令和元年度第2回箕面市総合教育会議議事概要
日時:令和2年(2020年)3月23日(月曜日)午後3時30分から午後5時
場所:箕面市役所本館2階特別会議室
出席者:
【箕面市】倉田市長
【教育委員会】藤迫教育長、山元教育代表委員、高野委員、丹澤委員、中委員、大橋委員
【事務局】高橋教育次長
(子ども未来創造局)木村担当部長、今中担当副部長、岡副部長、石橋学校教育監、藪本室長、多々室長、高取室長、金城室長、尾崎センター長、今峰室長、松澤室長、中出課長、長島参事、岩永参事
(市政統括)北島参事
1.報告
1.新型コロナウイルスによる近隣市町村および箕面市の対応状況について
2.議事内容
1.進捗報告と「箕面市教育大綱2020(案)」について
貧困の連鎖の根絶
(藤迫教育長)
- 今回、新たな取り組みとして複数のトライアルを行っている。中にはデータ不足で結論まで行き着いていないものや、予想外の結果になっているものなどもあるが、引き続き検証を継続することで、今後どのような結果が出てくるかを見ていきたいと考えている。
(中委員)
- 昨今、ニュース等で、小中学生の中には、親の代わりに家事全般を行っている子どもがいたり、祖父母の介護を行っている子どもがいるという話を聞く。そういった子どもの中には、通学をしながら家事や介護をすることに苦労していても、自らの環境を客観的に見たり、助けを求めたりできない場合がある。このような子どもたちを助けてあげる必要があると思うが、箕面市ではこのようなケースを把握しているのか。
(事務局)
- 貧困世帯の子どもについては、子ども成長見守りシステムによって「充実感と向上心」や「家族の支え」といった項目の結果が極端に低いか、あるいは下がったときにキャッチすることができるので、その場合は把握できる。
- あわせて、子ども成長見守りシステムから抽出された個別データをもとに、各学校と情報を共有し、対象の子どもの出席状況、授業中の様子などをヒアリングすることで、家庭の課題をキャッチできることもある。
(事務局)
- ただし、現在の子ども成長見守りシステムには、ステップアップ調査における学力や生活状況のデータや、家庭の経済状況に関するデータが入っているだけなので、ここからピンポイントで子どもが家族の介護に悩んでいるケースを把握できるとは限らない。
- システムに何らかの情報を追加することで、そのようなケースを把握できるのであれば今後検討していきたいと思うが、データをもとに学校と連携しながら把握してきたのが実態であるので、システムだけで抽出をしていくというのはなかなか難しい。
(藤迫教育長)
- 要保護児童対策地域協議会の中で、家事全般を子どもが行っていたり、食事代をもらって子どもだけで食事の準備をしているケースも把握もしているので、そういった家庭に対しては様々なアプローチを行っている。
(丹澤委員)
- 介護だけでなく、兄弟の面倒をみなければいけないといったこともあると聞く。そういった場合は、学校に遅刻しがちであったり、宿題ができていないなど、学校においても子どもの様子から家庭の課題に気づくこともあるだろう。学校側がしっかりとそういったことを察知する必要がある。データだけでなく、子どもの表情や様子から読み取ることができる教員の力が大切だと思う。
(倉田市長)
- 外形的に何らかの課題が出現すれば子ども成長見守りシステムによって把握することができる。心身ともに問題はないというデータが出ている子どもの場合、見抜くことは難しい面があると思う。
- ちなみに、家族の介護に悩んでいるなどというケースは、具体的にどれくらいあるのか。この場で議論をするのは、実態を正確に把握してからになると思う。
(山元代表教育委員)
- 不登校への対応についてだが、今回のコロナウイルスの影響による臨時休校措置によって、出席日数のカウント等の統計的なデータに齟齬が出ないだろうか。
(事務局)
- 今回の休校措置によって、本来の授業時数が例年より減少することになる。そうすると、これまでであれば欠席日数にカウントされるはずの日がカウントされなくなるため、不登校の基準から外れるケースは統計上はあると思う。
- しかし、学校としては実態的に不登校傾向にある子どものことは、常に気にかけているので、仮に統計的な定義で不登校にあたらなくても、しっかり支援していくことになる。
(山元代表教育委員)
- 今後も不登校傾向の子どもの見落としがないように、くれぐれも注意してほしい。
- ちなみに、不登校の子どもの健康状態はどのように把握しているのか。
(事務局)
- 健康診断未受診者に対しては、健康診断を受けるように通知を行い、その結果を学校で集約している。全く家から出られないなど、受診すること自体が難しい場合もあるが、そうでない場合は、他校の健康診断に参加してもらうというような対応をとり、極力受診できるよう配慮している。
(大橋委員)
- 不登校の子どもが抱えている困難さが、それぞれに異なるのが難しいところではあるが、不登校傾向の子どもの健康状態の把握については、これまでなかなか注目されてこなかった部分であると思う。
- 学習保障・学習支援事業における事業未利用者について、どういった理由で未利用となっているのかを把握できるようにしてほしい。把握できれば、今後どのような対策を取れば良いかも明確になってくるのではないかと思う。
(倉田市長)
- 学力保障・学習支援事業の未利用者が約1500人程度との記載があるが、これはどのようにカウントしているのか。
(事務局)
- ここでいう「事業未利用者」は、子ども成長見守りシステムにおいて何らかの支援が必要と判定された子どものうち、2年連続でステップアップ調査を受けることができ、データを取ることができた児童の全数である。
(倉田市長)
