ここから本文です。
平成7年1月に発生した阪神淡路大震災(M7.3)では、約25万棟の家屋が全半壊し、6,434人の尊い命が犠牲となりました。地震による直接的な死者数は5,502人で、その約9割にあたる4,831人が住宅建築物の倒壊等によって命を奪われたものであることが明らかになりました。
近年においても、新潟県中越地震(平成16年10月M6.8)、福岡県西方沖地震(平成17年3月M7.0)、能登半島地震(平成19年3月M6.9)、新潟県中越沖地震(平成19年7月M6.8)などの大規模地震が頻発しており、さらに東海地震、東南海南海地震の発生の切迫性が指摘されるなど、大地震がいつどこで発生してもおかしくない状況にあります。
このような状況を受け、「中央防災会議」(内閣府)では「地震防災戦略」(平成17年)を策定し、東海、東南海南海地震による人的被害及び経済被害額の想定値を10年後の平成27年までに半減させることをめざすこととしました。さらに「住宅建築物の地震防災推進会議」(国土交通省)においては、地震被害を半減させるという観点から、10年後までに特定建築物及び住宅の耐震化率を現状の75%から90%に引き上げるという数値目標を定めました。
国はこの目標を達成させるため「建築物の耐震改修の促進に関する法律」(平成7年、以下「耐震改修促進法」という。)を平成18年に改正施行しました。これは建築物の耐震改修の促進のための措置を講ずることにより建築物の地震に対する安全性の向上をはかることを目的としたもので、この法律により都道府県には国の基本方針に基づく耐震改修促進計画の策定が義務付けられ、市町村には市町村耐震改修促進計画を策定する努力義務が課せられました。
これを受け、大阪府では、平成27年度を計画期限とした「大阪府住宅建築物耐震10カ年戦略プラン」(以下「大阪府10カ年戦略プラン」という。)を平成18年に策定し、そのなかで大阪府は府下の市町村に対してより具体的な「市町村耐震改修促進計画」の策定を要請しています。
さて、本市では、阪神淡路大震災等を教訓に、市民と行政との協働による「防災都市づくり」の計画的な実現をはかるための「箕面市防災都市づくり計画」(平成16年3月)を定めてきました。そうした計画に加えて、先述の「耐震改修促進法」及び「大阪府10カ年戦略プラン」を受け、ここに「箕面市耐震改修促進計画」を策定します。
「箕面市耐震改修促進計画」は、本市が市民と協働して、今後発生が予想される地震による住宅等の建築物の倒壊及びこれに起因する被害を減少させる取組を一層進めることを目的としています。そこには住宅等の建築物の平成27年度時点の耐震化率の目標を定めるとともに、建築物所有者による耐震診断及び耐震改修を促進するための施策を示しています。本計画により建築物の耐震化が進められた結果、地震による人的被害経済被害の減少や、地震時の緊急輸送路の確保、災害からの早期の復旧が期待できます。
また、市内の災害時緊急輸送体制のさらなる強化をはかるべく、箕面市地域防災計画に基づく広域緊急交通路と主要な地域防災拠点を結ぶ地域緊急交通路について、耐震改修促進法に基づいて、耐震診断義務化対象路線として指定します。
本計画は、耐震改修促進法及び国の基本方針に基づいて策定された「大阪府10ヵ年戦略プラン」を踏まえて策定します。
また、本市のまちづくりの指針である「第四次箕面市総合計画」(みのおプラン2010)に基づくとともに、「箕面市地域防災計画」「箕面市防災都市づくり計画」「箕面市都市計画マスタープラン」等の施策との整合を図ります。
本計画の計画期間は、平成19年度から平成27年度までとします。
なお、社会情勢の変化、本市の財政状況や事業の進捗状況等を勘案し、計画策定後3年目にあたる平成22(2010)年度に進捗状況を検証し、必要に応じて本計画の見直しを行ないます。
(1)位置及び面積
本市は、大阪府の北西端に位置し、北緯34度49分、東経135度28分、東西7.1キロメートル、面積47.84キロメートルで、周囲は、西部を池田市、兵庫県川西市に、東部を茨木市に、南部を豊中市、吹田市に、北部を豊能町に隣接しています。
(2)地形
本市は、大阪平野の北辺に位置し、市域の約3分の2が山地によって占められています。そのうち北部には、丹波山地に続く北摂山地が連なり、南部の千里丘陵の間に市街地が位置しており、北部より山地、台地、低地と次第に高度が下がる地形を示しています。
北部にある北摂山地では、山頂300メートルから600メートルの急峻な山地地形が広がっており、また山地間を流下する河川は、険しい渓谷を刻んでいます。北摂山地と千里丘陵に挟まれた低地帯には標高100メートルから130メートルの山麓緩斜面が東西に連なっています。さらにその低地帯の大半を占める標高100メートル程度の台地及び浅い谷底平野は、南ないし東西に張り出し、大阪湾に向かう諸河川によって刻まれています。
(3)地質
北摂山地を構成する地質は、中生代ジュラ紀以前に形成した丹波層群(砂岩、頁岩)チャートと、一部、古大阪層群(礫、砂主体、淡水粘土を挟む)が分布しています。
北摂山地の南縁の一部には、第四紀鮮新世から更新世に形成した大阪層群(海成粘土、砂礫の互層、砂、礫等の未団結堆積物)が分布し、千里丘陵においても、この時代に形成した大阪層群が分布しています。
北摂山地と千里丘陵との間の緩斜面及び台地は、扇状地性、河川堆積物である高位又は中低位段丘層(礫主体)が分布しています。
河川沿いには、沖積層(軟弱な粘土層、砂層)が堆積しています。これらは軟弱ないし緩い地盤を形成しています。
(4)気象
本市は、瀬戸内海式気候に属し、温暖な気候に恵まれ、年平均気温は16度前後、最高気温35度程度、最低気温-2度から3度、平均湿度約75%前後で居住環境としての気象条件に恵まれています。
