者調査委員会に調査について諮問しました。同日、第1回箕面市重大事態第三者調査委員会が開催され、令和3年6月21日までに計38回が開催されています。そして、令和3年8月5日に箕面市重大事態第三者調査委員会から答申を受領いたしました。今回の調査結果については、当時把握されていたいじめに加えて、1学期よりいじめがあったことについても明らかになり、「Jアラートが鳴るぞと伝えて怯えさせる行為」等、新たにいじめとして該当するものが3件、また、加害生徒の人数についても、当初の10名から6名増え、16名の生徒がいじめに関与していたことが認定されています。また、今回のいじめ対応にかかる問題点としては、まず、いじめそのものの取り組みについて、学校におけるいじめ予防体制が不十分な点、学校の初期対応に関する不適切な点、学校のいじめ防止対応方針に基づき組織的対応を行わなかった点、調査資料や会議録等についての記録保管が不十分な点などが指摘されております。また、支援教育についても、障害のある生徒と障害のない生徒を同一の通常学級で教育しておりますが、本人の特性や合理的配慮に基づいた支援が不十分であった点、担任や支援担任の認識が不十分で、引き継ぎされた内容を活かすことができなかった点、個別の指導計画や個別の支援教育計画の内容と実行が不十分な点、通常学級担任と支援学級担任の連携が不十分な点などについての指摘がありました。そして、第三者調査委員会からの提言としては、箕面市いじめ防止基本方針および箕面市立学校いじめ防止基本方針の見直し、本人の希望や想いを汲み取った支援の必要性について、ケース会議の開催および専門職による支援内容の実施について、保護者、家庭との生徒に関する情報共有および保護者支援の実施について、生徒本人の利用施設、サービス等との確実な支援方針、支援内容の共有の実施、生徒の自治性を活かしたいじめ防止の取り組みの発展について、教職員、支援教育関係者の研修機会の充実について、市の公的施策としての子どもの権利擁護に関するシステム構築の必要性について、以上の点について対応していくよう提言されています。指摘された課題及び提言については今後検討し、改めて教育委員会等での議論のうえ、速やかに取り組んでまいります。なお、調査結果の公表に関しましては、第三者調査委員会調査報告書及び概要版について、いずれも個人情報については黒塗りにしています。公表方法については、本日報道発表を行うとともに、市のホームページで公開いたします。
◯教育長(藤迫稔君):ご質問、ご意見をお受けいたします。
○委員(大橋亜由美君):今回、学校や市教育委員会から独立した第三者調査委員会が、これだけの期間をかけて調査をされてきたとのことですが、当時の学校の調査結果と第三者調査委員会の調査結果の違いは基本的にどこにあったか、もう一度お願いします。
◯子ども未来創造局児童生徒指導室長:当時の学校の調査では、10名の男子生徒が本件生徒に対して「叩く、蹴る等の暴力行為」等、「不適切な言葉を言わせた行為」を行っていたことをいじめ事案として認知していましたが、第三者調査委員会の調査結果では新たに「被害男子生徒をからかってベランダや廊下に閉め出す行為」、「Jアラートが鳴るぞと伝えて怯えさせる行為」等がいじめに該当するものとして認定されているとともに、いじめ行為は1学期の早い時期から行われていたこと、またいじめ行為に関係した生徒が16名いたことが新たに調査でわかっていることでございます。
◯教育長(藤迫稔君):今のところで、具体的に書かれているところで「被害男子生徒をからかってベランダや廊下に閉め出す行為」あるいは「Jアラートが鳴るぞと伝えて怯えさせる行為」等は、隠れたところで行った事案ではないですよね。恐らくみんなが見ている前での行為です。それをなぜいじめと認定せずに調査委員会になって初めて認定されるのかというところについて、皆が聞いていてなるほどと思える説明はありますか。
◯子ども未来創造局学校教育監:今の行為についてですが、当時の記録、報告書にも出てまいりますが、見てみますと、例えば閉め出す等の行為について、担任がその状況に気付いて一定情報の共有はしていたのですが、当時の学校の中では、これはからかいであるという認識の中でいじめとして対応するには至らなかったというふうに報告されてます。当時の学校のいじめに対する認識についての課題がこの報告書にも指摘されておりますので、1学期からとされていますが、もっと早い時期から組織的な対応をしていくことが必要であったと考えます。