- つまり、ここでいう「事業未利用者」には、学力保障・学習支援事業による支援を必要としていない子どもも相当数含まれるということだろう。 この中には、タブレットなどの放課後学習に参加してる子どももいれば、スポーツ教室や塾等の習い事にかかる費用助成を受けている子どももいるということであって、この約1500人全員を学力保障・学習支援事業の「未利用者」とするのは、誤解をうむ表現である。
(事務局)
- ご指摘のとおりである。実際に放課後学習支援、塾代等助成、学力保障・学習支援事業の対象者の重なりは少ないと思うので、今後は記載方法やデータ分析の仕方を工夫したい。
(丹澤委員)
- 様々なトライアル事業をしているが、学校は子どもたちにどのように声かけを行っているのか。
(事務局)
- 学校毎に全く同じというわけではないが、適宜声かけをしてもらっている。
(丹澤委員)
- 参加することで学力の向上が期待できる結果が出ているので、より利用者が増え、参加率が高まるように、今後も丁寧に声かけをするようにしてもらいたい。子どもは先生から励ましてもらえれば、頑張ろうという気持ちになると思う。
(事務局)
- 学校への周知や声かけの徹底など、しっかりと説明していきたいと思う。
すべての児童生徒の学力向上
(高野委員)
- 教育専門監について、具体的な検証方法や内容を教えてほしい。
(事務局)
- 教育専門監の役割は、中堅教員の指導をすることで、指導を受けた教員の指導力向上と、中堅教員が受け持つ児童生徒の学力を向上させることである。現在は教育専門監となる人材育成のための研修等を行っており、研修終了後、令和3年度より教育専門監として各校での指導を始められるよう進めている。
- 教育専門監候補生の2名を、先進的に教育専門監の配置を進めている秋田県由利本荘市に派遣する予定である。また、現段階では教育専門監ではなく、教育専門監候補生という、自らも研修を受け学ぶ立場であるので、まずは若手居員に対して授業づくりの助言を行ったり、授業をサポートするといったことも研修の一つとして行っていくほか、各校での校内研究等において助言をする機会を設けることも予定している。研修など様々な機会をとおして、教育専門監として必要な能力を習得してもらうことを考えている。
- 最終的には、研修で身につけた内容を実際に他教員への指導にいかすことができているか判断し、基準を満たすことができていれば令和3度より教育専門監になる。
(高野委員)
- 今後も事業の進捗を聞けることを楽しみにしている。
- 教育専門監になれば、今後色々な学校をまわっていくことになるのか。
(事務局)
(山元代表教育委員)
- 今の箕面市において、誰もが認めるような授業力の高い教員はいるのか。
(事務局)
- 教育専門監になった暁には、その人こそが、誰もが認める授業力の高い教員であると同時に、他の教員に対して適切に指導できる教員ということになる。
(藤迫教育長)
- 秋田県由利本荘市の教育専門監の授業を見たことがあるが、教育専門監自身の授業も非常に上手いし、教員に対する指導も的確だと感じた。特に授業においては、45分間のどの場面でどのような発問をし、どのように指導するかというビジョンが明確にあり、時間の使い方が非常に上手だったし、余裕や自信が表れていた。
(高野委員)
(山元代表教育委員)
(高野委員)
- 習熟度別指導の検証について、毎年細かな分析をしてもらっていると感じるが、年度によって結果が異なることが気になる。来年度も効果検証をすると思うが、その中では、算数や数学の、どの単元において習熟度別授業での効果が高く出るのかなど、検証を深めてもらいたい。
- また、客観的データも必要であるが、あわせて、実際に授業を受ける子どもたちの声も集めてほしい。
(事務局)
- 年間を通して習熟度別授業を行ったのか、どこかの単元を重点的に習熟度で行ったのかなどを調べ、それによる効果を比較していきたい。
- 子どもの声については「授業を受ける人数が少なくなったことで先生に質問しやすくなった」という意見や「同じ学力層の子どもたち同士で授業を受けるので、気軽に意見が言いやすい」という意見はある。
(倉田市長)
- 分析3に関して、コストパフォーマンスを考えると結果が出れば他校での展開もしやすい内容だと思っている。しかし、昨年度も今年度もモデル校が1のみであり、サンプル数が少なすぎるため判断できない。次年度においてはモデル校を増やし、サンプル数を増やす必要があると思う。
- ちなみに、現場の感覚では、学力中位層と学力低位層を一緒に指導するよりも、学力低位層のみで指導する方が効果が高いという思いが根強いのか。
(藤迫教育長)
- おそらく、本当に理解できていない子どもを少人数集めて、丁寧に指導したいという思いがあるのではないかと思う。
(倉田市長)
- そのような思いは理解できる。しかし、学力中位層と学力低位層が一緒に授業を受ける方が子どもたちの学力が上がるという傾向が2年連続で出ていることを考えると、次年度はサンプル数を増やして結果をより明確にすることが必要であると思う。
(事務局)
(藤迫教育長)
- 学力層が近い子ども同士の方が、分からない子の困り感を理解して教えてあげることができるのではないかと思う。
(丹澤委員)
- その場合、授業の中に学び合いの場面が必ずあるということが前提になる。
(事務局)
- 「箕面の授業の基本」に則って授業を行うと、基本的に学び合いの時間を設定することになるが、今後はそれをより効果的なものにしていく必要がある。
(高橋教育次長)
- ありがとうございました。それでは、事務局の案のとおり「箕面市教育大綱2020」を策定してもよろしいでしょうか。
<異議なし>
(高橋教育次長)
- ありがとうございます。来年度につきましては、本日策定しました本大綱、また、本会議での意見をもとに、さらに取り組みを進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
2.その他
3.資料