降雨量は年間約700ミリメートルから1,500ミリメートル程度で、全国平均よりやや少なく、多雨期は5月から7月及び9月、10月です。
大阪府域に影響する主な地震とそれによる被害想定などについては、『大阪府自然災害総合防災対策検討報告書』(大阪府総務部危機管理室、平成19年3月)に詳しく述べられています。
ここでは、そこで取り上げられる地震のなかでも、本市に最も大きな影響を及ぼすと推定される有馬高槻断層帯地震、上町断層帯、また近い将来発生する可能性がきわめて高い東南海南海地震による被害規模(建築物被害想定、建築物被害による人的被害想定)を把握します。
表1 箕面市に大きな影響を与える想定地震
想定地震 |
有馬高槻断層帯地震 |
上町断層帯地震 |
東南海南海地震 |
---|---|---|---|
震源断層の長さ |
54 キロメートル |
58 キロメートル |
640 キロメートル |
震源断層の走向 |
おおよそ 東北東-西南西 |
おおよそ 北北東-南南西 |
おおよそ 東北東-西南西 |
震源断層の傾斜 |
80度 (右横ずれ断層) |
ほぼ東南東傾斜 65度(逆断層) |
ほぼ北北西傾斜 7から14度(逆断層) |
想定地震の規模 |
気象庁7.3から7.7 |
気象庁7.5から7.8 |
気象庁7.9から8.6 |
想定震度の範囲 |
震度6弱から7 |
震度5強から6強 |
震度4以下から5強 |
(『大阪府自然災害総合防災対策検討報告書』大阪府、平成19年3月)
表2 地震発生確率
想定地震 |
内陸活断層を震源とする地震 |
南海トラフを震源とする地震 |
|||
---|---|---|---|---|---|
有馬高槻断層帯 |
上町断層帯 |
東南海 |
南海 |
||
地震発生確率 |
10年以内 |
- |
- |
10から20%程度 |
10%程度 |
30年以内 |
ほぼ0から0.02% |
2から3% |
60から70%程度 |
50%程度 |
|
50年以内 |
ほぼ0から0.06% |
3から5% |
90%程度 |
80から90% |
|
100年以内 |
ほぼ0から0.3% |
6から10% |
- |
- |
|
300年以内 |
ほぼ0から9% |
20から30% |
- |
- |
(『大阪府自然災害総合防災対策検討報告書』大阪府、平成19年3月)
(『大阪府自然災害総合防災対策検討報告書』大阪府、平成19年3月)
1.直下型地震
直下型地震のうち、本市の被害について、震度5強から震度6強と推定されている上町断層帯地震、震度6弱から震度7と推定されている有馬高槻断層帯地震による建築物及び人的被害は以下のとおり想定されています。
(1)建築物被害想定
単位:棟
断層帯 |
全壊 |
半壊 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|
木造 |
非木造 |
計 |
木造 |
非木造 |
計 |
|
有馬高槻断層帯 |
5,311 |
245 |
5,556 |
5,201 |
706 |
5,907 |
上町断層帯 |
2,355 |
89 |
2,444 |
3,143 |
341 |
3,484 |
(2)建築物被害による人的被害想定
単位:人
断層帯 |
死者 |
半壊 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|
早朝 |
昼間 |
夕刻 |
早朝 |
昼間 |
夕刻 |
|
有馬高槻断層帯 |
98 |
60 |
65 |
2,343 |
1,485 |
1,574 |
上町断層帯 |
23 |
13 |
15 |
1,678 |
1,002 |
1,103 |
(『大阪府自然災害総合防災対策検討報告書』大阪府、平成19年3月)
2.東南海南海地震
東南海南海地震は今後30年以内で50から70%の高い確率で発生、規模はマグニチュード7.9から8.6、震度5強を超えると予測されている地区が広範囲にあり、本市における建築物及び人的被害は以下のとおり想定されています。
(1)建築物被害想定
単位:棟
地震 |
全壊 |
半壊 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|
木造 |
非木造 |
計 |
木造 |
非木造 |
計 |
|
東南海南海地震 |
18 |
2 |
20 |
44 |
13 |
57 |
(2)建築物被害による人的被害想定
単位:人
地震 |
死者 |
半壊 |
||||
---|---|---|---|---|---|---|
早朝 |
昼間 |
夕刻 |
早朝 |
昼間 |
夕刻 |
|
東南海南海地震 |
0 |
0 |
0 |
21 |
12 |
13 |
(『大阪府自然災害総合防災対策検討報告書』大阪府、平成19年3月)
府域と周辺の内陸活断層図
(「近畿の活断層」[岡田東郷編、2000]などに基づく)
海溝型地震を引き起こす南海トラフ
(『大阪府自然災害総合防災対策検討報告書』大阪府、平成19年3月)
昭和53年の宮城県沖地震後、耐震設計基準が昭和56年6月に大幅に見直され、新耐震設計基準が施行されました。この新耐震設計基準による建築物は、阪神淡路大震災においても被害は少なかったとされています。これを境に、昭和56年5月以前を「旧耐震設計基準」による建築物、昭和56年6月以降を「新耐震設計基準」による建築物といった表現がされるようになりました。本計画では、旧耐震設計基準で建築された建築物を対象として耐震化を進めていきます。
1.住宅の耐震化の現状
(1)住宅を取り巻く環境
