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更新日:2017年10月10日

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(仮称)市民活動支援センター設立に関する報告書

2001年(平成13年)7月 市民活動支援センター設立準備会

目次

はじめに

1.「(仮称)市民活動支援センター」設立の意味と目標

(1)「(仮称)市民活動支援センター」設立の意味

ア  総合的な市民活動推進機関の必要性

イ  日常活動を支える市民活動拠点の必要性

ウ  仲介機関の必要性

(2)センター設立の目標

ア  市民活動の「総合的な推進センター」をめざす

イ  日常の活動を支え、活動の成長を促す拠点をめざす

ウ  市民活動団体と行政、企業などとの「協働促進」の場をめざす

エ  市民活動の「砦」― 自治的に運営される市民活動拠点をめざす

2.「(仮称)市民活動支援センター」の事業

(1)市民活動に関する情報収集、発信に関する事業

(2)行政機関と市民活動団体の協働促進のための事業

(3)企業などの支援者との協働促進のための事業

(4)市民活動の活性化と団体の自立を促す事業

(5)日常的に活動を支えるための事業

(6)ネットワークによる相乗効果を生み出す事業

(7)コミュニティシンクタンクとしての事業

3.「(仮称)市民活動支援センター」に関する基本的事項

(1)センターの名称

(2)センターの設置場所

(3)センターの開館日、開館時間

4.「(仮称)市民活動支援センター」の運営体制

(1)運営形態

(2)運営の原則

ア  「独立的運営」の原則

イ  「自治的運営」の原則

ウ  「パートナーシップ活用」の原則

エ  「運営への市民参加」の原則

オ  「多様性尊重」の原則

(3)運営主体

ア  連絡会ではなく独立した運営主体が必要な理由

イ  委託の受け皿として必要な「一定の事業推進体制が整備された組織」

ウ  運営主体の独立性を高めるための工夫

エ  既存団体への委託か、新たな団体を創設して委託するか

(4)運営体制

ア  会員制度と総会

イ  理事会および運営委員会

ウ  事務局体制

エ  ボランティアの事業参加

オ  (仮称)センター利用者協議会

5.「(仮称)市民活動支援センター」運営の財源

(1)会費、寄付金収入

(2)自主事業収入

(3)補助金、助成金収入

(4)委託事業収入

6.今後のスケジュール

(1)センターの事業発展計画

(2)当面の予定

<参考資料>

市民活動支援センター設立準備会委員名簿

市民活動支援センター設立準備会の経過

市民活動団体(グループ)実態調査票(予備調査)

市民活動団体(グループ)実態調査結果

市民活動支援センターを取り巻く各セクターとの相関図

本文

はじめに

箕面市は、1999年(平成11年)6月、全国に先がけて箕面市非営利公益市民活動促進条例を制定しました。この条例に基づいて同年10月に発足した箕面市非営利公益市民活動促進委員会では、1年2か月にわたって箕面市における市民活動の促進策を検討し、2000年(平成12年)11月、『みのお市民社会ビジョン21』と題する答申書をまとめました。

この『みのお市民社会ビジョン21』の中で、市民活動を促進し行政との協働を進める拠点施設として「(仮称)市民活動支援センター」設立の構想が提案されました。そこで、2001年(平成13年)1月、市民委員を始め、計10名の委員で「市民活動支援センター設立準備会」(以下、「準備会」)が発足。さらに傍聴者も議論に巻き込む形で「(仮称)市民活動支援センター」に関する議論を重ねてきました。本報告書は、その検討結果をまとめたものです。

準備会は、7か月間に8回の検討会を開くとともに、市民活動推進拠点に関する予備調査の実施、公開で意見交換を行った「考える会」の開催、先進的な取り組みとして宝塚NPOセンターの見学などを行い、市民活動推進拠点のあり方について検討してきました。

元来、市民活動の活性化を進めるという取り組みは、社会問題の解決に直接関わる活動に比べて間接的ないし黒子的な活動であり、また市民活動全体さらには市民活動を取り巻く環境全般も視野に入れた上で活動する必要があるものです。このため、個々の課題解決に取り組む活動のように身近な出来事からの「気付き」で取り組まれることは少なく、「市民社会を築く」「行政と市民活動の対等な協働関係を作る」といったやや抽象的な理念を基盤に取り組みを進めることになり、そのため、直接の担い手や支援者の確保が難しいのです。実際、市民主体で運営されている市民活動推進拠点は、全国でも数十例しかなく、大半は行政が主導的な役割を担う形で運営されています。

しかし準備会では、いわゆる「他力本願」的に行政に市民活動の推進拠点整備を求めるのではなく、市民自身が主体的に市民活動の活性化を進めるための方策について協議を進めました。その結果、準備会での検討の過程を通じて、市民活動全般の活性化を進めるという役割に関心を持つ市民の輪を広げるという副次的効果も生まれました。

その準備会での議論の経過、蓄積と、その成果としてまとめた本報告書が、箕面市における市民活動推進拠点を創造する起点となることを切に願っています。

2001年(平成13年)7月

市民活動支援センター設立準備会

会長  早瀬  昇

1.「(仮称)市民活動支援センター」設立の意味と目標

(1)「(仮称)市民活動支援センター」設立の意味

ア  総合的な市民活動推進機関の必要性

市民活動は、市民の自主的な活動であり、活動を進める上での課題に対しても、本来、市民自身の努力で解決するべきものである。また市民活動の良さの多くは、その取り組みが行政から独立しているという「民間性」に由来している。つまり、市民活動の促進、協働策を検討していくにあたっては、市民活動団体の独立(団体の自主性、自立性)が確保された形での促進策を構築することが特に重要である。

もっとも、2000年(平成12年)10月に箕面市非営利公益市民活動促進委員会がまとめた答申書『みのお市民社会ビジョン21 ― 自治体とNPOの新しい協働のあり方』で詳しく解説しているように、市民活動には行政では実現しにくい公益的なサービスを容易に生み出す力がある。そこで、その活動を活性化することは市民生活の向上に大きな意味をもつものであり、自治体の重要な役割の一つと言える。

現在、箕面市には、社会福祉、国際交流などの個別分野でのボランティア活動支援機関は存在するが、分野を越えて総合的に市民活動を支援し、かつ特定非営利活動法人などの経営面での支援もできる機関はない。

確かに以前は、市民活動といった場合、無償のボランティア活動が中心であり、またそれぞれの活動分野ごとで活動が完結しているものが大半だったから、こうした個別分野ごとのボランティア活動支援機関が存在することで、一定の成果を果たすことができた。

しかし近年、市民活動の中には、分野を越えて他団体と連携しながら活動するものが増えてきた。たとえば、外国籍住民の医療、福祉問題や外国籍児童の就学問題などは、医療や福祉、子どもの健全育成に取り組む団体と国際交流に取り組む団体が、それぞれの知恵や経験を持ち寄らなければ解決が難しい課題である。「まちづくり」に関わる活動も、福祉、環境保全、人権擁護など多くの分野で活動する人々の連携が不可欠である。災害時の対応でも、あらゆる分野の活動が協力して事態に対処することが求められる。このように市民活動は、今後、分野横断型の展開を進めることが重要になってきた。事実、箕面市内で活動する市民活動団体27団体に対して準備会が試験的な予備調査として実施した調査によると、センターが実施する必要があると考える事業のトップは「ネットワークの推進」であった。

