更新日:2018年10月25日

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第三次箕面市総合計画の総括

1.第三次箕面市総合計画について

(1)1986年度(昭和61年度)に策定された第三次箕面市総合計画は、全般的に日本経済が好調で成長しつつある時代背景もあって、当時考え得る施策をメニューとして列挙し、時代の変化とともに、施策をそのメニューから選択する方式を採用した。しかし、総合計画に記載されているメニューを全て実施しなければならないという誤解も生じた。

(2)実際の運用にあたっては、整備プログラム第1期(1986年度~1990年度:昭和61年度~平成2年度)、同第2期(1991年度~1994年度:平成3年度~6年度)、フォローアップ計画期間(1995年度~2000年度:平成7年度~12年度)の3期に分け、計画的な事業推進を実施してきた。

2.第三次箕面市総合計画の総括

(1)第三次箕面市総合計画の総括は、次の三つの区分で行っている。

  • A.第三次箕面市総合計画の将来都市像からみた達成度
  • B.第三次箕面市総合計画の基本目標からみた達成度
  • C.第四次箕面市総合計画にむけた課題の整理

A.第三次箕面市総合計画の将来都市像からみた達成度

将来都市像 1.自治と連帯にもとづく福祉のまち

【基本理念】あらゆる差別や排除をなくし、心ふれあう人間関係に満ちたコミュニティの形成と、地域社会のもつ豊富な経験と知恵を生かした福祉社会を形成する。

  • 市民活動の拠点となるコミュニティセンターは、萱野北校区と止々呂美小校区を除いた各小学校区で整備されてきた。管理運営も含め、その活用については基本的に市民に委ね、積極的に利用されている。しかし、自治会・子ども会等、これまでのコミュニティの基盤組織に対する市民の加入が減っており、「地縁」による市民のつながりが弱くなっている。一方、文化活動や福祉活動等の目的別・課題別の市民活動は盛んに行われており、阪神・淡路大震災においてみられたように、地縁と目的別の市民活動が密接に結びつくことが求められている。
  • 福祉施策については、全国初の(財)障害者事業団発足・総合保健福祉センター(ライフプラザ)の建設をはじめ、拠点づくりを進めるとともに、各種デイサービスセンターの設置等きめの細かなサービスの充実を図ってきている。今後は、介護保険制度の導入に伴い、福祉をめぐる状況は大きく変化することが予想されることから、市民活力や民間事業者の積極的利用も視野にいれながら、サービスの供給体制の確立を図る必要がある。
  • 平成5年度の人権宣言及び平成8年度施行の福祉のまち総合条例については、それまで行政と市民が取組んできた課題の解決を、理念的に明確したものであり、その理念を反映させた諸施策を実施しているが、今後、さらに具体化していくことが求められている。
  • 平成9年度に施行された市民参加条例は、行政と市民が「協働」してまちづくりを進めていくための基礎要件を整えた条例であり、これをベースに多様な市民参加が進展しつつあるが、今後は、より具体の「協働」を、どう成熟化させていくかがポイントとしてある。

将来都市像 2.自然につつまれた文化のまち

【基本理念】箕面市の美しい自然と調和した都市を創造するとともに、箕面市のすぐれた文化や歴史を市民生活のなかで見直し、育てる。

  • 箕面の都市シンボルである山間山麓については、自然緑地等保全基金の設置、都市景観条例の制定・環境保全条例の改定等積極的に保全を図っている。
    市街地内の緑地についても、芦原公園・皿池公園等の整備を通じて全市的に緑化推進を図ってきた。
  • 箕面市のもつすぐれた文化や歴史を継承し発展させる取組みとして、萱野三平旧邸の整備や郷土資料の収集・展示、みのお太鼓の保存、また箕面まつりの実施など市民レベルにおける新たな箕面文化の創造への取組みも生まれている。
    また、ニュージーランド・ハット市と国際協力都市提携を結ぶとともに、国立大阪外国語大学が市内に立地していることから、(財)国際交流協会の設立や留学生ホストファミリー事業等、市民レベルでの交流・異文化理解に取り組んでいる。加えて、ハット市等から招いた英語指導助手を中心に、全中学校で英語の指導と国際理解の促進に取り組んでいる。
  • 1991年度(平成3年度)から、各小・中学校におけるコンピューター授業を開始し、平成7年度・8年度に萱野小学校が文部省、通産省の100校プロジェクトの対象になるなど、先進的な取組みを実施してきた。ますます高度化する情報化社会に備えた教育を展開している。
  • さまざまな心の悩みをもつ児童・生徒、保護者や教職員への相談活動を実施するため、スクールカウンセラーを配置するとともに、学校にうまくなじめない児童・生徒については、萱野中央人権文化センター等を拠点に、支援・援助を行っている。