◯教育長(藤迫稔君):学校の調査でこういった事象がなかったのではなく、あったけれどもそれをいじめとして認定してなかった、先ほどからかいという言葉がありましたが、駄目なことですが、ふざけているという行為として見ていたということです。
○委員(中享子君):調査報告書を読んで、4月はクラスの生徒と打ち解けたり落ち着いた様子がありましたが、5月の「Jアラートが鳴るぞと伝えて怯えさせる行為」というのは、「からかい」と認識していたとありますが、この頃からいじめがエスカレートしていった印象があります。にもかかわらず、保護者には落ち着きがないと担任が報告をして、保護者は謝罪をするというのが書かれています。それではこの時点で保護者からの信頼もまず得られないし、からかっている状況を目撃した生徒が止めようとしたり、先生にどうにかしてほしいと言ったにも関わらず効果がなかったというのが書かれていますが、生徒からも信頼がなくなり、保護者からも信頼がなくなっていることになってしまっています。他のいじめの事案についても初期対応が大切だと教育委員会会議で何度も指摘して言ってきていますが、この事案についていじめが起きた時の初期対応について学校はどう考えているのか教えてください。
◯子ども未来創造局児童生徒指導室長:初期対応に関してですが、当時クラスの保護者の通報を受けて学校では学年会議等で協議を行っていました。その内容は情報共有に終始していて、専門家の意見を踏まえて今後の対策を考えるという学校いじめ対策組織としての対応はできていなかったということは報告書でも指摘されております。学校が行った調査についても、調査方法や事実確認の内容が不十分で詳細な聞き取りや調査結果の検討も行われていなかったと記載されております。また当時の学校の調査結果になかった「Jアラートが鳴るぞと伝えて怯えさせる行為」については、当時の担任はからかいという認識はありましたが、管理職等に報告しておらず、本件生徒をベランダに閉じ込める生徒がいたことも担任には報告されていたものの同様で、組織としての対応ができていないということが今回の報告書で指摘を受けています。初期対応についてですが、これまでの教育委員会議での指摘を受けて、現在では「いじめ情報共有シート」という形で、いじめが起きた時に、いじめ防止対策組織で方針を決めてそのシートに記載して、教育委員会で確認するシステムに改善しました。今後も初期対応のあり方については学校に対して指導していく必要があると考えております。
◯教育長(藤迫稔君):今、説明にありましたように、一番肝心なのは、子どもの最も近くにいる担任の先生のとらまえ方で、この事案では、認識不足が多いのと、ちょっと自分のアンテナに引っかかった時点で組織としてチームとしての取り組みができていません。チームとして取り組みをしていると、その中にはある程度ベテランの先生もおられるし、過去にそういった経験をした先生もおられる、支援教育に長けた先生もおられる、人数が多くなればなるほど対応の仕方が変わる。その子の特性を見て、チームの中で見立てを立てた上で、かつ、クラスの子どもたちにもそのことを浸透させた上で、進んでいかないといけません。当初は、事が起こりました、保護者に言いました、また何か起こりました、保護者に言いました、くらいの感覚でしかなかったのでしょう。日頃から初期対応について指摘されているにも関わらず、今回のケースでも活かせなかったのは今更ながら残念なことで、今後しっかり対応していきたいと思っています。観点は違いますがこの報告書が出るまでもなく、われわれもそういった課題を認識しましたので、「安心感、信頼感を与える学校を目指して」という資料を作りました。本当に見る人が見たら今頃何を言っているのだというくらいの、いろはの「い」くらいしか書けていませんが、でもこれが経験の少ない教職員にはできていないということなので、初期対応についてもしっかり聞いて対応するということも書けているので、十分言われていることは問題点として認識しておりますので、今後しっかりやっていきたいと思っております。
○委員(稲田滋君):「いじめ情報共有シート」を作って学校と共有していく、という対応策だという話がありましたが、教育長がおっしゃったように、教員一人ひとりの感覚がどれだけ研ぎ澄まされるか、磨かれるかが一番問題になると思いますので、そのあたりの研修などの方法をもっと考えていってほしいと思います。常にそればかり気にして学校で対応させるのもおかしな話なのですが、ちょっとした芽を発見できる意識を持つということが大切だと思います。それが初期対応を間違えない、きちんと組織として対応することに繋げていける方法だと思いますので、そのあたりの対応策をしっかりと考えていってください。