また、促進条例や特定非営利活動促進法のように、あらゆる分野の市民活動を対象とし、市民活動に関わる者全体にとって共通に関係する制度も生まれてきている。この面でも、市民活動全体をつなぐ市民活動の拠点が必要になる。

さらに、近年、無償であるため余暇での活動に限定されざるを得なかったボランティア活動に加え、NPO(民間非営利組織)という形で、低額とはいえ事業収入を得て安定的なサービス供給を目指し、あるいは専従の有給スタッフを抱えて専門性をもった活動を進める団体が登場し、市民の活動スタイルの幅が広がってきた。このような団体の場合、スタッフの人件費確保や事務所の維持費用などのため、財源の確立をはじめとする経営面での課題解決が、活動推進上の大きな焦点となってくる。こうした点に適切な助言を行う機関も、現在の箕面市には存在しない。

箕面市において、多様な分野に関わり、NPOなどの組織面での相談にも対応できる総合的な市民活動の促進拠点を設ける必要があるのは、このためである。

イ  日常活動を支える市民活動拠点の必要性

先に紹介した準備会が実施した予備調査によると、「会議、研修室」「作業スペース」に対するニーズが極めて高く、日常の活動を進める基盤である会議室などが不足していることが伺える。

また、自由筆記によるセンターへの要望でも、「印刷機のカラードラム」「カラーコピー、FAX、コンピューター、テレビ、ビデオ、プリンター」など、活動で利用する機材類の整備が求められていた。

この他、活動に関する情報の把握や備品類の保管のためのロッカー、郵便物などの受け取り、伝言受付などの事務局機能についても数多くの団体が求めていることがわかった。

このように市民の日常的で事務的な部分を支えるための拠点も必要である。

ウ  仲介機関の必要性

一方、箕面市は、1999年(平成11年)6月、全国に先駆けて箕面市非営利公益市民活動促進条例を制定し、同年10月に施行した。この条例では市民活動団体に公共サービスへの参入機会の拡大をめざし、「NPO登録」などの仕組みが導入されたが、事業委託などをさらに進めるためには、行政情報の公開や、両者の仲介などにあたる拠点が必要である。

この拠点とは、事業委託だけでなく、市民活動団体が企業や市民などの支援者との連携、協働を進める際にも不可欠なものだが、その理由は以下のような点にある。

委託などの形で市民活動団体と行政が協働関係を結ぶ場合や、市民活動団体がボランティアや寄付などの形で支援する市民や企業など「支援者」を得る際には、支援者探しや協働関係樹立のための「コスト」を低減させる鍵となるのが専門性を持った「仲介機関」の存在である。

というのも委託元の行政部局や支援をしようとする市民や企業も、また受託し、あるいは応援を求める市民活動団体も、ともに多種多様に存在する。そこで、両者が結びつく際には、相互に「パートナー探し」が必要になる。この時、仲介機関がある場合とない場合で、「パートナー探し」のために双方にかかる負担は、以下のように大きく異なる。

仲介機関が存在しない場合、個々の委託元や支援者、そして市民活動団体は、それぞれのパートナーを探すため、問い合わせと調整に膨大なエネルギーが必要になる。

一方、仲介機関が存在すると、この問い合わせや調整のコストは急減する。

【図1】仲介機関による「パートナー探し、コスト」の軽減効果

センターがない場合、ある場合

図では一目瞭然だが、双方に多様な主体が存在する場合、「仲介機関」の存在は、両者の協働をはかるためのコスト低減に大きな役割を果たす。なお、仲介機関の役割を果たすためには、この「出会いの効率化」だけでなく、対等な協働関係の樹立支援や研修機能なども必要になる。

ともあれ仲介機能を持った市民活動推進機関を創設することで、箕面市の市民活動を活性化するとともに、今後、公共サービスへの市民の参入機会を拡大することができると言える。

(2)センター設立の目標

以上のセンター設立の意味を現実化するため、センターの創設に当たっては以下のような目標を設定する必要がある。

ア  市民活動の「総合的な推進センター」をめざす

まず、センター設立の意味と重なるが、あらゆるタイプの市民活動を推進する拠点をめざし、活動分野や活動形態の違いから排除する活動がないようにすることである。

すなわち、多様な分野の活動家が集い、幅広い活動分野を網羅する活動情報を集積し、他市も含む既存の活動推進機関とも連携を進めること。ボランティアやボランティアグループはもとより、事業型のNPOや、さらには政策提言やキャンペーンに取り組む市民団体も含む多様な市民活動団体が出会える「広場」となること。そして、これらすべての市民活動団体の課題に応える総合的な推進拠点をめざすということである。

イ  日常の活動を支え、活動の成長を促す拠点をめざす

センターは、日常的に活動を支え、さらに活動の成長を促す拠点としても機能すべきである。

市民活動団体の悩みとして、会合や作業の場、備品類の保管場所などの不足をあげるものが多い。こうしたスペースを無償ないし安価に提供し、あるいは郵便や伝言の受け付けなどの簡易な事務局機能を代行するだけでも、日々の活動は随分と進めやすくなる。

さらに情報の収集、発信、資質向上、運営上の相談にも応じるとともに、自らの活動の公益性に気づき、より高い目標を設定するなど、市民活動の立ち上げ期から成長期まで日常的に支える拠点を目指すことも大切である。

ウ  市民活動団体と行政、企業などとの「協働促進」の場をめざす

協働のための仲介拠点となることも、センター創設の重要な目標である。

この仲介拠点となるためには、特に三つの機能を確立することが必要になる。一つは「情報の集積、発信」である。行政などのNPO委託情報や、他セクターとの協働やボランティアの受け入れに積極的なNPOの情報を集積し、発信し、利用者の都合に合わせて容易に検索できる体制を整えねばならない。行政情報や市民活動情報が様々な場に分散し、その把握にかなりの手間がかかる現状があるが、ここに出向けば全容がつかめる場(「ワンストップセンター」という呼称もある)をめざすということでもある。なお情報は人が運んでくるとも言えるから、センターに多様な市民が出入りする場となること自体、情報センターとしての機能を高めることになる。

また、多様な市民が出入りすることにより、様々な情報がセンターにもたらされ、その機能が一層高められるだろう。

次に「対等な協働関係の構築支援」である。つまり、たとえば「ボランティアとして応援したい」人と「ボランティアの応援を求める」側との協働には、「金銭」という等価交換のための道具が介在しないため、もし両者が直接つながることになると、対等な(coordinate)関係を成立させることは難しい。しかし、対等な関係にない場合、必ずどちらかに不満が生じ協働関係が破綻する。この問題を解決し両者を対等に結び付ける専門職が「コーディネーター」(coordinator)である。センターにはコーディネーターを配置し、個々に相談に応じて、対等な協働関係作りを支援する体制を整備しなければならない。