将来都市像 3.都市環境の整った人間本位のまち

【基本理念】地域や地区の特性を生かした安全・快適で便利な居住環境を市民とともに考え、市民のもつ活力や活気を生みだすような創意と工夫のあるまちを創造する。

  • 無計画な開発による市街化は、本市の特性である「良好な住宅環境・自然環境」を破壊することにつながる恐れがあることから、環境保全条例(現、まちづくり推進条例)による開発の規制・指導などを実施してきた。
    一方、計画的な市街地形成のため、中央線、小野原豊中線等の道路整備、才ヶ原川等の河川整備、公共下水の整備(昭和61年度で対人口96.1%の普及率が、平成8年度には99.4%まで上昇)、土地区画整理事業等を、順次推進している。
  • 平成7年の阪神・淡路大震災が示したように、「安全なまちづくり」は箕面市にとっても風化させてはならない目標であり、平成9年度に新防災計画を策定したほか、市民自ら自分の生活を守る観点から、自主防災組織の整備等に取り組んでいる。
  • 利便性の高い都市環境の実現については、中央線及び山麓線のバス運行・福祉バスの運行など充実を図ってきたものの、まだ市民の満足度は十分といえず、今後とも市内公共交通の充実が課題として挙げられる。
  • 一方、深刻化する地球環境問題に対しては、環境保全条例に、日常生活による環境への負荷を低減するための規定を新たに追加している。
    また、環境保全条例や箕面市快適環境づくり計画に基づき、箕面市地球環境保全行動計画(箕面市ローカルアジェンダ)を策定し、市民・事業者・行政がそれぞれの立場で地球環境保全にかかる具体的な行動に取り組むための指針・目標を設定している。

B.第三次箕面市総合計画の基本目標からみた達成度

第三次箕面市総合計画の基本目標別に、箕面市が実施してきた主要事業を年表にあらわすと(別表)、時代状況に応じて以下のとおり特徴がみられる。

なお、都市基盤整備については、年表でも明らかなように全計画期間を通じて取り組んでおり、あえてここでは特徴として取り上げていない。

基本目標

  1. 豊かな人間性を基調とした人権尊重の市民社会をめざして
  2. 安定した生きがいのある、地域に根ざした福祉社会をめざして
  3. 個性あふれ躍動する箕面文化をめざして
  4. 自然と調和した魅力ある定住性の高い都市をめざして
  5. 利便性の高い安全で暮らしよい市民生活をめざして

第1期(昭和61年度~平成2年度)

特色=人権・文化・国際化施策

市民生活の充実を目的としたサービス(生涯学習)

  • (1)人権啓発事業の充実
    平成元年度から実施したヒューマンコミュニティ推進事業は、同和問題、外国人問題、女性問題、障害者問題等あらゆる差別の撤廃に加え、国際交流・文化活動といった視点も採り入れた、箕面独自の幅広い啓発活動であり、その市民すべての人権を尊重する姿勢は、第2期(平成5年度)の『箕面市人権宣言』に引き継がれる。
  • (2)文化施設の整備
    メイプルホール・中央生涯学習センター・中央図書館の建設をはじめとして、東部地域にも同様の機能をもったハード整備を行った。これらの施設は、中央図書館の「全国紙芝居まつり」をはじめ、多くのソフト事業を展開する拠点として、多種にわたる市民活動の拠点として、多くの市民に利用されている。
  • (3)先進的なソフト事業の展開
    国際化の一環として外国人留学生の日常生活をサポートするホストファミリー事業の推進、(財)文化振興事業団や全国初の(財)障害者事業団の発足をはじめとして、ライフプラザの先駆けとなる訪問看護事業の実施、全国紙芝居まつり、ヒューマンコミュニティ事業など、ユニークで先進的なソフト事業を通して、市民参加の気運も盛り上がってきた。

第2期(平成3年度~平成6年度)