本市の人口は、昭和55年の国勢調査で10万人を超え、平成7年には127,542人に増加しました。しかし、平成17年では126,161人となり現在は微増傾向になっています。本市の総世帯数は増加が続き、昭和55年で3万世帯を超え、平成17年では51,499世帯になり微増傾向が続いています。
平成19年11月現在で、人口は127,590人、世帯数は、53,416世帯となっています。
(政策企画課経営改革担当 箕面市の人口推計 平成19年2月(「第四次箕面市総合計画」第3期実施計画)
今後の予想人口については、「既成市街地人口」「新市街地人口」「外国人登録人口」の3種類に分類して推計を行い、それらの合計を将来人口としました。
例えば下図で、平成22年度の将来人口の内訳は、既成市街地人口が127,642人、新市街地人口が6,570人、外国人登録人口が2,000人となっています。
(「第四次箕面市総合計画」2001年1月)
(2)住宅の耐震化の状況
高度経済成長期の急速な市街化により、大阪府における旧耐震設計基準により建築された住宅数が全国の約1割弱を占めており、それに対して耐震化を早急にはかることが求められています。特に、木造戸建住宅は、耐震化率が低く総合的な耐震化対策が必要と言われています。
本市耐震化の現状を推計するにあたり、昭和63年、平成5年、平成10年、平成15年に行われた住宅土地統計調査結果を利用するものとします。
(a)耐震化の現状
本市の人口は微増傾向にあり、世帯数も増加傾向にあります。昭和55年以前の住宅については、人口及び世帯数の増加にあわせて、住宅の新築建て替えが進んでおり、古い住宅については、減失しているものと考えられ、耐震化は進んでいるものと考えられます。
本市では、平成19(2007)年の住宅総数は53,662戸であり、うち耐震性を満たす住宅は、39,779戸、耐震性が不十分な住宅は13,883戸となっています。これによると耐震性(新耐震基準)を満たす住宅の割合は約74%で大阪府全体の推計値73%より若干高く、全国平均75%より若干低い数値となっています。
(b)建て方別による違い
本市における住宅を建て方別にみると、木造戸建住宅のうち38%、共同住宅等のうち19%が、耐震性が不十分であるという結果となっています。特に木造戸建住宅の耐震性が不十分であることがわかります。
表3 住宅の耐震化の現状(平成19年推計)
項目 |
住宅 |
建て方別内訳 |
|
---|---|---|---|
木造戸建住宅 |
共同住宅等 |
||
住宅総数 |
53,662戸 |
19,981戸 |
33,681戸 |
耐震性を満たす住宅 |
39,779戸 74% |
12,374戸 62% |
27,405戸 81% |
耐震性が不十分な住宅 |
13,883戸 26% |
7,607戸 38% |
6,276戸 19% |
住宅総数:居住住宅数
木造戸建住宅:木造戸建住宅、防火木造戸建住宅
共同住宅等:共同住宅、長屋、非木造戸建住宅
(c)経年変化(昭和63年→平成15年)
一方、昭和63年から平成15年までの経年変化を見ますと、木造戸建住宅は11,981戸から9,151戸で約23.6%減、共同住宅等については、7,483戸から6,502戸と約13%減となっており、いずれも減少傾向がみられます。しかし、木造戸建住宅は、共同住宅等に比べ、減少傾向はやや鈍い状況にあると言えます。
(昭和63年、平成5年、10年、15年 住宅土地統計調査)
(d)耐震改修の実績
耐震改修の実績は、「住宅土地統計調査」の平成11年から15年の5年間(調査は5年ごとに実施)の調査結果が最新のデータとしてあります。本市を対象にして昭和55年以前建築の木造戸建住宅(この調査では昭和55年以前の建築物を旧耐震設計基準のものと見なします)の約435戸に対し、耐震改修の有無やその実施箇所(内訳)についての調査報告があります。
しかし、この調査報告では年代別、建築物構造別の耐震改修実績についてのとりまとめがされていないため、「表4」の本市における住宅の耐震改修の実績は、大阪府全域における年代別構造別の集計結果の割合を反映させて推計値を算出しました。
表4 住宅の耐震改修の実績(平成11から15年)単位:戸
項目 |
総数 |
内訳(複数回答) |
||||
---|---|---|---|---|---|---|
壁の新設 補強 |
筋交いの 設置 |
基礎の 補強 |
金具に よる補強 |
そのほか |
||
持家総数 |
936 |
333 |
201 |
307 |
398 |
163 |
昭和55年以前 |
435 |
166 |
52 |
176 |
176 |
80 |
昭和56年以降 |
501 |
167 |
149 |
222 |
222 |
83 |
うち木造戸数 |
880 |
321 |
189 |
386 |
386 |
144 |
昭和55年以前 |
435 |
166 |
5 |
174 |
174 |
78 |
昭和56年以降 |
445 |
155 |
184 |
212 |
212 |
66 |
(3)住宅リフォームの現状
住宅リフォームについては、「平成15年住宅需要実態調査」のデータ(本市のみの集計データがなく、豊能地域:豊中市、池田市、箕面市、豊能町、能勢町のデータ)から、その傾向を考えることとします。住宅リフォームは大阪府全体では年間約66,000戸程度行われており、豊能地域では年間6,890戸程度です。
住宅リフォームにおいて基礎・構造の補強(いわゆる耐震改修)を行った住宅は、大阪府では年間で2,400戸(住宅リフォーム全体の約4%)、豊能地域では620戸(住宅リフォーム全体の約9%)になります。