そして最後に教育、研修などを通じた「エンパワーメント」(本人が本来もっている力を引き出す)の機能である。協働する両者の間に能力や意識などの面で大きな開きがあれば、生産的な協働関係を築くのは難しい。そこで両者のギャップを埋める役割が必要になる。

こうした機能を整備し、協働促進の“要”を目指さねばならない。

エ  市民活動の「砦」― 自治的に運営される市民活動拠点をめざす

以上のような目標を実現するため、センターは市民によって自治的に運営されるべきである。市民活動が市民の自主的、主体的活動であり、行政などとも対等な協働関係を築こうという以上、そのための推進拠点の運営自体にも市民が自主的に参画でき、さらにはその経営も市民が担える自治的な運営体制をめざすべきだからである。センターに集う人々の意欲が、事業推進のエネルギーとなる体制を確立する必要がある。

そこで、運営主体は早期に特定非営利活動法人(いわゆる「NPO法人」)などの独立した主体として組織化をはかり、理事会ないし運営委員会も市民参加で結成。運営資金についても行政資金だけに依存するのではなく、市民や企業の協賛資金である会費、自主事業収入などの確保に努力し、事業スタッフにも趣旨に賛同する市民がボランティアとして参加できるようにするべきである。

2.「(仮称)市民活動支援センター」の事業

以上の目標を実現するため、センターは多くの機能を持たなければならない。もちろん開設当初から、その機能をすべて整備することは不可能だが、ここでは将来的な発展も見込んで、センターとして整備をめざすべき事業を列挙する。

(1)市民活動に関する情報収集、発信に関する事業

市民活動の推進に関わる情報センター機能を整備することは、センターの様々な事業の基盤をなすものと言える。ここで情報センターとして整備しなければならない事業としては、以下のようなものがあげられる。

  • 市内を中心に活動する市民活動団体の活動状況に関するデータベースの構築
  • 市民活動団体のボランティア募集情報データベースの構築(多様な要素で検索可能なもの。大阪ボランティア情報ネットワークとの連動も必要)
  • 市民活動に関する基本的な文献、資料の収集と整理
  • 市民活動団体の状況などを伝えるニュースレターなどの発行
  • ホームページなどによる市民活動団体(少なくとも登録団体)の広報
  • 掲示板などの情報発信の支援
  • みのおFMなどと連携した市民活動情報の広報(FMサテライト、スタジオの開設)  など

(2)行政機関と市民活動団体の協働促進のための事業

次に公共サービスへの市民の参入を拡大するなど、特に行政機関と市民活動団体の協働を促進するためには、まず行政機関と市民(活動団体)との情報共有を進めるため、以下のような事業の実施が必要となる。

  • 事業委託情報の市民活動団体への公開
  • 地域の市民活動団体から行政への各種提言の窓口
  • 行政のもつ各種情報の公開(情報センター機能を持つ)
  • 公共施設の空室情報のオンラインチェック機能
  • 自治体職員向けの市民活動団体との協働のための研修  など

また、事業委託の仲介などのため、以下の機能も必要になる。

  • 行政機関と市民活動団体の協働関係構築のコーディネート機能  など

(3)企業などの支援者との協働促進のための事業

行政とともに、地元の商工業者などの企業、労働組合、助成団体、さらには市民活動に関心を持つ一般市民などとの協働関係を進めることも重要である。この点に関しては、以下のような事業への着手を検討しなければならない。

  • 空き店舗などを低額で市民活動団体に提供してもらうための仲介
  • 社会貢献活動に熱心な企業などのデータベース(支援者台帳)の構築
  • 助成財団の助成内容、助成実績などに関するデータベースの構築
  • 商工業者などと市民活動団体の交流会の開催
  • その他、個別的な相談に応じてのコーディネーション      など

(4)市民活動の活性化と団体の自立を促す事業

以上のような行政や企業との協働を進めるためのコーディネーションに関わる事業とともに、市民活動自体が力をつけるための事業も重要な柱となる。

  • 市民が社会の主体となって社会改革に取り組める力をつけるための研修
  • 団体の自立を促すマネジメント面での研修(企画、プレゼンテーション、財務、労務など)
  • 市民活動促進補助金の運用
  • 個別的なコンサルテーション
  • 専門的なコンサルタントの確保、紹介  など

(5)  日常的に活動を支えるための事業

市民活動団体からニーズが多い会議スペース提供など日常的な活動を支える事業は、基本的な支援事業の一つである。

  • 会議スペース、作業スペースなどの提供
  • 備品類の補完スペース(ロッカー、倉庫)の提供
  • 印刷機などの事務機器、各種器具の有償ないし低額貸与
  • 事務所機能の一部代行(レターケースの貸与、郵便受付、伝言など)
  • 活動立ち上げ期の事務所スペースの提供
  • 市民活動共同事務局の創設    など

(6)  ネットワークによる相乗効果を生み出す事業

市民活動団体が相互に経験を交流し相乗効果を生み出す事業も実施する。

  • 同一分野、課題に関わる市民活動団体が集える場の開設
  • 分野横断型、セクター横断型のフォーラムの開催    など

なお、センターの事業自体も、社会福祉協議会ボランティアセンターや国際交流協会などの関係機関と積極的に連携し、相互に強みを活かし合った事業展開に心掛けるとともに、連携プログラムを通じて関係するボランティアなどの関係者間が交流できる機会とする。

(7)  コミュニティシンクタンクとしての事業

地方自治体の中には地方自治の理念を具体化するため独自に専門的な政策研究機関を持つものもある。もっともその多くは研究者や行政職員の研究活動を中心に据えており、市民活動団体の関係者が参加している例は少ない。

このような自治体レベルでの政策研究機関は箕面市には開設されていないが、基礎自治体への分権策が進む今日、箕面市においても自らの政策立案能力を高めるための拠点を創設することも検討されるべきだろう。

この場合、市民活動団体の関係者も客員研究員などの形で参加し、市民活動団体などなど市民の立場に立って、箕面市の市民活動活性化、行政などとの協働関係構築のための調査研究などに取り組むことも考えられる。

なおアメリカでは、行政の提案する政策に対して、住民の立場で代替案をつくるのがコミュニティシンクタンクの役割となっており、自治体から独立してこの機能を高める方向性も考えられる。

  • 市民自治推進の観点から市民活動の活性化を調査研究
  • 市民活動団体の関係者を客員研究員として配置  など

これらの事業の実施についても、本来的には、市民活動団体が自主的に展開することが望ましい。しかしながら、NPOセクターの揺籃期といえる現在、「NPOの活動しやすい環境づくり」政策の一つとして、行政の役割と位置づけ、その実施手法については、市民活動団体との協働のもと、委託などの形態をもとに両者が責任を共有し分担して行うことが必要となる。ただし、この役割分担は恒常的に続けるのではなく、その時点時点において見直すことが前提となる。

3.「(仮称)市民活動支援センター」に関する基本的事項

センターは、当面、以上のような機能を発揮することが期待されるが、そのためにも自由に事業を展開できる場所の確保が必要である。そこで、この場所の問題をはじめとするセンターの基本的な事項について確認する。

