(仮称)箕面市新改革プラン(素案) 令和2年12月 (1ページ) 1 これまでの行財政改革の取り組み 箕面市では、平成7年度(1995年度)の行政改革推進本部発足から、平成15年(2003年)2月に策定した箕面市経営再生プログラム、平成18年(2006年)に策定した箕面市集中改革プラン、および平成20年から作成した緊急プラン(素案)・ゼロ試案などに基づき、各種、行政改革の取り組みを進めてきたことにより、財源不足や基金の枯渇といった危機を乗り越え、一時的に健全な財政を取り戻しました。 これまでの主な行財政改革の取り組み ・箕面市行政改革大綱(平成8〜12年度) 限られた人材や財源を有効に活用しながら、行政サービスを通して市民福祉の最大化を実現し、柔軟性・弾力性に富んだ行財政運営システムの確立を図るため、施策の再構築の視点で事務事業の見直しなどに取り組みました。 ・箕面市経営再生プログラム(平成14〜18年度) 経済の長期的低迷による税収減などにより箕面市の経営が厳しい中、少子高齢化、高度情報化、国際化などの社会情勢の変化に的確に対応するため、抜本的な自治体改革として、すべての施策や制度、仕組みをゼロベースで見直しました。 ◇ 箕面市アウトソーシング計画(MOS計画)(平成14年〜18年度) アウトソーシングにより構造改革と歳出改革を実現 ◇ 第2次箕面市職員適正化計画(平成15年〜19年度)人件費を抑制し、少数精鋭の行政組織を実現 ・箕面市集中改革プラン(平成17〜22年度) 三位一体改革による税収減収で、「箕面市経営再生プログラム」策定時の予想をはるかに超えた厳しい状況の中、「箕面市集中改革プラン」を策定し、一層の改革を進めました。 ・緊急プラン(素案)・ゼロ試案(平成20〜25年度) 危機的な財政状況を打破するため、「改革特命チーム"ゼロ"」(副市長をリーダーとした職員13名で構成)が、5年間で検討していく行財政改革内容「緊急プラン(素案)」を作成しました。 また、「緊急プラン(素案)」の目標を達成するために、「ゼロ試案」も示しながら、すべての事業をゼロベースで見直しました。 ・箕面市財政運営基本条例(平成26年3月制定) 箕面市が社会経済情勢の変化や市の実情に応じた必要な施策を自主的かつ総合的に実施するため、市の財政運営に関し基本的な事項を定めています。 (2ページ) 2 さらなる行財政改革の必要性 一方で、「緊急プラン(素案)・ゼロ試案」の作成から約10年が経過し、この間、高齢社会による社会保障関連経費の増加など、本市を取り巻く社会情勢は大きく変化しています。 特に、新型コロナウイルス感染拡大の影響は大きく、本市においても市税収入の減少により、財源不足に陥る可能性があります。 また、経常収支比率についても、令和3年度当初予算では100%を超える恐れがあり、今後極めて厳しい行財政運営が強いられる見通しとなっています。 ●経常収支比率の推移(折れ線グラフ)※経常収支比率とは、財政構造の柔軟性を図る指標のこと。 令和2年 予算ベース・・・ 98.0% 決算ベース・・・94.1% 令和3年 予算ベース・・・100.0% 決算ベース・・・96.5% 令和4年 予算ベース・・・101.4% 決算ベース・・・97.9% 令和5年 予算ベース・・・102.6% 決算ベース・・・99.1%  令和6年 予算ベース・・・103.5% 決算ベース・・・100.0%  予算ベースでは令和3年度に100%、決算ベースでも令和6年度には100%を超える可能性があります。 (3ページ) 2 さらなる行財政改革の必要性 この状況を打開するためには、障害者や高齢者、生活困窮者への影響を配慮しつつ、これまでの行財政改革の取り組みを一層加速化させる必要があります。 また、社会環境の変化によって、多様化・複雑化する市民ニーズに対して的確に対応し、持続的かつ安定的に、質の高いサービスを提供していくため、効率的、効果的な行財政運営を図っていく必要があります。 