また大阪府全体では住宅リフォームにおいて耐震改修を行った住宅のうち、戸建て・長屋建ての住宅が約87.5%を占めることが、建築年代別、住宅種類別の集計から算出されます。この割合は地域別には集計されていないため、豊能地域に当てはめると、542戸(住宅リフォームにおいて耐震改修を行った住宅620戸の87.5%にあたる)が耐震改修を実施したとみなせます。
住宅リフォームにあわせた耐震改修は、近年増加傾向にあります。リフォームにあわせた耐震改修を誘導することで、住宅の効率的な耐震化を促進し、良好な住宅ストックを蓄積していくことに繋がると言えます。
2.特定建築物の耐震化の現状
(1)特定建築物
耐震改修促進法(以下、「法」という。)における「特定建築物」には、下記(a)から(c)が該当します。これらの所有者は、当該特定建築物について耐震診断を行い、必要に応じ耐震改修に努めなければならないとされています。(法第6条)
(a)多数の者が利用する建築物 (法第6条第1項第1号) |
学校、体育館、病院、集会場、展示場、事務所、老人ホームそのほか多数の者が利用し、政令で定める一定規模以上の建築物が対象です。 |
---|---|
(b)危険物の貯蔵庫又は処理場 (法第6条第1項第2号) |
火薬類や消防法に規定する危険物、可燃性ガスなどの危険物を政令で定める一定の数量以上貯蔵又は処理する建築物が対象です。 |
(c)地震発生時に通行を確保すべき 道路に面する建築物 (法第6条第1項第3号、図6) |
地震によって倒壊した場合においてその敷地に接する道路の通行を妨げ、多数の者の円滑な避難を困難とする恐れがあるとして政令で定める建築物であって、その敷地が都道府県耐震改修促進計画に記載された道路(『大阪府10カ年戦略プラン』では『大阪府地域防災計画』に「広域緊急交通路」として位置付けされたもの)に接するものが対象です。 上記に加えて本計画では『箕面市地域防災計画』に位置づけられた「地域緊急交通路」などを含めた「緊急輸送路等」を設定しました。この「緊急輸送路等」に接する建築物も対象としました。 (1章2節「(5)緊急輸送路等沿道特定建築物の把握」参照) |
図6 地震発生時に通行を確保すべき道路に面する建築物
(2)特定建築物(民間)の現状
平成19年現在、本市における耐震改修促進法に基づく特定建築物(民間)に該当する建築物は557棟です。内訳としては、昭和57年以降の建築物が、280棟(50%)、昭和56年以前の建築物が277棟(50%)となっており、うち耐震改修促進法7条に基づく指示対象の建築物は、21棟(4%)です。
(3)特定建築物(民間)の耐震化の現状
先の「表5」に挙げられた特定建築物(民間)を、災害時に重要なもの(ア)、不特定多数の者の利用頻度(イからエ)といった建築物の機能別にまとめました。大阪府のアンケート調査では、昭和56年以前の建築物においても、その建築物の用途別に、建築物の耐震化を進めているという調査結果(実績)が出ています。この結果を利用し、民間の特定建築物の耐震化の現状を推計した結果が「表6」となります。
この結果をみますと、応急対策上、地域の拠点となる建築物や不特定多数の者が利用する建築物については、9割弱の耐震化が進んでおり、本市においては、事務所などの一般建築物や、共同住宅等についての耐震化を進める必要があることがわかります。
震化率の算出方法
(4) 緊急輸送路等沿道特定建築物の把握
緊急輸送路等沿道特定建築物とは、耐震改修促進法第6条第3項に該当する特定建築物を指します。その調査は、まず既存資料より緊急輸送路等の道路幅員等とともに昭和56年以前の建築物を想定した上で、現地調査を行い道路閉塞の可能性がある特定建築物を抽出しました。調査の結果、対象となる昭和56年以前の建築物総数は147棟です。
緊急輸送路等の指定
地震災害時の救援物資等の輸送を円滑にするため、通行を確保すべき道路を緊急輸送路等に位置付け、その沿道の建築物の耐震化を促進して建築物倒壊による道路閉塞の危険性を軽減します。そこで、以下の道路を「緊急輸送路等」に指定します。
図7 耐震改修促進法第6条第3号 対象建築物調査「調査路線図」
(5)緊急輸送路等沿道特定建築物の耐震化の現状
緊急輸送路等沿道特定建築物も特定建築物(民間)と同じく、災害時に重要なもの(ア)、不特定多数の者の利用頻度(イ からエ)が高く重要な建築物を機能別にまとめました。大阪府のアンケート調査結果(旧耐震設計基準の建築物のうち耐震診断結果により耐震性を満たすと判断された割合)を利用し、民間の特定建築物の耐震化の現状を推計した結果が「表8」となります。
この結果より、沿道木造戸建て住宅をはじめとして、これら緊急輸送路等沿道特定建築物の耐震化を促進する必要があります。
3.市有建築物の耐震化の現状
市有建築物のなかには、災害対策の拠点となる建築物や、避難所となる建築物など、災害時に重要な機能を果たす建築物が多く含まれています。
本市では、阪神・淡路大震災以降、全ての耐震化されていない市有建築物のうち、消防署や市庁舎など災害対策の拠点となる建築物や、小中学校などの避難所となっている建築物を優先的に耐震化を進めてきました
∴現況での耐震化率(141(b)+20(c))棟÷276棟(a)=約58%
表9 市有建築物の耐震化の現状及び耐震改修計画
1.住宅の耐震化の目標設定(住宅:府有、市有、民間全て含む)
(1)住宅の耐震化の目標
住宅について、現状の耐震化率約74%を平成27年度に90%に引き上げることを目標とします。
(2)目標達成のために必要な住宅数の推計
平成27(2015)年度において「90%耐震化」の目標を達成するためには、今後さらに全体で6,307戸について耐震化を促進する必要があります。
建て方別にみると、木造戸建住宅は3,927戸について耐震化をはかる必要があります。共同住宅等は、府営・公社・都市再生機構の賃貸住宅等1,382戸および市営住宅292戸を除く706戸について耐震化を促進する必要があります。