(1)センターの名称

本会は「市民活動支援センター設立準備会」として組織されたため、ここまで本報告書ではセンターの名称を「(仮称)市民活動支援センター」としてきた。

しかし、市民活動の自立性や行政などとの対等な協働関係構築の拠点という点を考慮するなら“支援”という非対等な関係を連想する用語を避け、「市民活動推進センター」「市民活動促進センター」「市民活動アシストセンター」などの名称とする方がより適切だし、また多様な関係者が集う場という点を重視するならば「市民活動プラザ」などの名称も考えられる。

センター創設時は上記のような点を配慮した名称とすることが望ましいと考えられる。

(2)センターの設置場所

箕面市では、市民活動の活性化を促進するため、市が場所の確保に努力する方針だが、その場所としては、現在「市民活動フリースペース」として提供されている箕面文化センター内の約80平方メートルが予定されている。そこで実際上、当面は、このスペースの活用を基本とした事業展開を行うこととなる可能性が高いが、先の事業を実施するには十分な広さがあるとは言いがたい。

今後、センターが担うべき機能を充実し、さらなる事業の展開のためには、近隣施設の空き店舗の活用なども考慮に入れるなど、早急により広いスペースを確保することが不可欠である。

なお『みのお市民社会ビジョン21』でもふれているように、地域に密着した形で展開されることの多い市民活動の特性を考えると、学校の余裕教室転用などにより市の東西地域などに、主に活動スペース提供を目的とした分館を開設することも早急に検討すべきである。

(3)センターの開館日、開館時間

センターの開館日など、市民活動団体の利便性を考え、以下のとおりとすることが適切だと考えられる。ただし、その詳細はセンター運営委員会などで実情に合わせて決めることとする。また言うまでもないことだが、運営が委託形式になった場合は、委託元とも調整しなければならない。

開館日:平日に休館日。日曜、祝日開館を基本とする。

開館時間:平日~土曜  午前9時~午後10時

日曜祝日  午前9時~午後6時

また、設置当初は、上記の開館時間を維持するだけの人的配置が困難な可能性も高く、その場合、夜間や日曜祝日の開館について、人的体制に合わせた柔軟な対応をする必要がある。

4.「(仮称)市民活動支援センター」の運営体制

以上のような構想を実現する上で決定的に重要なのが、事業を企画、推進し、またセンターを運営、管理する担い手である。以下、この点について検討する。

(1)運営形態

先行する他自治体の事例を整理すると、「支援センター」の運営については、一般に行政が設立し運営も事務局に行政職員が出向するなどの形で行政が行う「官設官営」形態、行政が設立するが、運営は民間に委託するか民間に設備を貸し出し補助金などで運営を支援する「官設民営」形態、民間の手によって設立し自主的に運営する「民設民営」形態などに分類して議論されることが多い。

しかし、今、箕面市にセンターを創設する場合、「官設民営」型の運営形態をとることが、もっとも現実的だと考えられる。(なお、設置に際しては、行政財産として市長部局に移管し、公の施設として条例設置することが想定される。)

というのも、「官設官営」では、支援センターを行政責任で創設することを明確に示す形態だが、一定年限ごとに出向職員が交代することとなりやすく、支援センターに専門性を蓄積することが困難になる。また、市民に「顧客」的な意識が生じやすく、支援センターを市民が主体的、自治的に運営することも難しくなってしまう。

一方、箕面市域だけで「民設民営」形態の支援センターを設立するのは、経営上、かなり困難だと考えられる。というのも、直接的に特定の社会問題解決に取り組む市民活動団体では活動の目標や成果が目に見えやすく一般の支援も得やすいのに対し、市民活動を支援、推進するという活動は、目標が抽象的(たとえば「市民社会の実現」)になりやすい。また、活動の成果は個々の支援する市民活動団体の活性化であるため、支援した市民活動団体への寄付は増えても、黒子的な存在である支援センターへの寄付が増える形にはなりにくい。

つまり、ある事業に特化した活動ならばともかく、総合的な支援センターを創設することは、民間レベルではかなり困難なことと考えられ、「官設民営」型の運営形態をとることが現実的だと結論づけられる。

もっとも、「官設官営」はもとより、「官設民営」でも実際上「官主導」になりやすいといった批判もある。

しかし、いわゆる「官設民営」の形態であっても、本準備会のように市民公募による検討組織において、事業内容や運営形態を主体的に検討してセンターを創設することになれば、市民主導で行政施策を創造していることになる。さらに設立後のセンター運営にも市民活動団体の中から事務局スタッフやボランティアスタッフを送り込む、事業資金も行政資金だけに頼らない、といった体制がつくられるならば、従来の「官設民営」などの枠組みを超えたものとなるだろう。

そもそも行政は市民の代表がコントロールする機関であり、仮に人件費など管理費の大半を行政が事業委託費としてまかなう形になったとしても、そのことをもってただちに「官主導」の支援センターであるとは言えない。

結局、今回のセンター創設構想自体も、市民活動団体と行政の「協働」と位置づけ、この視点から運営方法を検討する必要があると言える。

(2)運営の原則

センターの運営にあたっては、以下のような点を原則とする。

ア  「独立的運営」の原則

センターを市民自らの手で自治的に運営するため、センターの趣旨に賛同する市民や市民活動団体などを会員に、センターを運営する主体を独立した「センター経営団体」として組織化。市民活動団体の代表などで構成する理事会ないし運営委員会で、センターの事業計画や経営課題を主体的に進める体制を築く。

また事業推進の財源も、行政資金などだけにすべてを依存するのではなく、会費、寄付金や助成金、講座などの有料実施による事業収入の確保をはかり、財政上も独立して運営できるよう努力する。

イ  「自治的運営」の原則

センター運営者とセンター利用者が、「サービスを提供する側」「利用する側」という対抗的関係ではなく、ともに広く市民活動を進める同志としての協調的関係とするため、利用者の代表などが「センター経営団体」の運営委員会に参加できるようにするとともに、利用者とセンター運営者が意見交換できる「運営協議会」などの場も定期的に開き、センター事業を自治的、創造的に推進できるよう、体制を整備する。

なお、そのためにはセンターの財政面なども含む徹底した情報公開、運営の透明化が必要になる。

ウ  「パートナーシップ活用」の原則

センターの運営、事業推進にあたっては、市民活動関係者だけでなく、行政、さらに企業、労働組合との連携を進め、センター運営の資金や機材、人材、ノウハウなどを各セクターの協働で創出するよう努める。特に行政との関係では、公共サービスへの市民の参入を拡大するという箕面市の方針を体現する拠点として行政の推進事業を受託するなど、連携して事業を進める。

また社会福祉協議会ボランティアセンター、国際交流協会など特定分野で事業を進める推進機関と相互に事業計画を共有し、事業の共催などプログラム実施面での連携を進める。

エ  「運営への市民参加」の原則

運営委員会を通じたセンター経営への市民参加だけでなく、個々の事業の企画、実施にも市民の参加を進め、事業企画へのボランティアの参画を通じて、自発的な意欲によって創造的な事業が展開されるように努める。センター運営に自発的に関わる人々が多ければ多いほど、センターに集うことで活動意欲が高まるといった雰囲気を醸成することができるだけに、この点も極めて重要である。