◯子ども未来創造局児童生徒指導室長:初期対応に関しては非常に重要だという認識はしておりまして、先ほど言いましたように教職員がその初期の段階でしっかりと状況を掴めるということは非常に大事で、深刻化を防ぐことに繋がると思っておりますので、引き続き研修等を行いまして今後の対応を図っていきたいと思っております。
◯教育長(藤迫稔君):何回も言いますがやはり相談してほしいです。1人より2人、2人より3人、多くなればなるほど、違う観点での考え方が入るので、きっと誰かが引っかかるはずです。2人ではそういう観点はなかったけれど、それが例えば6人のチームになったら、6人のうちの一人がやり方が違うと気付きます。人数が多いほど、専門性のある人が参画するほどリスクを排除できるので、いろんな人に話す、相談することは必ず心がけてほしいです。これは調査報告が出る前に、私は事あるごとに言っています。
○委員(髙野敦子君):保護者からの第三者委員会設置の要望に対する教育委員会の対応について、学校ないし学校設置者が「重大事態ではない」と考えたとしても、被害児童生徒の保護者から重大事態が生じた旨の申し立てがあれば、重大事態の調査にあたるべきと指摘をされていますが、重大事態の調査についての考えを確認させてください。
◯子ども未来創造局児童生徒指導室長:重大事態についての考えということですが、国の「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」では、重大事態は、「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認める」ときは、調査を開始するとされておりまして、保護者からの申し立てがあった場合には、疑いがあるものとして調査を開始するべきであると記載されております。これをふまえて教育委員会の対応としても、いじめの重篤化を予防する観点から、たとえ比喩的に「死にたい」と児童生徒が言ったとしても、いじめの重大事態として対応するように現在学校に指導助言を行っております。本市の報告する重大事態の件数は他市に比較しても相当多くなっていると認識しております。
○委員(髙野敦子君):それではこの件について、報告書では平成30年11月から12月の段階のかなり前の時点で保護者の方から、重大事態ではないのか、第三者委員会の設置はできないのか等の要望を教育委員会に行っていたとありますが、この件についてなぜその時点で重大事態の対応をしなかったのかということを教えてください。
◯子ども未来創造局児童生徒指導室長:この件の場合、学校による調査では事実確認が当時まだ不十分であり、被害保護者の納得が得られなかったことを受けて、重大事態かどうかを判断するにあたってはより詳細な事実確認が必要であると当時考えておりまして、市教委による指導のもと、改めて学校による調査を実施して、被害保護者に報告するという形をとりました。しかし報告書にあるように、ガイドラインを踏まえた場合、申し立てがあった時点で重大事態としての調査を開始すべきであったと現在認識しております。
○委員(大橋亜由美君):今回、支援学級の生徒が対象になっていることがとても大きな課題であると認識しております。以前から教育委員会会議の中で何度も箕面市の支援教育について、一部の、例えば小学校であれば非常に理解力のある子や優しい子にその支援の必要な子を任せられているような状況がある中、からかいのことも何度も話題に上がり協議の対象となってきた中で、こういった事件が起きたことを大変悔しく思っております。報告書の中でも箕面市の支援教育について厳しい指摘がありましたが、この報告書を受けて、本市の支援教育について今後どのようにしていくのか、どのような考えがあるのか聞かせてください。