2.特定建築物(民間)の耐震化の目標設定
特定建築物(民間)について、現状の耐震化率約74%を平成27年度に90%に引き上げることを目標とします。
3.市有建築物の耐震化の目標設定
市有建築物について、現状の耐震化率約58%を平成27年度に90%に引き上げることを目標とします。
市有建築物の耐震化の進め方
本市では、阪神・淡路大震災以降、計画的に耐震診断・改修を進め、消防署や市庁舎など災害対策の拠点となる建築物については、これまでに耐震化を完了しました。
平成17年6月に策定した『箕面市市有建築物保全計画』では平成26年度までの10年間で学校など避難所となっている建築物の耐震化を進めることとしましたが、その後、計画の見直しを行い、現在は平成27年度までに避難所となっている建築物を最優先に、全公共施設の耐震化率が9割以上となるように、耐震化対策を行うこととしています。
建築物の耐震化を促進するためには、建築物の所有者が、自らの生命・財産を守るという意識を持つことが重要です。また、建築物の所有者は、建築物の倒壊等により周辺の安全に支障を来すことがないように、建築物の耐震性を把握し、必要に応じて耐震化を進めることが求められています。そこで本市では、その取り組みを支援するという観点から、耐震化の阻害要件を解消又は軽減する施策を講じます。
特に本市の住宅のうち木造戸建住宅は耐震性が不十分なものが多いため、その耐震化を推進する必要があります。よって、本市においても「大阪府10カ年戦略プラン」と同じく、木造戸建住宅の耐震診断及び耐震改修を重点的に促進していくこととします。
また、非木造の住宅等については、その所有者が建築物の耐震化を行いやすいように、適切な情報提供をはじめとして、技術者の育成等の環境整備や耐震診断・改修に係る負担の軽減のための支援策を実施していきます。
1.耐震化を推進するにあたっての課題
耐震化を推進するにあたって「防災都市づくり市民意識調査」(「箕面市防災都市づくり計画」、平成16年)が参考になります。これは市民の災害に対する備えや取組み状況、意見、要望等について調査したもので、平成15年4月に市内全世帯への直接配布(52,500票)されたもののうち、3,200通の有効回答を得たものです。
調査結果から今後の課題として、以下のものが挙げられています。
地震災害に対する関心が高い
→
防災意識の醸成をはかる必要がある
地震に対して不安は感じているが日頃の準備をしていない
→
地震災害に対する対策準備の誘導が必要である
耐震補強に対する取り組みが不十分である
→
耐震補強に向けた対策準備の誘導が必要である
家庭でできる対策ははじめたいと感じているが、地域のまちづくり活動に参加する意識は低い
→
地域の連帯意識、協働意識の醸成が必要である
また、「大阪府10カ年戦略プラン」によると、居住者に関する耐震化の阻害要因として、以下のものが挙げられています。
危険の認識不足
耐震化の情報不足
費用や労力の負担の大きさ
2.施策の基本的な考え方
施策の基本的な考え方
(a)経済的な負担を軽減する仕組みづくり
建築物所有者の費用及び労力の負担軽減につながる仕組みづくりや、支援策の検討を行います。
(b)安心できる仕組みづくり
情報の共有や業者の技術力と信頼性を向上させる仕組みづくりなど、安心して耐震化できる基盤をつくります。
(c)地域特性に着目した施策の展開
良質なストックを蓄積するという観点から、市街地分類による戸建て住宅等の傾向に応じた施策の検討を図ります。
(d)危険を知る仕組みづくり
「危険を知ること」を基本に、無認知と無関心を克服して、市民の自発的な取組を促し、将来的に安全な住まいづくりを促進する基盤をつくります。
↓
耐震化が進み、生命と財産が守られる住まいとまち
箕面市は市民とともに協働して、耐震化を促進します。
1.現在の支援制度の概要
(1)耐震診断費補助
震災に強いまちづくりを目指し、一定の条件を満たす民間建築物の耐震診断費の一部を補助しています。(箕面市既存民間建築物耐震診断費補助金交付要綱)
対象建築物
【所在・所有】
本市内に存する民間建築物
【建築時期】
原則として、昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた建築物
【用途・構造】
【補助対象者】
対象建築物の所有者(マンション等の区分所有建築物の場合は、管理組合等)
【補助内容】
用途 |
補助金額 |
限度額 |
---|---|---|
木造住宅 |
|
55,000円 |
木造以外の一戸建ての住宅 |
|
67,000円 |
木造以外の住宅 (一戸建ての住宅以外) |
|
1棟あたり1,000,000円 |
特定既存耐震不適格建築物 |
|
1棟あたり1,333,000円 |
通行障害既存耐震不適格建築物 |
|
左記の補助金額 |
(2)低利融資・税制
耐震改修に際しての直接的な補助制度のほか、以下のような優遇制度があります。
耐震改修に関する低利融資制度の概要
問い合わせ先 |
対象建築物 |
対象者 |
---|---|---|
住宅金融支援機構 (旧住宅金融公庫) 大阪支店 電話:06-6281-9270 |
「リフォーム融資」 工事完了後の住宅部分の床面積が50平方メートル (共同建ては40平方メートル) 以上の住宅 |
下記の事項に適合し、耐震改修工事を伴う住宅改良工事を行う者
|
「賃貸住宅リフォームローン」 建築物の耐震改修の促進に関する法律による認定を受けた耐火構造又は準耐火構造の賃貸住宅 |
耐火構造又は準耐火構造の賃貸住宅を所有する者で、下記の事項に適合し、耐震改修工事後も引き続き賃貸経営を行う者