オ  「多様性尊重」の原則

センターの利用者については、基本的人権の擁護や民主的手続きの尊重といった市民的価値観を共有できる限り、政策提言型、運動型の市民活動も含め、あらゆる方向、形態、姿勢の市民活動を支援するものとする。センターでは、こうした市民活動の多様性が尊重されなければならない。

(3)運営主体

ア  連絡会ではなく独立した運営主体が必要な理由

すでに「運営の原則」で指摘しているように、センターの運営にあたっては、市民が主体となって結成する「センター運営団体」という組織が必要となる。その理由は以下のようなものである。

市民活動の支援や推進に関する直接的なニーズを持っているのは、当の市民活動団体だから、このセンターの運営は市民活動団体の連絡会などが担ってはどうかという考え方がある。しかし、連絡会がセンター運営を担うことには特に二つの点で問題がある。

一つは、連絡会では責任の所在があいまいになりやすく、日常的、継続的な事業主体としての責任を果たしにくいという点である。もっともこの問題の場合は、連絡会に一定の力をもった事務局が生まれれば、解決も不可能ではない。

より本質的な問題は、センターが市民活動団体のニーズ解決だけをめざしてはいけないという点である。センターの機能の一つに、行政や企業、あるいはボランティア志願者や寄付者と市民活動団体とのパートナーシップ、協働関係作りを促進するということがあった。この機能を実行するには、センターは市民活動団体の「利益」だけを考えるのではなく、一方のパートナーの「利益」も考え、両者が共に「利益」を得る関係 ― いわゆる「win-win」の関係づくりをめざさなければならない。そこで、市民活動団体に対しても、そのパートナーに対しても「中立的な立場」に立つ、両者の利益を同時に考える組織が必要になる。

以上の理由で、市民活動団体の連絡会ではなく、この役割を果たす独立した組織を立ち上げる     (ないしは、この役割を果たせる既存の組織に委嘱する)ことが必要だと考えられる。

イ  委託の受け皿として必要な「一定の事業推進体制が整備された組織」

また、以下のような理由から、「センター運営団体」は一定の事業推進体制が整備されていなければならないと考えられる。

すなわち、先にセンターの運営形態を検討した結果、「官設民営」型が現実的だと指摘したが、この場合も(事業の一部または全部を)自治体の「委託」とするか「補助」とするかで、かなり状況が変わってくる。

というのも、「補助」の場合、運営主体の独立性は高くなるが、補助額に見合う自己財源の確保が必要になる。それに補助では人件費への支出が難しいことから、会費などの財源で人件費をまかなうことになるが、これはそう容易なことではなく、結局、専従スタッフの確保が難しくなることも予想される。

一方、「委託」の場合、人件費の確保が容易で、そのため一定の力量をもつ専従スタッフを得やすい。もっとも、事業の主体は委託元である行政となるため、委託事業の基準となる仕様書の表現があいまいであったりすると、委託元である行政から過剰な指示、指揮を受けやすくなる危険性がある。また委託とは委託元に代わって事業を行うことであるから、委託を受けるには、委託元と遜色のない安定した事業推進体制が確立している必要がある。

これまで確認してきた各種の事業を推進するには、一定の力量をもつ専従スタッフの確保は不可欠であり、少なくとも当面は箕面市からの「委託」という形でセンターを運営することが適当だと考えられる。ただし、委託の必要条件を満たすためにも、また「運営の原則」で確認したように運営団体が主体性をもって事業を進めるためにも、運営主体が組織として確立し一定の事業推進体制を整備させる必要がある。

ウ  運営主体の独立性を高めるための工夫

先に指摘したように、センターを委託形式で運営する場合、運営組織の主体性が損なわれやすいという問題がある。この問題を解決するためには、運営組織自体の事業推進能力を高めることと、財政面で組織の独立が保てるよう財源の多元化を進めることが重要である。

まず前者に関しては、日常的な事業推進能力を左右する事務局体制の確立が必要になる。社会活動家として幅広い分野で活躍した市川房江氏の言葉に「運動とは事務なり」なる言葉があるように、事業の日常的な対応や進行管理を行う事務局が事業の質を左右するためである。

また、財源を受託事業収入だけに頼らず、会費、自主事業収入、助成金などの自主財源の確保に努力することも重要である。すなわち、センターの事業を委託事業だけに留めず、補助、助成事業や自主事業を積極的に展開することをめざすべきであろう。さらには、役割分担を見直すなかで、受託事業を自主事業へと発展させることも必要である。こうした主体的な事業推進によって、いわゆる「下請け団体化」を避けることができると考えられる。

エ  既存団体への委託か、新たな団体を創設して委託するか

では、「センター運営団体」をどのように確保するかだが、その方法としては、既存団体に委託するか、新たな団体を創設して委託するかということになる。以下に、この両者について検討してみよう。

まず、「既存団体に委託」する場合は、既に実績のある団体に委託することとなり、早期に実績をあげやすいという長所がある。

しかし、現在、箕面市内で活動している団体の中では、ここまで検討してきたような総合的な市民活動の推進事業に取り組みノウハウを蓄積してきた団体は今のところ見当たらず、既存の市民活動団体に委託するならば、箕面市外に委託先を求めることが必要となる。この場合、運営委員会は箕面市の市民活動関係者で組織し、事業を日常的に実施する事務局機能のみを既存団体に委託するという、管理運営と事務を分ける形になる。

しかし、センター運営に決定的な影響力を持つ事務局部門を他市団体に依存すると、市民活動推進に関するノウハウが箕面市に蓄積されず、箕面市における市民活動の将来的な発展を考えた場合、できれば避けた方が良い方法と言える。

一方、「新たな団体を創設して委託」する場合は、準備会を発展させ、市民活動の推進に関心をもつ市民の参加を広く求めつつ発起人会を結成。そのメンバーが中核となり、促進委員会の有識者委員の助言や市外専門機関のサポートも受けながら、新たに団体を創設することになる。新規に団体を創設するため設立当初は高い水準の事業を展開することは難しいが、センター機能を整備する過程に市民が参加でき、より市民に密着したセンターを創設できると考えられる。なお、設立当初は短期的に市外専門機関から支援スタッフの派遣を仰ぐことも考えられる。

この場合、事業推進の核となる事務局員、特に事務局長の人選と確保が決定的に重要であろう。この人選にあたっては公募という方法もあるが、就任してほしい人に「公募選考」という落選のリスクを課さねばならず、応募者が減る懸念もある。そもそも人材を広く公募できるのは、組織に核となる体制が確立している場合であり、今回のような創設期に核となる人物を公募することは難しいと考えられる。

そこで、発起人会の中に「選出委員会」を組織し、事務局長および事務局員候補をリストアップし、個々に依頼していくことも考えられる。もちろん、この場合も、個人のプライバシーを害しない範囲で、その選考経過を公開する必要がある。