◯子ども未来創造局学校教育監:報告書では、学校は本件生徒の障害の特性にあった対応ができていたとは到底言えないという指摘がなされています。小学校から一定の引き継ぎはされていたものの、その引き継ぎの内容を中学校での指導に活かすことができていなかったことや、また本市の支援教育についてインテグレーション教育にとどまっており、インクルーシブ教育にはなっていない、つまり合理的配慮に基づいた教育活動が十分に行われていないということについても報告書で指摘されています。これまで本市の学校では、授業や環境のユニバーサルデザイン化を工夫するなど、通常の学級において障害のある児童生徒の特性に応じた配慮を行い、クラスづくりや授業づくりを進めてまいりました。ただ今回の指摘を受けまして、現在の本市の支援教育体制について、改めて議論していく必要があると考えています。今回の報告書を受けての本市としての今後の取り組みについては、市全体の方向性を取りまとめ、また教育委員会にも報告させていただきたいと考えております。また、その取り組みの一つとして、今年度、本市では国立特別支援教育総合教育研究所の地域支援事業に参加しておりまして、より効果的なインクルーシブ教育の実践に向けて、個別最適な学びの実現に向けての実証研究を実施しています。こうした研究も踏まえて、今後議論を重ねて、今回の提言に応えられるような最適な支援のあり方を検討していきたいと考えております。
○委員(大橋亜由美君):支援教育で、支援教育の必要な子どもたちにフォーカスが当たるのは当然なのですが、本当にその周囲の人たちがもっと理解する、学ぶという姿勢がすごく大切だと思います。そのためのインクルーシブ教育だと思いますので、今回被害にあったお子さんがたまたま特性のあったお子さんで支援が必要だったということですが、周囲の子どもたちの教育もとても大切なことなので、そちらをぜひ忘れずに一緒に行っていただきたいと思います。今の状況は子どもたちの話を聞くと本当に一部の子どもたちだけで他の子どもたちは知らんぷりという状況がままあるようですので、ぜひそういった共生社会についてしっかり学ぶ機会をつくることを継続してお願いしたいと思います。
◯教育長(藤迫稔君):正直、この部分については、箕面市は長きに渡り支援教育はしっかりやっている市だと自負していますが、今回の件は非常に残念だと思っています。端的に今の箕面市の支援教育を表しているところが報告書の中で出てきてまして、「障害のある子どもと障害のない子どもができるだけ同じ場で共に学ぶことを目指すべきではあるが、その場合、それぞれの子どもが授業内容がわかり、学習活動に参加している実感、達成感を持ちながら充実した時間を過ごしつつ生きる力を見つけていけるかどうか、これが最も本質的な視点であり、そのための環境整備が必要であるということが示されているとした上で、箕面市全体として、同じ場で共に学ぶという前半部分は浸透しているものの、後半の子への支援の視点が十分でないところがあり、支援教育の基本である一人ひとりの教育的ニーズに応じた共に学ぶ共に育つ教育となるような体制作りへの転換が必要であると考えている」とされています。ということは箕面市はこれができていないということです。一緒の教室には入っているとはいえ、後段の本来の共に学ぶ共に育つの本質的なところは欠けているという、非常に私にとっては手厳しいことであります。ここはしっかり踏まえて、今後対応していかないといけないところかと思います。みんな、頭の中を今まで通りではなく見直して取り組んでいかないといけないところかと思っています。
◯代表教育委員(山元行博君):支援教育のところで話を聞きたいと思っています。大橋委員が言っていただいたのでその中身とかぶることがありますが、この事案は何度も経過報告を受けてきて、今回この臨時会に議案として出していただいています。私はずっと経過報告を読んでいて、表現が難しいですが子どもたちの状況がこんなことになるのかと心臓が痛いです。胸が痛いという次元を超えています。私の孫の支援のことで、孫の家族がこの子をどうするか家族会議をして、私も個人的にいろいろ相談を受けていましたが、最後はこの子の未来、将来をどうするか大家族会議をしました。多分どの家庭も支援の必要な子についてはそういう経過をたどると思います。そのことが周りの子どもたちや保護者のかたにどうすればわかっていただけるのか、考えれば考える程、心臓が痛いです。経過報告を聞いていて今回会議に出させていただいてどうすればいいのかと思いました。支援の必要な子に対してのスキルを作っていくのは大事ですが、先生や周りの保護者に家族の思いをわかってもらえるかというのが大きな課題だと感じていました。今回事務局から、具体的に国立特別支援教育総合教育研究所の地域支援事業に参加するとおっしゃっていましたが、私が4年前に東京で全国の教育委員連合会の総会に参加した時に、この担当のかたが文科省に来られてすごく力の入った説明をされていました。幼稚園も視野に入ったいろいろな講座もきちんと作っておられて、その研究所と箕面市が連携できていくということは非常に重要なことだと思っています。概略でいいのですが、地域支援事業というのは具体的に何をするのか聞かせてください。