特色=福祉

地域機能の整備

  • (1)各種施設の建設ソフト施策展開の拠点整備
    第1期から継続されてきた文化施設の整備が、この時期の萱野南図書館、桜ヶ丘人権文化センター・図書館、萱野中央人権文化センター建設で一応、完了した。コミュニティセンターも含めて、この時期に建設された各種施設は、各地域に密着したソフト施策展開の拠点として多くの市民に活用されている。
  • (2)福祉施設の整備
    福祉施設については、総合保健福祉センター(ライフプラザ)の建設に着手するとともに、ソフト計画として保健福祉計画に基づき、第三次箕面市総合計画策定時の市民意識調査において要望の高かった福祉施策の充実をめざして、各種のデイサービスセンターを整備するなど積極的な推進が図られた。箕面市は、福祉分野において内外から高い評価を得ているが、この時期の取組みが実ったものである。
  • (3)新市街地の形成
    余野川ダム建設計画・地元住民意向等調査など、地域整備構想に対する取組みは第1期から実施されてきたが、第2期においては、北大阪急行線の延伸構想や関係機関・団体・地元住民などで構成される推進協議会の発足、そして土地区画整理事業の着手など、その具体方向が見え始めた時期である。

第3期(平成7年度~)

特色=市民参加のまちづくり

  • (1)市民参加のまちづくりの基盤整備
    第1期、第2期において、市民参加の気運が盛り上がってきたことを背景に、平成8年度は福祉のまち総合条例が、平成9年度には、まちづくり理念条例、市民参加条例、まちづくり推進条例、都市景観条例、環境保全条例(全面改定)が施行された。なかでも、地方分権の時代を見据え、「市民が主人公のまちづくり」すなわち政策形成過程からの市民参加を実現するため、まちづくり理念条例並びに市民参加条例が制定されたことは、市民が行政に参加できる基礎要件を整えたことであり、今後の箕面市のまちづくりの重要な土台となっている。
  • (2)福祉施策(ソフト)の充実
    第2期に着手した総合保健福祉センター(ライフプラザ)の建設が終了し、保健・医療・福祉の総合一体的な提供体制を整え、ホームヘルパー制度などの在宅福祉サービスの充実を図ると同時に、福祉バスによる公共施設間の移送サービスを開始したほか、府内で初の障害者雇用支援センターの設置も(財)障害者事業団によって実施されるなど、多様な福祉ニーズに対応するシステム整備を進めている。
  • (3)防災対策の見直し
    平成7年1月に起こった阪神・淡路大震災において、箕面市はその被害を直接受け、市民の安全確保を図るための危機管理体制の大幅な見直しが迫られた。そして平成9年度に新防災計画を策定するとともに、自主防災組織整備事業や公共・公用施設耐震診断等を推進している。

C.第四次箕面市総合計画にむけた課題の整理

豊かな人間性を基調とした人権尊重の市民社会をめざして

  • (1)行政と市民の協働(→第四次総計:暮らしを支える)
    自治会・子ども会等「地縁」を基盤とした既存のコミュニティ組織への加入率が減少しており、新しい市民のヨコのつながりによるコミュニティ組織の再編成が必要とされる。
    また、これまで行政で対応していた分野、特に「まちづくり」「防災」において市民活力を採り入れる必要があり、NPO活動を支援する方策も含めて対応が求められている。
  • (2)総合情報システムの確立(→第四次総計:暮らしを支える)
     行政情報の収集・提供の総合化に向けて、パソコンを使った市民情報サービスの機能強化・促進が必要とされる。
  • (3)地方分権・行政改革の推進
    バブル経済崩壊後の長期不況の影響を受け、市税収入の伸び悩み、また経常経費比率の増大等が原因となって、本市財政状況も悪化の一途をたどりつつある。特に、これからの地方分権の時代にあって、市民ニーズに迅速に対応できる財政体力を整えるため、より計画的・効率的な行財政運営とともに、多様化・高度化する市民ニーズに対応するため、効果的な広域連携を模索する必要がある。
    また、行政改革については、箕面市が目指す方向性を明らかにするとともに、それに必要な財政体力を生みだすスクラップ・フォア・ビルドを大胆に実施する必要がある。

安定した生きがいのある、地域に根ざした福祉社会をめざして

  • (1)介護保険への対応(→第四次総計:安心な暮らし)
    平成12年度からの介護保険制度においては、サービス供給体制の確立や要介護度認定等多くの課題を抱えている。とりわけ大きな問題として、これまでのサービス水準を下げることなく、介護保険下における本市としての適正なサービス基準を設定することが求められている。

個性あふれ躍動する箕面文化をめざして

  • (1)少子化への対応・青少年の健全育成(→第四次総計:安心な暮らし、いきいきとした暮らし)
    本格的な「少子化」の影響が現れるのは第四次箕面市総合計画期間以降と思われるが、高齢化とも相まって、市歳出の増加と市歳入の減少が挙げられる。
    第三次箕面市総合計画では、これまでも家庭・地域・学校・行政の密接な連携のもと、青少年の健全育成をすすめているが、地域の役割がうまく機能しているとはいえず、打開策が必要とされる。
  • (2)NPOに対する支援方策(→第四次総計:暮らしを支える)
    「特定非営利活動促進法」が平成10年3月に成立し、箕面市においても平成11年10月から非営利公益市民活動促進条例を施行し、NPO活動の促進に関する基本的な事項を定めているが、今後は積極的に支援する方策を検討・実施していく必要がある。
  • (3)子どもに関わる施策について(→第四次総計:いきいきとした暮らし)
    すべての子どもが幸福に暮らせるまちづくりを目的とした子ども条例を平成11年10月施行しているが、市民ニーズが高まっている保育所サービスの充実を図るため、幼保一元化を推進するとともに、子どもたちの自由な遊び場と学童保育を一体的に運営する学校開放事業の推進など、行政の縦割り的な視点でなく、子どもと子どもを持つ親の視点にたち、施策を展開していく必要がある。
    子どもの教育の見直しについては、子どもを21世紀の人権文化創造の担い手として育んでいけるよう、『ゆとりと多様性』『いきいきした個性の発揮』をキーワードに、各校園が「総合学習」などの特色ある取り組みを展開し、生きる力の育成を図ることが求められる。
    特に、規範意識の向上を図り豊かな心を育むためには、家庭・地域・学校園それぞれの役割を見直すとともに連携を深め、よりいっそう学習の場の提供や情報の発信を行い、それぞれの教育力の向上に向けて取り組む必要がある。

自然と調和した魅力ある定住性の高い都市をめざして

  • (1)新市街地整備に応じた地域課題の解決(→第四次総計:暮らしを支える)
    それぞれの事業規模が大きく、本市のまちづくりに大きな影響をもたらすため、地域課題を解決する方策の検討とともに、社会情勢を見通しながら、財政体力の範囲内での事業推進の調整が必要とされる。
  • (2)山間・山麓保全(→第四次総計:いきいきとした暮らし)
    箕面市のシンボルである山間・山麓については、「快適環境づくり計画」などに基づき、これまで環境面からの保全に努めてきたが、市民にやすらぎを与える山なみそのものを保全するため、都市景観条例に基づく「山なみ景観保全地区」の指定を行い、現状変更行為等に関し許可制を導入している。今後は、地区の指定拡大を図るとともに、山の自然を享受する市民が参加し担っていくような保全方法や、保全財源などのあり方について、具体化する必要がある。
  • (3)地球環境(→第四次総計:いきいきとした暮らし)
    環境汚染で、現在注目されている「環境ホルモン」を生みださないなど、安心な生活を営むためには、「循環型」のライフスタイルを採り入れ、できるだけ廃棄物等をださないことが重要であり、そのためには、市民・事業者・行政が、生活や仕事のスタイルを変え、具体的な行動につないでいくことが求められている。
  • (4)住環境の整備(→第四次総計:安心な暮らし)
    日本の人口推計において、少子化を背景に将来人口の減少が予想されているが、箕面市の人口も微増から微減に変わる兆候を見せており、このままでは、まちの「元気」が失われる可能性がある。箕面市の特性は「良好な住環境・自然環境イメージ」であり、その特性と「元気」のバランスを見極めながら、箕面市として、どのようなまちづくり政策を打ち出し、どのようなまちをめざすかが課題となっている。

利便性の高い安全で暮らしよい市民生活をめざして

  • (1)公共交通(→第四次総計:暮らしを支える)
    北大阪急行線の早期延伸をめざすとともに、市内東西間のバスルートについては山麓線の整備により一定進んでおり、今後は便数の増に加えて、福祉バスとの連携・役割分担等を視野に入れた市内公共交通の充実が課題となっている。
  • (2)公共施設の整備・適正配置(→第四次総計:暮らしを支える)
    公共施設については、市民ニーズと市街地の進展による地域バランスをふまえながら、着実な整備を行ってきた結果、現在建設中の火葬場・斎場の整備をもって、基礎的な施設は概ね完了すると言えるが、一部地域的なアンバランスを是正する必要がある。
    一方、箕面新都心に代表される新市街地の整備や少子高齢化の進行による社会構造の変化、市民のライフスタイルの多様化などもあり、時代変化を展望した新たな公共施設の整備が求められている。
  • (3)産業の活性化(→第四次総計:暮らしを支える)
    本市のにぎわいづくりの一環として、観光需要の質的変化と多様化に対応した能動的な観光需要の掘り起こしが必要となっている。
    船場地区のコム・アートヒルにおいても、ビル等において空き店舗が目立つようになってきており、まちの「元気」を取り戻すための工夫が必要とされる。

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