また、組織体制を整備するため、早い時点で特定非営利活動促進法に基づく法人化も必要だと考えられる。ただし法人化により税務面、労務面などでかなりの事務作業が発生することから、法人申請をする場合、この作業をこなせる体制整備が必要であることも考慮するべきである。

(4)運営体制

ア  会員制度と総会

「センター運営団体」は、市民に開かれたオープンな組織とし、また核となる自主財源を確保するため、センター創設の趣旨に賛同する市民を会員として創設することになる。この場合、会員総会を年1回開催し、前年度事業と決算の報告と審議、承認、事業計画と予算の提案と審議、承認、理事などの役員選出などを行う。

なお、センターの公共的性格を考えると、センターの利用は会員であるとないとにかかわらずオープンに利用できるようにするべきだが、一方でセンター運営に市民が参加することの重要性を訴え、会員拡大に努める必要がある。

また正会員に団体会員を認めるかどうかも議論の余地があるところで、団体会員を正会員と認めると、個人と個人の集団である団体とで議決権に差をつけるのかつけないのかなど、やっかいな問題が生じてしまう。しかし、一方でセンターが市民活動団体をサポートする拠点であることを考えると、市民活動団体の意向を受け止めることも必要である。この点はセンター創設までに、さらに検討を重ねる必要があろう。

イ  理事会および運営委員会

特定非営利活動法人となった場合、センターの最高意思決定機関は総会となるが、日常的には理事会や運営委員会がセンター運営や事業計画を審議、決定することとなる。この理事会と運営委員会を別々に組織する場合と、一本化する場合がある。

前者の場合、理事会は対外的な信用保証機能とともに経営責任を負い、運営委員会は具体的な事業の企画、推進について検討する形になる。この場合、理事会は年に数回(最低、予算理事会と決算理事会の2回)開催、運営委員会は毎月開催、と開催頻度を変える場合が多く、著名だが多忙な人々や事業の関係上、連携をとっておきたい団体の役員などを理事に迎えることが容易になる。また運営委員会は真にセンターの事業推進に熱意とエネルギーをかけられる人たちで組織することができる。しかし反面、組織の意思決定は複雑になる。両者の齟齬を減らすには理事と運営委員を兼任する人を増やす方法があるが、兼任者が多ければ、そもそも二つの機関を作る意味が減ってしまう。

一方、両者を一本化した場合、意思決定の仕組みは単純化するが、多忙な人材などを巻き込みにくくなる懸念がある。ただし運営委員会と分離した場合に比べ、経営責任に対する意識が高まりやすいという利点もある。なお、特定非営利活動法人になった場合、理事は総会での承認事項とすることが多く(総会での承認事項としない定款にすることも可能)、一本化すると、年度途中での役員の交代などが難しくなる。また登記も必要になるため、一本化すると、理事会と運営委員会を別立てにする場合に比べ、手続きもやや煩雑になる面もある。登記が求められるのは、理事が法人を代表する存在であり、日常的に経営や事業推進の重責を担うためで、住所などの個人情報も公開される。

結局、前者は理事会に対外的な信用保証機能や他機関との調整機能などをもたせ、実質的な事業推進は運営委員会が担う形式だが、センターの場合、特に信用保証を求める必要性は少ない。また他機関との連携や多忙な人材の巻き込みに関しては、別に諮問機関等を設けることでカバーすることが可能である。

最終的な組織の形は、具体的な理事または運営委員を想定した上で、発起人会などで決定することだが、諮問機関を別に設けつつ、理事会と運営委員会を一本化する体制とすることが、機能的であるように思われる。

なお、事業受託を受けるなど行政との連携して運営する以上、理事会や運営委員会には行政の担当職員もオブザーバーとして参加し、意見交換ができる体制とする必要がある。ただし、センター運営団体が民間団体としての主体性を高めるためには、行政職員を理事ないし運営委員として迎えることについて、慎重な検討が必要であろう。

ウ  事務局体制

日常的に事業を推進する事務局には、夜間、週末の開館も考慮すると、最低でも事務局長1名、事務局員3名程度の専従スタッフが必要となる。また事務局長は、市民活動支援機関や市民活動団体での勤務経験を有するなど市民活動運営上の課題を理解しているとともに、その活動推進に熱意と能力を持つ人材でなければならない。

事務局長および専従職員の人件費については、社会福祉協議会など同種の機関にならい、事務局長は所長と、専従職員は専門員と同程度の待遇とするべきであろう。

なお、職員が自発的に事業に取り組むためには、その企画段階から関与できていることが必要である。そこで、理事会や運営委員会には全職員がオブザーバーとして参加し発言できる(理事ないし運営委員を兼ねる者以外は決議には参加できない)体制とすることも必要である。

エ  ボランティアの事業参加

運営委員会はもとより個々の事業の企画、実施にも市民の参加を進め、事業企画へのボランティアの参画を通じて、自発的な意欲によって創造的な事業が展開されるように努めるべきである。具体的には、研修事業、情報センター事業などの事業ごとに事業の企画、実施に関心のあるボランティアを募り専従スタッフとともにプロジェクトチームを作るわけだが、ここで重要なのはプロジェクトチームに企画面での一定の権限委譲を行い、チームメンバーの創意と工夫で事業を創造できるようにすることである。もちろん各プロジェクトチームが独走してはいけないわけで、各チームの動きを運営委員会で報告し合い、相互に連携をとりながら事業を進めることになろう。また年度計画などは合宿などを開き、全関係者で議論する機会を作ることも考えられる。

オ  (仮称)センター利用者協議会

総会とは別に、センターの運営が利用者の意向とかけ離れたものとならないように、利用条件の設定や利用ルールの改善を協働で進めるため、年一回程度、「(仮称)センター利用者協議会」を開催し、「サービスを提供する側」「利用する側」という関係を越えて、利用者が自治的、創造的に活用できるようにする。

なお、この場でもセンター運営に関する情報を広く公開し、利用者が事業を評価しやすい仕組みとしなければならない。

5.「(仮称)市民活動支援センター」運営の財源

センターの運営に必要な財源は、事務所を公共施設の無償提供とするとしても、人件費を考慮すると、少なくとも2,000万円程度は必要だと考えられる。この資金をどう確保するかが課題となるが、この財源としては、以下のように会費、寄付金収入、自主事業収入、補助金、助成金、委託事業収入などが想定される。財源の多様化を進めることは、組織の自立を進める重要な要件の一つである。

(1)会費、寄付金収入

このうち会費収入は、定期的な寄付金収入とも言えるものだが、使途の限定がなく、ある程度安定した収入で、かつその全額が活動を支える資金に活用できる点で、非営利団体の収入の王とも言える。ただし、センターの場合、年会費として、個人が一口3,000円~5,000円、市民活動団体などが一口5,000円程度(法人は2口以上)といった程度で設定することになるであろうから、仮に個人会員200人、団体会員50団体を得たとしても約100万円を確保するに留まる。

寄付金収入についても、同様に使途の限定がないなどの利点はあるが、不安定にならざるをえず、そう多額の収入を見込むわけにはいかない。

(2)自主事業収入

自主事業収入としては、講座の受講料収入、情報誌の購読料などが想定できる。この収入は利用者のニーズにマッチした事業に取り組めば増加する傾向にあり、一定程度、この収入に依存する財政構造となっていることは、事業の切磋琢磨を進める要因ともなる。