◯子ども未来創造局学校教育監:本事業では指定校に対して加配を配置すると共に、民間業者から個別の教育支援計画、指導計画の策定や個別最適化の学習に向けてのシステムの導入をしていただき、それを検証するなかで、支援の必要な子どもの個々の学びをどのように改善していくかについて検証を進めていくものです。先ほど申し上げました個別の教育指導計画、個別の支援計画の策定につきましてもこれまで本市の中で、この報告書でも課題となっているところですが、その策定がなかなか個々の課題に応じているものになっていないというところを、こういったシステムを活用してさらに改善していくことや、また、支援担当の教員のスキルアップであったり、意識を高めていくことにもこの事業がつながるのではないかと考えております。以前から本市の支援教育について課題として感じていたところからこういった事業を受けることになったわけですが、まさにこの報告書の提言にも沿った形で通常学級の中にいる子どもたちに対しても、もっと個々の視点を持って個々についてどのように伸ばしていくのか、どのように支援していくのかをさらに改善できるように、この事業を通じて検証を進めてまいりたいと思っております。
◯代表教育委員(山元行博君):ぜひよろしくお願いします。この冊子の中では特別支援教育の免許状の取得についても詳しく説明されていて、この研究所の講座と府教委と大学と連携しながら免許状の取得ができるということで、たぶんあまり取られてないと思うので、箕面市でもそういった特別支援教育の免許状を取れる教員が増えていく形をきちんと取っていただければありがたいと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。
○委員(稲田滋君):報告の中で、学校のいじめ防止基本方針は不備があると言われていたのですが、それについてはきちんと直っているということでよろしいですか。あと、箕面市のいじめ防止基本方針の見直しについても言及されていますが、それはどこをどのように変えていく予定をされているのですか。
◯子ども未来創造局学校教育監:まず学校のいじめ防止基本方針につきましては、報告書の指摘以前にすでに学校の方が改定しておりまして、現在ではいじめ防止対策推進法に沿った内容として示されています。箕面市のいじめ防止基本方針についてですが、これにつきましては当初からいじめ防止対策推進法に沿って策定され、またいじめ重大事態のガイドラインと法令等が出た際にはそれに合わせて改定を進めてきたということで適切にこちらとしては運用できているのですが、ただ、これまでのいじめ事案の対応の反省等を踏まえて、市としても常に、さらにいいものにしていこうということで随時改定を進めているところでした。今回この報告書を受けてということになりますが、今回の報告の内容の中で、いじめ防止対策推進法でもいじめの定義の部分で「被害児童生徒が心身の苦痛を感じて」という部分が含まれております。ただ、今回の事案につきましては被害生徒の特性の部分でなかなか心身の苦痛という部分の表出が難しいというところが課題としてありました。そういった中で提言ではさらに幅を広げて子どもの尊厳が損なわれるような行為については広くいじめとして捉えていくべきではないかという提言をいただいております。本市としましてもこの報告書を踏まえてそういった形でさらに広くいじめを捉える中で、早いうちにいじめを見つけて解決していけるような方針に改定していきたいと考えております。
○委員(稲田滋君):いじめ防止基本方針を変えたからそれでいいという訳ではなく、今回の場合もいじめ防止基本方針があるのにその方針通りに学校がきちんと運営しなかったからこういう事態になったことは十分反省していただきたいです。せっかくいじめ防止基本方針があるのになぜ使わないのか。そこにどう対応すればいいか書いてあるのだから、それをきちんと使って対応していくというような形でこれから進めていただきますようよろしくお願いします。
○委員(中享子君):先ほど、初期対応のことで聞くのを忘れていましたが、この件の学校の初期対応は法律違反でないのかどうかをお聞きしたいです。
◯子ども未来創造局児童生徒指導室長:初期対応の法律違反ではないかということですが、いじめ防止対策推進法の第23条第2項においては、いじめの通報があったり学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われる時は、速やかにいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずると共に、その結果を学校の設置者に報告するものと定められております。学校はまず周りの生徒に状況を確認する等、いじめ行為があるかどうかの確認を行うべきであり、法律の定めに基づく対応としては極めて不十分であったと認識しております。市教育委員会としては校長経営会議、生徒指導主事会などでさらに研修等行って理解を深めていく必要があると考えております。