|
|
日本政策投資銀行 関西支店 電話:06-6345-6531 |
「建築物耐震改修事業」建築物の耐震改修の促進に関する法律に定める特定建築物 |
株式会社などの組織形態で建築物の「耐震改修の促進に関する法律」で定める特定建築物において行われる耐震改修工事を行う者 |
耐震改修に対する税制度の概要
対象建築物 |
税制度の概要 |
---|---|
戸建て住宅 マンション |
|
建築物 |
|
地震保険における耐震診断割引
対象建築物が昭和56年6月1日に施行された改正建築基準法における耐震基準を満たすことを証明すれば、平成19年10月1日以降に加入する地震保険料率が割引されます。(各保険会社にお問い合わせください)
2.新たな支援制度の検討
耐震性が不十分な住宅の割合が高い木造住宅を中心に耐震化を推進します。
(1)耐震改修補助
耐震改修時の個人負担の軽減をはかるために、地域住宅計画に基づく地域住宅交付金を活用した耐震支援制度を積極的に活用し、平成20(2008)年度より木造住宅の耐震改修費の補助制度の創設を検討しています。なお、木造住宅以外の建築物の耐震改修補助制度については、大阪府との役割分担を基本として今後も検討していきます。
参考大阪府の耐震改修補助制度
用途 |
補助金額 |
補助限度額 |
---|---|---|
木造住宅 |
耐震改修に要した費用の15.2%以内 |
600,000円 |
1.相談しやすい窓口の整備
耐震診断・耐震改修の相談業務は、大阪建築物震災対策推進協議会の活動の一環として、 財団法人大阪建築防災センターで実施しています。(電話相談(無料):随時対応、来所相談(無料):毎月第2・第4月曜日)
しかし、大阪建築防災センターは遠方の相談者にとっては不便なため、地域施設等を活用して、定期的に耐震診断・耐震改修相談会を実施することを検討しています。また電子メールによる耐震診断・耐震改修の相談体制整備を検討しています。
大阪建築物震災対策推進協議会は、府の建築物等の震災対策を支援するため、本市を含む公共・民間の団体が連携して、既存建築物等の耐震性の向上及び、被災建築物等の応急危険度判定の体制整備を図り、大阪府民の生命と財産を守り、災害に強い住まいとまちづくりに資することを目的として平成10年に設立されました。
耐震診断・耐震改修相談窓口、技術者向け耐震診断・耐震改修講習会の開催や所有者向け耐震診断・耐震改修説明会の開催、被災建築物応急危険度判定士講習会による判定士の養成、ビデオ・パンフレットの作成及び配布などを主な事業内容としています。こうした事業は、関係団体の協力を得ながら、あるいは連携を図りながら実施しており、本市は今後もこうした事業に取り組んでいきます。
2.安心して耐震改修できる仕組みづくり
(1)住宅リフォームマイスター制度の活用
住宅リフォームと耐震改修を同時に行うことが効果的である一方で、近年は悪質リフォーム等の問題が発生しています。そこで、大阪府の「住宅リフォームマイスター制度」との連携により、本市の相談窓口において、リフォーム業者の情報を入手できるような仕組みづくりを進めます。
「住宅リフォームマイスター制度」とは、大阪府民が安心して住宅リフォームを行うことができるよう、信頼性の高い事業者の情報を提供する制度です。大阪府が指定した非営利団体(マイスター登録団体)が、一定の基準を満たす事業者(マイスター事業者)を案内・紹介するものです。マイスター登録団体の一覧及び連絡先は、大阪府のホームページや大阪府・本市に設置している名簿で確認することができます。リフォームの内容等技術的な助言のほか、不必要なリフォームを契約してしまった際の「クーリング・オフ制度」や「成年後見制度」など相談体制も充実しています。
(2)「大阪府分譲マンション管理・建替サポートシステム」の活用
分譲マンションにおいて修繕・改修を行う場合の制度として、「大阪府分譲マンション管理・建替サポートシステム」における相談アドバイザーや実務アドバイザー派遣があります。この様な制度の活用を紹介することで、耐震診断・耐震改修を促進します。
「大阪府分譲マンション管理・建替サポートシステム」は大阪府分譲マンション管理・建替えサポートシステム推進協議会(大阪府が中心となって、府下の市町村や関係団体で構成されています)が運営しているシステムで、これにより、分譲マンションの管理組合の方を対象に、修繕・改修・建替えに関して、ケースに合わせてさまざまな角度からサポートすることができます。
3.信頼でき経済的な耐震改修工法・手法の普及
住宅の構法に応じた計算法による耐震改修、また、部分的又は簡易な耐震改修等の事例や、工事内容・工事費用・工事期間・改修効果など、これから耐震改修を検討しようとする建築物所有者にとって有効な情報を提供するよう努めます。
一方、工事費用を軽減できる手法として、リフォームにあわせた耐震改修や、建築物全体の耐震改修が困難な場合は部分的又は簡易な耐震改修についても情報提供することで耐震改修の促進を図ります。
(1)住宅の構法に応じた計算法による耐震改修
耐震診断・耐震改修にあたっては、一般的に以下のような手順が想定されます。「誰でもできるわが家の耐震診断」の普及に努め、耐震改修に関する啓発を行うとともに、「一般診断」により耐震補強等の必要性を判定します。特に、木造建築物については、伝統的構法や在来構法など構造特性の違いにより耐震性能も異なります。このため、補強の必要性が高いものについては、その住宅の構法に応じた計算法により、「精密診断」を行い、補強設計を実施することになります。
この様な、住宅の構法に応じた計算法による補強設計を行うことにより、経済的な耐震改修を推進していくことができます。
耐震診断・耐震改修のフロー(「大阪府10カ年戦略プラン」より)