そこで、箕面市新改革プラン(以下、「新改革プラン」という。)を策定し、愛すべきまち「箕面」の次世代への継承、および持続可能な魅力あるまち「箕面」の実現をめざします。 令和3年度以降 新型コロナウイルス感染拡大による市税収入の減少、社会保障関連経費(扶助費)の増加→経常収支比率100%超 ※扶助費とは、社会保障制度の一環として、障害者・高齢者・児童などに対してその生活を維持するために支出する経費のこと。 ↓行財政改革をさらに加速 行財政改革 新改革プランの策定 改革の柱1 新アウトソーシング計画 改革の柱2 施設の再配置構想 改革の柱3 市有財産の活用 改革の柱4 全事業の点検 改革の柱5 各種団体の見直し ↓新改革プランに沿って着実に実行 目標 子どもたちの未来に負担を先送りしない ・愛すべきまち「箕面」の次世代への継承 ・持続可能な魅力あるまち「箕面」の実現 併せて、質の高いサービスの提供や健全な行財政運営をめざす。 (4ページ) 3 新改革プランについて 新改革プランでは、5つの柱をもとに改革を進め、効率的かつ健全な行財政運営を確立し、多様化・複雑化・高度化する市民ニーズに的確に対応し、行政サービスの向上を図っていきます。 ・改革の柱1 新アウトソーシング計画・・・民間活力を活かして、業務の委託化 ・改革の柱2 施設の再配置構想・・・公共施設の適正配置 ・改革の柱3 市有財産の活用・・・売却可能資産の計画的な売却、その他の土地の有効活用 ・改革の柱4 全事業の点検・・・不要不急な事業・経費の精査 ・改革の柱5 各種団体の見直し・・・ 各種出資・補助団体の統廃合 これらの新改革プランを実行することで ・愛すべきまち「箕面」の次世代への継承・・・より一層、効率的かつ健全な行財政運営をめざします。 ・持続可能な魅力あるまち「箕面」の実現・・・多様化・複雑化・高度化する市民ニーズに的確に対応し、行政サービスの向上に努めます。 (5ページ) 4 取組項目 改革の柱1 新アウトソーシング計画 ※アウトソーシングとは、行政サービスの一部業務を外部へ委託すること。 箕面市では、平成15年に策定した箕面市アウトソーシング計画等にもとづき、各種事業の民間委託を進めてきましたが、近年、国による規制緩和、法整備等が進み、民間活力の導入が一層進んでいます。 民間活力を導入することで、専門的な技術やノウハウを活かしたサービスを提供することができ、より高い効果が期待できるだけではなく、行財政運営の効率化や簡素化にもつながり、大幅なコストダウンも期待されます。 このようなことから、「民間ができることは民間で」の発想のもと、より充実したサービスを市民に提供できるよう、再度、事業の見直しを図るため、「箕面市新アウトソーシング計画」を策定します。 なお、新アウトソーシング計画の策定にあたっては、今後の定員管理のあり方をはじめ、長期的な組織運営に必要な人材の計画的な確保や人材育成のあり方を併せて検討していきます。 (1)新アウトソーシング計画の考え方 ・アウトソーシング検討の対象は、「公権力の行使に関すること」「政策形成に関すること」以外の業務で、効果・効率性が向上すると思われるものはすべて可能性があるとし、検証を行います。 ・アウトソーシング業務は、@事務事業とA施設等の管理運営事業の2つに分類し、各事業でアウトソーシングの可能性を検討します。  @事務事業・・・各種受付・案内業務、資料作成・入力業務など  A施設等の管理運営事業・・・公共施設の施設管理・補修・運営業務 ・アウトソーシングの類型は、@業務委託とA施設運営の民営化の2つとし、業務ごとに可能性を検討します。  @業務委託・・・清掃、保守、受付など各種業務を民間等に委託すること  A施設運営の民営化・・・市が設置した公共施設の運営を民間に委託すること  ※業務によっては廃止の検討も含んでいます。 (6ページ) 4 取組項目 改革の柱1 新アウトソーシング計画 (2)新アウトソーシング計画のメニュー @事務事業(効果額約1億円) 各種受付・案内業務、資料作成・入力などの委託化の活用により業務の効率化をめざす ・ごみ収集委託の拡大 ・学校校務員 ・就学援助、奨学資金等の受付業務 ・学校事務センターでの受付・入力業務 ・その他 A施設等の管理運営事業(効果額約2億円) 公共施設の施設管理・補修・運営業務の委託化・民営化によりサービスの向上およびコストダウンをめざす ・環境クリーンセンター(搬入ごみ受入、計量業務) ・公立保育所民営化の拡大 ・公立幼稚園の廃止 ・し尿収集管理 ・その他 新アウトソーシング計画効果額 (現状)@事務事業約7億円+A施設の管理運営事業約8億円=約15億円 (計画実行後)@事務事業約6億円+A施設の管理運営事業約6億円=約12億円 (効果額)経常経費約3億円の圧縮 (3)アウトソーシングの成果例 ・窓口では、より高い接客スキルで対応することができ、窓口サービスにおけるアンケート結果でも、総じて高い評価を得ることができている ・豊富な実績とノウハウを持つスポーツ関連事業者が総合運動場などを管理することで、より専門的なサービスを提供することができ、利用者の満足度向上につながっている (7ページ) 4 取組項目 改革の柱2 施設の再配置構想 業務の効率化をはじめ、サービスレベルや利便性の向上を図るため、公共施設等の再編・再配置を含めたあり方を検討します。 また、再配置によって生まれた土地については、貸付や売却などにより財源確保に努めていきます。 ●施設の再配置構想(案) ・健康福祉部、人権文化部事務所、箕面商工会議所をグリーンホール跡地へ移転 ・教育センターを市役所別館へ移転 ・箕面市立病院をCOM1号館跡地へ移転 (図)施設の再配置位置図 (8ページ) 4 取組項目 改革の柱3 市有財産の活用 「改革の柱2 施設の再配置構想」で生まれた土地やその他の市が所有する土地については、具体的な活用方針を定めたうえで、有効活用できるものは、貸付などを積極的に行い、地域の活性化やにぎわいの創出を図っていきます。 施設機能等を確保できないものについては、計画的に売却していきます。 なお、既存施設の余裕スペースについても、地域交流や多世代交流など新たな交流の場となるよう、民間への貸付等を行っていきます。 ● 有効活用(貸付)または計画的に売却するもの ・大阪大学箕面キャンパス跡地 ・箕面市立病院跡地 ・大阪府箕面整備事務所跡地 ・箕面市立老人福祉センター松寿荘跡地 ・警察寮跡地 ・ゲートボール場跡地 ・今宮受水地跡地 ・間谷配水池跡地   など 市有財産の貸付・売却により ・新たなにぎわいの創出、地域の活性化 ・貸付による経常的収入の増加、臨時的収入(売却益) を図ることができる (図)市有財産位置図 (9ページ) 4 取組項目 改革の柱4 全事業の点検 より効率的・効果的な行財政運営を図るため、すべての事業については、社会経済情勢や市民ニーズの変化等を踏まえながら、公益性、必要性、公平性等の幅広い観点から検証を行い、そのあり方や方向性について見直しを行います。 併せて、事業の進め方についても、検証・分析を行い、業務プロセスの見直しによる事務の簡素化や、AI、RPAなどICTの活用による事務の効率化を図っていきます。 (1)全事業点検の考え方 事業目的・プロセスと対象者、財源に着目し、以下の4つの視点で、事業の統廃合や中止、実施方法の変更を検討していきます。 ・事業の必要性や費用対効果は低くないか ・事業開始当初に比べ目的が薄れていないか ・事業開始当初に比べサービス水準が低下していないか ・事業手法を変更することにより大幅なコストダウン・効率化・簡素化を図れないか (2)見直しメニュー ● 新規事業の見直し・・・臨時経費効果額約45億円+α ・総合水泳・水遊場の休止 ・船場小学校の整備 ・新病院の整備・運営 ●既存事業の見直し・・・経常経費効果額約1〜2億円 ・野外活動センターの運営手法の変更 ・消防指令センターの共同化 ・移動図書館「みどり号」の廃止(電子図書館の整備) ・定例的・反復性の高い庶務事務のRPA・AI化  など ※RPAとは、Robotic Process Automationの略で、定型的なパソコン操作をソフトウェア型ロボットに代行させる仕組みのこと。 (10ページ) 4 取組項目 改革の柱5 各種団体の見直し (1)各種団体の考え方 各種団体とは、箕面市が設立に主体的に関与し、資本金およびこれらに準ずるものを出資または出捐しているものに加え、補助金の交付など財政的関与を行っている任意団体、法人および株式会社とします。 (2)各種団体見直しの目的 ・箕面市では、平成15年(2003年)策定の「箕面市経営再生プログラム」などにより、各種団体の自主性・自律性の確保のため、役割分担や人的・財政的関与のあり方を見直してきました。 ・一方で、昨今、市民のニーズの多様化やめまぐるしく変化する社会情勢に柔軟に対応できる各種団体の役割はますます大きくなってきており、これまでと同じように団体運営を行っていては、多様なニーズに沿った事業展開を行うことが難しくなっています。 そこで、各種団体が、安定的に事業展開が行えるよう健全な経営基盤を構築するため、組織のスリム化・効率化を図る必要があります。 (3)各種団体見直しメニュー ● 各種団体の統合 設立目的や事業内容が類似する団体の統合をめざす ・公益財団法人箕面市メイプル文化財団と公益財団法人箕面市国際交流協会の統合 ・箕面FMまちそだて株式会社と箕面市観光協会の協業   など (11ページ) 5 めざすべき未来に向けて (1)新改革プラン実行による効果 ・アウトソーシングの実行や全事業の点検により、必要な事業を見極め、効率的かつ集中的に実施することができ、サービスの向上を図ることができます。 ・市有財産の貸付により経常的な収入増が期待されるとともに、アウトソーシングの着実な実行により経常経費が圧縮され、経常収支比率の改善につながります。 具体的には、新改革プランの取組項目をすべて実施することで、約5億円の経常経費の削減効果と経常収支比率の約2ポイントの改善が見込まれます。 ・新改革プランの実施によって創出された財源で、新たな投資を行うことができます。 行財政改革(新改革プラン) ・新アウトソーシング計画 ・施設の再配置構想 ・市有財産の活用 ・全事業の点検 ・各種団体の見直し ↓ 新たな施策の実施 ・中心市街地における都市基盤の整備と商業の活性化 ・ICT環境整備や施設改修による教育環境の充実 など 市民サービスの向上、経常収支比率の改善につながる ↓ 将来像 ・愛すべきまち「箕面」の次世代への継承 ・持続可能な魅力あるまち「箕面」の実現 (12ページ) 5 めざすべき未来に向けて (2)推進体制 新改革プランを実行するにあたっては、PDCAサイクルの観点のもと、最大限の成果が得られるように、関係部局間で連携を図りながら、全庁的に取り組んでいきます。 ※PDCAサイクルとは、業務改善の手法の1つ。Plan(計画)、Do(実施)、Check(評価)、Action(対応)。 (3)今後のスケジュール (図)スケジュール表 ●新改革プラン  素案の公表・・・12月1日  パブリックコメント実施・・・12月1日〜1月8日  説明会開催・・・12月16日  新改革プラン策定、パブリックコメント結果公表・・・1月下旬 ●新アウトソーシング計画  計画の方向性の決定/素案の作成・・・3月上旬まで  素案の策定・・・3月 ●施設の再配置構想  公共施設等の再編・再配置のあり方検討・・・令和3年6月以降も継続 ●市有財産の活用  売却可能資産の点検/利活用方針の決定・・・令和3年6月以降も継続 ●全事業の点検  全事業の点検・・・一部、R3年度予算に反映。その他は令和3年6月以降も継続 ●各種団体の見直し  各種団体見直しの検討・調整・・・令和3年6月以降も継続