◯教育長(藤迫稔君):なかなか厳しいご指摘です。だからこそ今こういうことになってしまったので、初期の段階にきちんと、先ほども言われましたが方針がきちんとあるのだから、その方針に沿ってきちんとやればおそらくここまでのことにはなっていないのではと今更ながらですが反省点だと思っております。ここに至るまで、協議会等の場で議論をいただきまして、ご意見をいただいておりますので、今日いただいた意見だけではなく、それまでにいただいた意見も真摯に受け止めて対応していかなくてはいけないと思っております。
◯代表教育委員(山元行博君):今回支援の必要な子どもたちのことでということで話が進んだので、教師に求めたいのは寄り添う力、この力を強く求めたいです。学校、教育委員会の事務局にも求めたいです。なかなか寄り添っていくというのは難しい時はありますが、それでも教師だからやらなくてはいけないのです。今回の被害者の子どもにも誰がどれだけ寄り添えたのかというのはよくわかりませんが、それくらいの力はぜひ持って欲しいと思います。私事ですが、私の父は府立盲学校等で生涯一教師で、寝屋川支援学校や交野支援学校の設立に関わりました。盲学校の視覚支援の子どもたちの同窓会を自分の家でしていました。父の子どもである自分が同窓会での世話をすることもありました。最後、帰る時に子どもたちが帰りたくないと父の袖を離さないんです。それを見た時にやっぱり教師の力とはすごいと思いましたので、教師の寄り添う力は育ててほしいとあえて言っておきたいです。従前であれば子どもたちが自分の生い立ちを語るという取り組みを大阪の人権教育としてずっとやってきましたが、今できていません。いろいろと課題はありましたが、トータルで見ると大阪の人権教育はもっと強かったです。コロナ禍で大変ですが、そのことをもう一度学校で組み直して欲しいです。でないといじめも解決できないし、コロナ禍の対応もできないと思っているので、もう一度そこを組み立てて欲しいということで、ぜひお願いしたいと思います。
◯教育長(藤迫稔君):それでは意見も出つくしたと思いますので、報告第82号を採決いたします。本件を報告どおり承認することにご異議ございませんか。
(“異議なし”の声あり)
◯教育長(藤迫稔君):異議なしと認めます。よって、本件は報告どおり承認されました。
◯教育長(藤迫稔君):以上をもちまして、付議された案件、報告1件は、全て議了いたしました。本日の会議は全て終了するわけですが、本日の議論で調査報告書にはもともといろいろな提言が書かれておりますし、先ほども申しましたように、この報告書が出るまでもなくわれわれ自身で検証した結果いくつかの課題も見つかり、それはすでに手をつけて対応しています。また今日教育委員から新たな意見も出されました。そういうことも総合的に含めまして、まずはいじめが起こらないということが大前提ですが、万が一にもいじめが起こった時にはどう対応するかということを徹底するとともに、いじめとは今回カテゴリーが少し違うかもしれませんが、人権教育の課題、支援教育の課題が出てきましたので、それはいじめと同じものだということで、セットで考えていくということをもう一度見直しながら、このように子どもたちが辛い思いをするということが二度とないように、また保護者のかた、いろいろなかたが辛い思いをすることのないように、しっかりと対策を練りながら実行していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。これをもちまして、令和3年第5回箕面市教育委員会臨時会を閉会いたします。

(午前11時44分閉会)

以上のとおり会議の次第を記し、相違ないことを認めたので、ここに署名する。


箕面市教育委員会

教育長(本人自署)

委員(本人自署)

 

よくあるご質問

お問い合わせ

所属課室:子ども未来創造局教育政策室 

箕面市西小路4‐6‐1

電話番号:072-724-6762

ファックス番号:072-724-6010

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