(2)信頼できる耐震改修工法の事例
壁の補強や、基礎の補強、屋根の軽量化といった従来の方法による補強方法だけでなく、近年、耐震改修におけるさまざまな技術開発が行われています。大阪府では代表的な補強方法について大阪府民が耐震改修する際の有効な情報提供を行うことを検討しており、本市でもその情報を提供できるよう努めます。
(3)経済的な耐震改修等の方策
耐震改修を実施する際、建築物所有者等と設計者及び施工業者が相談し、建築物所有者等が改修内容などを十分理解したうえで、以下の様な個々の事情に応じた改修を行うことが重要になります。本市は、大阪府との連携を図り、市民と協働して以下の情報提供に努めます。
また、生命と財産を守るための耐震改修が基本ですが、建築物所有者等の事情により、建築物全体の耐震改修が困難な場合は、経済性と安全性についての説明責任とそれに対する理解のもとに、以下の方策を促進することとします。
建築物所有者などの個別事情に応じた耐震改修の考え方(「大阪府10カ年戦略プラン」より)
本市では、都市計画法や独自の条例に基づき、建設行為の規制・誘導、用途指定等の諸制度の運用と都市基盤施設の整備を図り、住宅地を中心とした市街地形成を行ってきました。その結果、北摂山系の豊かな緑を背景に、良好な居住環境を備えた市街地となっています。
既成市街地における課題としては、古くからの住宅地域にある幅が狭く見通しの悪い道路の安全性や防災機能を確保するための道路整備が挙げられます。そうした課題に対しては、良好な住宅地を形成するために、狭あい道路拡幅等に関する要綱による道路整備が行われており、その道路整備部分は、道路管理者による維持・保全などが進められています。
一方、新市街地においては、中部地域の萱野中央地区で、市施行の特定土地区画整理事業があり、また、現在事業を行っている大規模な新市街地形成としては、北部(止々呂美)の水と緑の健康都市、東部地域の山間・山麓部の彩都・国際文化公園都市の建設事業が進められています。
これらのことを踏まえて、本市の耐震対策に対する地域ごとの施策を考える必要があります。
本市域は、大きくは「西部地域」「中部地域」「東部地域」「北部地域」の4つに分けることができます。そこで、市域全体の考え方と地域ごとに分けて「耐震化の促進」を考えていくこととします。
1.箕面市全体の耐震化の促進について
(1)耐震化の促進について
(2)緊急輸送路等について
(3)耐震診断義務化対象路線について
(a)耐震診断義務化対象路線の指定
耐震診断義務化対象路線の選定にあたっては、大阪府地域防災計画(令和4年12月修正)において定める広域緊急交通路(国道423号)と箕面市地域防災計画(令和5年度改定)に定める主要な地域防災拠点を結ぶ地域緊急交通路を指定することを基本的な考え方としています。
市が指定する耐震診断義務化対象路線(地域防災拠点から広域緊急交通路を結ぶ路線)
路線名称 |
区間 |
|
---|---|---|
1 |
国道171号 |
牧落交差点~ 市道芝如意谷線交差点 今宮交差点~箕面墓地公園前 |
2 |
府道豊中亀岡線 |
箕面市役所前交差点~ 箕面高校前 |
3 |
市道箕面今宮線~ 府道箕面池田線 |
箕面駅前ロータリー~ 白島3丁目交差点 |
4 |
市道千里2号線 |
今宮交差点~ サントリー箕面 トレーニングセンター前 |
5 |
市道中央線 |
市役所本庁舎駐車場前~ 箕面市役所前交差点 |
6 |
市道萱野東西線 |
市道芝如意谷線交差点~ 国道423号交差点経由~ 市道千里2号線交差点 |
7 |
市道芝如意谷線 |
市道萱野東西線交差点~ 国道171号交差点 |
8 |
市道船場西中央線~ 市道船場西10号線 |
萱野3丁目交差点~ 箕面市立病院前交差点経由~ 市立病院前 |
図8 耐震改修促進法第6条第3項第2号 耐震診断義務化対象路線の指定
(b)対象建築物
耐震診断義務化対象路線の沿道にある昭和56年5月31日以前に着工した建築物で、耐震改修促進法施行令第4条第1号(建物)及び第2号(ブロック塀等)で定める倒壊時に道路の通行を妨げ、多数の者の円滑な避難を困難にする可能性があるものが対象になります。
図9 対象となる建築物(耐震改修促進法施行令第4条第1号)
(c)耐震診断結果の報告期限
耐震診断結果の報告期限は、耐震改修促進法施行令第4条第1号(建物)及び第2号(ブロック塀等)で定めるものは、令和7年(2025年)12月31日とします。対象建築物の所有者は、対象建築物について耐震診断を行い、その結果を報告期限までに箕面市に報告する義務があります。
2.各地域の耐震化の促進について
(1)西部地域について
この地域は、明治43(1910)年に箕面有馬電気軌道(現在の阪急電鉄箕面線)が開通して以来、大阪近郊の住宅地として早くから住宅開発が進み、人口が増加してきた地域であるため、現在の耐震基準に適合しない建築物が多数存在しており、それらの建築物は耐震診断の必要があります。また、耐震診断の結果、耐震改修の必要性があるときは、それらの建築物のリフォーム改修やバリアフリー改修と合わせた耐震診断・改修を推進していきます。
(2)中部地域について
この地域は、西国街道を中心として市街地が形成された地域で、近年は新御堂筋を中心に都市化が進んでおります。これらの地域(船場地区など)は、現在の耐震基準に適合しない建築物の存在が確認できるため、耐震診断が必要となります。
また、昭和50(1975)年代半ば以降に土地区画整理事業等により市街地が形成された地域は、新耐震設計基準を満たしていることから耐震改修の必要はありませんが、家具の固定等を啓発することで、居住空間の安全性を推進します。
(3)東部地域について