ただし、非営利団体の事業である以上、せいぜい収支が均衡する範囲での収入を確保できる以上の料金を設定することは難しく、収入分を上回る実施経費がかかる場合も少なくない。

もっとも出版事業収入などは、増刷するような図書を発行できれば、多額の収入を得られる場合もあるが、初期投資額が多額になり、そもそも、そうそう容易に収益の上がる図書を発行することは極めて難しい。

(3)補助金、助成金収入

以上の収入に比べ、補助金や助成金収入は立ち上げ資金として比較的有力で、先駆的、開拓的な事業に対して、比較的、多額の資金が得られる場合も少なくない。

もっとも、選考を経て初めて得られる資金だから、補助や助成を申請する事業の企画が優れたものでなければならない。また人件費などに支出することが難しく、事業費や備品費などに使途は限定される場合が一般的である。それに一つの事業に対しては、一般に単年度からせいぜい2~3年度で打ち切られることが多い。

ともあれ助成情報などを丹念に調べ、申請可能な事業を企画して積極的に資金獲得に努めなければならない。

(4)委託事業収入

以上の財源に比べ、人件費などへの支出も可能で、かつ比較的多額の資金を得ることも可能なのが委託事業収入である。この中には、講師派遣収入のように単発の事業委託、調査研究のように1~2年で完了する事業委託、会館管理などのように長期的に継続される事業委託がある。

「センター運営団体」の場合、団体の独立性確保の面からも上記の(1)から(3)の財源確保にも努力するが、人件費や管理費の確保が難しいことを考慮すると、少なくとも当面、財源の柱となるのは、この委託事業、上記の特に長期的な事業委託を箕面市から受託して得られる収入であろう。

もっとも、こうした委託を受けられるためには、地方自治法に基づき競争入札で選ばれることが原則であり、委託元との間で随意契約を行うとしても、一定の専門性や他団体と比較して優位となる特性(今回の場合は、本準備会での検討プロセスに参加した市民を中心としつつ広く市民の参加を呼びかけて「センター運営団体」を創設するという設立経過など)が必要である。本準備会から育った団体だけに“お墨付き”が与えられるような形となってはならない。その意味で、センター運営団体は本報告書で確認してきたような運営原則を遵守する必要があり、たとえば民主的なルールで運営されなくなるといったことが起こった場合、委託契約を解除することになる。このチェックは、当然、委託契約が更新される毎年度末ごとになされる。

また将来、特定の領域では市民活動の推進事業に取り組む団体が別に生まれてきた場合は競争入札で委託先を決めるようにしなければならない。

なお、事業委託の内容としては、たとえば以下のようなものがあげられる。

  • A  市民活動に関する情報収集、発信に関する事業
  • ― 「行政情報公開センター事業」を含む
  • B  行政機関と市民活動団体の協働促進のための事業
  • ― 「市民活動促進補助金」の運営のための調査事業
  •     団体の自立を促すマネジメント講座
  •     「非営利公益市民活動促進委員会に関する事務」などを含む
  • C  市民活動の活性化と団体の自立を促す事業
  • D  日常的に活動を支えるための事業
  • E  ネットワークによる相乗効果を生み出す事業

ただし、行政の委託事業となった場合、有料での開催が難しくなる場合がある。もし、委託によってこのような制約を受ける場合、研修事業などは委託事業から除外し、自主事業として実施することも考えられる。

6.今後のスケジュール

(1)センターの事業発展計画

センター事業は、センター運営団体の成長と市民活動団体からのニーズの広がりに応じて、整備、充実していくことになるが、今年度中にセンターを開設する場合、以下のような形の事業発展例を想定することができる。

もっとも、市民活動や活動を包む状況は日々大きく変化しており、長期的な事業計画を正確に策定することは事実上、不可能である。今後、毎年度ごとに1~2年先の見通しを検討した上で、当年度の目標を設定していく体制をとる必要がある。

2001(平成13)年度

  • センター運営団体の組織化
  • センター運営に関するルールの策定
  • 事務局長および事務局スタッフの採用と研修、事務局体制の構築
  • センター開設(フリースペース)
  • 市民活動関連情報の収集(調査など)と整理  など

2002(平成14)年度

  • 会員拡大など自主財源拡大の努力
  • 市民活動関連情報の発信
  • 行政事業の市民活動団体への委託システムの整備
  • 研修事業の本格的開始
  • 交流事業の開始(交流イベントなどの企画開催)  など

2003(平成15)年度

  • センターの移転(より広いスペースの確保)
  • 立ち上げ期の市民活動団体への事務所提供事業などの着手
  • 自主事業の充実による財源拡大の努力  など

(2)当面の予定

今年度中にセンターを開設する場合、以下のようなスケジュールでの準備が必要だと考えられる。

なお、箕面市としてセンターの運営を民間団体に委託する際には、これまでの経緯等をふまえて主体的に検討してきた市民を中心としたセンター運営団体への委託が適していると考えられるが、さらに多くの市民やNPOの参画により市民的な合意形成が必要である。また、将来的には、コンペ等を利用した運営団体の決定も必要になる。

<2001年>

  • 8月  センター運営団体発起人会準備会の発足(以後、毎月、例会開催)
  • 9月  市民活動団体実態調査、啓発事業を箕面市より受託
     センター事務局員選考委員会の設立(選考開始)
  • 10月  センター事務局員の選考
  • 11月  センター運営団体創設に向けた運営体制の検討、諸規定案の作成
  • 12月  センター運営団体発起人会総会(センター運営団体設立総会)
  • ― 定款、2001年度事業計画、予算案の承認、役員の選出

<2002年>

  • 1月  センター事務局を開設(フリースペースを予定)
      センター運営委員会の開催(以後、毎月、開催)
       特定非営利活動法人の認証申請
       スタッフ研修の実施
  • 3月  市民活動団体調査の報告書作成
  • 2002年度事業計画、予算案の確定

参考資料

市民活動支援センター設立準備会委員名簿

東  一洋

石橋  由紀子

今井  啓子

櫻井  あかね(会長職務代理)

須貝  昭子

直田  春夫

立石  美佐子

早瀬 昇    (会長)

日永田  実

森岡  秀幸

市民活動支援センター設立準備会の経過

第1回【2001年(平成13年)1月9日(火曜日)】

  • 委員紹介
  • 会長選出、会長職務代理者指名
  • これまでの経過
  • 全体計画の確認

第2回【2001年(平成13年)1月25日(木曜日)】

  • 今後の審議計画の検討
  • 地方自治体が設置した市民活動支援センターの機能紹介
  • 「仲介機関」の意味

第3回【2001年(平成13年)2月16日(金曜日)】

  • フリースペースの見学
  • アンケート調査票の検討
  • 運営体制について

第4回【2001年(平成13年)3月13日(火曜日)】

  • アンケート調査票の検討
  • 市民活動支援センターのあり方
    見学会【2001年(平成13年)3月30日(金曜日)】
  • 宝塚NPOセンター

第5回【2001年(平成13年)4月10日(火曜日)】

  • アンケート調査票の検討
  • 市民活動支援センターのあり方

第6回【2001年(平成13年)5月10日(木曜日)】

  • アンケート調査票の検討
  • 市民活動支援センターのあり方
  • 「考える会」の運営方法の検討

考える会【2001年(平成13年)6月9日(土曜日)】

  • 市民活動支援センターのあり方
    (公開の場でワークショップ形式による検討)

第7回【2001年(平成13年)6月28日(木曜日)】

  • 報告書について
    第8回【2001年(平成13年)7月17日(火曜日)】
  • 報告書について

市民活動団体(グループ)実態調査票(予備調査)

現在、箕面市では、市民活動支援センター設立準備会で、そのセンターのあり方について市民自らが検討をすすめております。今後の議論の参考にさせていただきたいと考えておりますので、ぜひ調査にご協力くださいますようお願いいたします。

問1. あなたの団体の主な活動は、分類するとすれば次のどれにあたりますか。あてはまる番号すべてを○で囲んでください。

(1)保健、医療  (2)福祉(高齢者)  (3)福祉(障害者)  (4)福祉(その他)  (5)まちづくり(ハード)  (6)住民主体の地域事業  (7)自然、環境  (8)人権  (9)文化、芸術  (10)食、農業  (11)地域活動(防犯、美化緑化等)  (12)国際協力、交流等)  (13)政策提言  (14)オンブズマン  (15)共生社会の実現(男女、民族等)  (16)住まいと暮らし(住宅、商品等)  (17)間接支援(資金助成)  (18)間接支援(資金助成以外)  (19)趣味(料理、手芸等)  (20)その他(具体的に                      )

問2. あなたの団体の会員は何人ですか。

問3. あなたの団体にとって、市民活動支援センターで実施する必要があるとお考えの事業は何ですか。優先度の高いものから順に3つお答えください。

(1)人材育成、能力アップ事業(講座の開催等)  (2)ネットワーク事業(情報交換会、交流会の開催等)  (3)コーディネート、マッチング事業(支援者と市民活動団体とのマッチング等)  (4)相談(コンサルテーション)事業  (5)情報関係事業(ホームページの開設、情報誌の発行等)  (6)調査研究、政策提言事業(まちづくり活性化案。提言など)  (7)資金関係事業(公益信託などの運営)  (8)市の保有する各種情報(各種公募、業務委託、補助金交付など)の一元管理、提供  (9)その他(具体的に                    )

問4. あなたの団体にとって、市民活動支援センターに必要であるとお考えの設備は何ですか。優先度の高いものから順に3つお答えください。

(1)会議室、研修室  (2)作業スペース(印刷機器等を整備したスペース)  (3)情報発信スペース(掲示板、パソコンコーナーの設置)  (4)交流サロン(情報交換の場の設定、関係図書コーナーなど)  (5)面接、相談室(プライバシーが守られ安心して面接、相談できる場)  (6)保管場所(ロッカー等の整備)  (7)事務所機能(郵便物配布のレターケース、事務机の貸与等)  (8)プレイルーム(市民活動に参加するための保育スペース)  (9)その他(具体的に                  )

問5. 現在、設立準備会で検討している市民活動支援センターは、市民自らの手で運営するセンターを目指しておりますが、もしセンターが設立すれば、どのような形で団体として関わることを考えておられますか。あてはまるもの番号を○で囲んでください。

(1)団体としてセンターの運営に参加したい。  (2)(事務所等、活動の拠点として)継続的に施設を利用したい。  (3)(会議等で)一時的に施設を利用したい。  (4)特に考えていない。  (5)わからない。

問6. 市民活動支援センターへの要望、提案等あればご記入ください。

(回答数:28)

市民活動団体(グループ)実態調査結果

問1.あなたの団体の主な活動は、分類するとすれば次のどれにあたりますか。(複数回答)

問1の回答結果グラフ

問2.あなたの団体の会員は何人ですか。

平均65人(最少3人、最大416人)

問3.あなたの団体にとって、市民活動支援センターで実施する必要があるとお考えの事業は何ですか。(優先度の高いものから3つ選択、1番=3店点、2番=2点、3番=1点として計算)

問3の回答結果グラフ

問4.あなたの団体にとって、市民活動支援センターに必要であるとお考えの設備は何ですか。(優先度の高いものから3つ選択、1番=3店点、2番=2点、3番=1点として計算)

問4の回答結果グラフ

問5.現在、設立準備会で検討している市民活動支援センターは、市民自らの手で運営するセンターを目指しておりますが、もしセンターが設立すれば、どのような形で団体として関わることを考えておられますか。

問5の回答結果グラフ

問6.市民活動支援センターへの要望、提案等あればご記入ください。

  • 考え方…市民活動組織が必要とする「協働機能を受け持つセンター」。ソフト…各組織をつなぐこと、調整することに専念するメンバーが必要。ハード…フリースペースからスタートするとしても、将来的にはかなりの規模のスペースが必要。
  • フリースペースを単なる貸部屋にするのではなく、しっかりしたビジョンを持って発足しないと、まとまりがなくなる。保育室は必要だが、設備面で大変だということを覚悟しておくこと。
  • 多くの団体が利用するので、利用時間帯を中心に、利便性を考慮してほしい。
  • もっと広く市民がNPOに関心を持てるような企画を考えてほしい。
  • サンプラザのフリースペースは、中高生の活動の場として利用されているので、できるだけ作業スペースは確保してほしい。
  • 印刷機にカラードラムがあると、宣伝媒体としての幅が広がる。
  • 登録制とし、団体相互の活動理解を深めたり、情報交換の会を定期的あるいは臨時で開催してはどうか。
  • センターの構想自体を知らない団体が多いので、市広報紙にコーナーを設けたり、機関紙を市広報紙に挟み込むなど、行政のサポートが必要。
  • センターの目的が理解しにくい。
  • 資金面で運営が大変なのではないかとは思うが、センターがあれば情報発信に便利だと思う。小さなアンテナショップの機能があり、単発的な発信が可能であれば。
  • 施設の提供、各種団体(市内に限らず)の活動状況に関する情報提供、連携の仲介ができれば良いと思う。
  • 自分は趣味の集いでフリースペースを利用していたが、今後気軽に利用できなくなるのではないかと思う。
  • センターに求められるものは、資金の助成、活動の場の提供、活動拠点の提供、情報提供、情報発信(グレードの高いもの)。
  • 男女ともにバランスをとって地域参画できるよう、阻害要因を取り除くようなサポート、リタイア組の活用、活動市民層の形成が必要ではないか。
  • カラーコピー、FAX、コンピューター、テレビ、ビデオ、プリンター等の設置を希望。
  • 展示コーナーを設けたり、各団体の活動を紹介するものを設置してはどうか。

市民活動支援センターを取り巻く各セクターとの相関図

相関図

 

よくあるご質問

お問い合わせ

所属課室:人権文化部生涯学習・市民活動室 

箕面市西小路4‐6‐1

電話番号:072-724-6729

ファックス番号:072-724-6010

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