この地域は、近年に土地区画整理事業等で宅地化が進んだ地域で、新耐震設計基準の建築物が多数を占めますが、粟生間谷西・東地区の民間の開発地で、現在の耐震基準に適合しない建築物が存在しますので、この地域の住宅は、耐震診断の必要があります。
また、小野原西・東などの区画整理事業による住宅地は、新耐震設計基準の建築物であることから、耐震改修の必要性はありませんが、居住空間の安全性の推進を行なう必要があります。西国街道沿いの旧集落地は、現在の耐震基準に適合しない建築物が存在するため、バリアフリー改修やリフォーム改修と合わせた耐震化促進を図ります。
(4)北部地域について
この地域は、水と緑の健康都市特定土地区画整理事業(大阪府)により宅地化が促進されている地域と、既成市街地があります。
特定土地区画整理内の住宅地は、これから新築される住宅なので居住空間の安全性への誘導を行います。また、既成市街地に対しては、耐震診断を推進し、リフォーム改修などと合わせた耐震化を促進するとともに建て替えの誘導を図ります。
ハザードマップは、地域住民に地震の危険度の認識を深めてもらい、耐震化促進の意識啓発をはかるとともに、災害における被害を最小限にくい止めることを目的に作成するもので、予想される被害の区域や程度等を地図上に明示するため、大阪府が作成した地震予測データ(500mメッシュ)等を基に、市域を100mメッシュに分割した震度予測図等を作成し、本市のホームページなどにおいて公表し、周知に努めます。
災害時に緊急輸送路等を閉塞させる可能性がある特定建築物を把握し、耐震診断・耐震改修を促進するよう、その所有者へ必要な指導及び助言を行います。
市民の幅広い相談に対応できる体制と仕組みづくりを進めます。無料相談会やイベントを紹介し、耐震診断・耐震改修等に関する普及啓発活動に努めます。
(a)市民向け
大阪府建築物震災対策推進協議会等が開催する耐震診断・耐震改修のセミナー等を案内し、パンフレット等を活用して耐震化に対する意識啓発に努めます。また防災意識の啓発のための出前説明会を継続して行っていきます。
(b)事業者向け
大阪府建築物震災対策推進協議会等が開催する講習会等の案内を提供し、事業者の技術の向上に努めることで、市民が安心して耐震改修が行える環境を整えます。
(1)リフォームにあわせた耐震改修のメリット
増改築やリフォームの実施にあたっては、耐震改修をあわせて行うことが、費用及び手間を軽減できるという面で有効です。
(2)リフォーム団体等との連携による啓発及び誘導方策
リフォームにあわせた耐震改修が市場において適切に普及するよう、大阪建築物震災対策推進協議会の活動等を通じて、リフォーム事業者等の団体と連携を図りながら、啓発・誘導に努めます。
小中学校と連携して地震についての学習の場を設けます。こうした家族で地震について話し合う機会を設けることで、防災意識の普及に努めます。
地域における地震時の危険箇所の点検等を通じて、地震防災対策の普及啓発を行うことが効果的であることを踏まえ、自治会や自主防災組織、まちづくりに関するNPO等の団体、専門家等と連携した「地震・防災マップづくり」や「まちぐるみ耐震診断」等の取組を促進するための情報提供を行います。
また、自主防災組織等による防災訓練を実施する際に専門家を派遣し、意識啓発活動を行うとともに、家具等の転倒防止対策や、地域の危険箇所の点検、ブロック塀の改善等、地域ぐるみで意識啓発の取組みを推進します。
1.耐震改修促進法による指導など
(1)指導と公表の実施
耐震診断・耐震改修の指導等の対象建築物は以下の通りです。
区分 |
指導・助言 (法第7条第1項) |
指示 (法第7条第2項) |
公表 (法第7条第3項) |
---|---|---|---|
対象 建築物 |
法第6条に定める建築物で、昭和56年5月31日以前に建築された建築物及び同日において工事中であった建築物 |
法第7条第2項に定める建築物で、昭和56年5月31日以前に建築された建築物及び同日において工事中であった建築物 |
指示を受けた所有者が正当な理由無く、その指示に従わなかった特定建築物 |
2.建築基準法による勧告または命令など
(1)勧告・命令等の実施
指示を行って、相当の猶予期間を超えてもその指示に従わなかった場合、所管行政庁は、構造体力上必要な部分の地震に対する安全性について、そのまま放置すれば著しく保安上危険となるおそれがあると認められる建築物に対しては、建築物所有者等に対して、建築基準法第10条に基づき、勧告又は命令を行います。
建築物の基盤となる宅地盤については、土砂災害を未然に防止するため、土石流対策・急傾斜地対策・山地災害対策・宅地防災対策・液状化対策の地盤対策予防策を実施することとしており、今後も関係機関との連携を図りながら土砂災害の未然防止に努めています。
地震による家具の転倒などによる人的被害や、転倒した家具が障害となり、延焼火災等からの避難が遅れるなど、家具の転倒による居住者被害が発生するおそれがあります。室内での居住者被害を防ぎ、屋外への安全な避難を確保するためにも、「地震に備えて」「地震がおこったら」など注意喚起のためのお知らせを本市広報紙への掲載・ホームページで公開しています。
(1)家具転倒防止
家具の転倒による居住者被害等を防ぐためにも、家具固定の重要性について、出前説明会、パンフレット等により普及啓発を行ないます。
(2)防災ベッドや耐震テーブルの活用
個別事情により、住宅の耐震改修が困難な場合、地震により住宅が倒壊しても、安全な空間を確保でき命を守ることができるよう、防災ベッドや耐震テーブルの活用を啓発します。
よくあるご質問
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください